受動攻撃性パーソナリティ障害の症状、診断、治療
発達障害専門外来
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受動攻撃性パーソナリティ障害の症状、診断、治療

職場で頼まれた仕事を放棄したり、デートの約束に毎回遅刻してきたりする人や、「気に入らないなら直接伝えたらいいのに!」と思うような態度を取る人はいませんか?そういった特徴のある人は、受動攻撃性パーソナリティ障害の可能性があります。今回は、受動攻撃性パーソナリティ障害の症状、診断、治療について解説します。

パーソナリティ障害全般については以下の記事を参照してください。

受動攻撃性パーソナリティ障害とは

受動攻撃性パーソナリティ障害とは、怒りを直接的にぶつけるのではなく、相手を困らせるような行動をして反抗の態度を示すような障害です。相手に潜在的な怒りを悟られないように行動します。拒絶性パーソナリティ障害ともいいます。

また、英語では’Passive aggressive’(パッシブ・アグレッシブ)といいます。

この言葉はもともとはアメリカの軍隊で使われた言葉です。軍隊では上司の命令は絶対です。そのため、どんなに自分が嫌だと思っていても従わなくてはなりません。それでも反抗の気持ちを間接的に表現するため、仕事をわざと遅らせたり真剣に取り組まないという行動を取ります。

原因

受動攻撃性につながる原因として、生い立ち、環境、性格要因などがあると言われています。

例えば感情を直接表現するのが推奨されない環境で育った人は、受動攻撃性を持つと示唆する人もいます。さらに、先述した軍隊のように攻撃性の表示が受け入れられない環境や状況である場合に見られることもあります。

また、生まれ持った性格が控えめで他者に対して積極的に意見をするタイプでない場合、怒りを直接表現できずに受動攻撃性をもつ事があると言われています。

受動攻撃性パーソナリティ障害の症状

基本的には間接的な敵対行為を示すことが多いです。周囲から見れば嫌がらせのように思ったり、愚痴をこぼしているように見える症状で、具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 頼まれていたことを忘れていたフリをする
  • 相手を無視する
  • 実行する気はないが、頼まれたらYESという
  • 陰口を行ったり、気付かれないようにわざと邪魔になるような行動を取る
  • わざとミスをしたり、締切を守らなかったりする
  • 笑顔で会話するが、その裏で馬鹿にしたような態度を取る
  • 恥をかきたくないからやる気はないが、他者がやっているのを見て自分のほうができると感じる
  • 表面上の衝突はどんな手を使っても避ける
  • 落ち込んだ状態を見せることで攻撃する

受動的行動の代表例として、「緘黙/無視」「サボタージュ」「抑うつ状態」があります。こうした行動を取ることで、相手を困らせたりして攻撃しようとします。

受動攻撃性パーソナリティ障害の診断

DSM-3ではⅡ軸に分類されていましたが、DSM-4では受身的攻撃行動をいかに分類するかという更なる研究上の要求があり、付録へと移動されました。

以下はDSM-4-TRに掲載された研究用の基準案です。

A. 適切な行為を求める要求に対する拒絶的な態度と受動的な抵抗の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4項目(またはそれ以上)によって示される。

  1. 日常的な社会的及び職業的課題を達成することに受動的に抵抗する。
  2. 他人から誤解されており適切に評価されていない不満を述べる。
  3. 不機嫌で論争を吹っかける。
  4. 権威のある人物を不合理に批判し軽蔑する。
  5. 明らかに自分より幸運な人に対して、羨望と憤りを表現する。
  6. 個人的な不運に対する愚痴を誇張して口にし続ける。
  7. 敵意に満ちた反抗と悔恨の間を揺れ動く。

B. 大うつ病エピソードの期間中にのみ起こるものではなく、気分変調性障害ではうまく説明されない。

(出典:医学書院『精神障害の診断と統計マニュアルⅣ』)

権威ある者との問題などは子どもの場合には反抗挑戦性障害と診断されますが、ここで提案されている案は、大人でのみ考慮されるものです。不適応的で、著しい機能障害又は主観的な苦痛を引き起こしているときに限り、受動攻撃性パーソナリティ障害とみなされます。

他のパーソナリティ障害との鑑別

受動攻撃性パーソナリティ障害は、他のパーソナリティ障害のようにA群、B群、C群という分類には入っていません。

そのため、DSM-5上では他の特定されるパーソナリティ障害および特定不能のパーソナリティ障害の例として受動攻撃性パーソナリティ障害が挙げられています。

こちらのカテゴリに分類されるのは、以下のような状況の場合です。

  1. その人のパーソナリティの様式がパーソナリティ障害の全般的基準を満たしており、いくつかの異なったパーソナリティ障害の特性が存在しているが、どの特定のパーソナリティ障害の基準も満たしていない
  2. その人のパーソナリティの様式がパーソナリティ障害の全般的基準を満たしているが、DSM-5分類に含まれていないパーソナリティ障害を持っていると考えられる

(出典:医学書院『精神障害の診断と統計マニュアルⅤ』)

パーソナリティ障害はまだ研究が進んでいる分野であり、あくまでも現在はこういった基準で分類されているというものです。

また、パーソナリティ障害の症状は多くの場合併存しています。たとえば、反社会性パーソナリティ障害と診断された人でも、境界性パーソナリティ障害の特徴を示すことがありますし、両方の障害を診断されるケースも存在します。

受動攻撃性パーソナリティ障害の治療

受動攻撃性パーソナリティ障害の一般的治療は、すべてのパーソナリティ障害に対するものと同じです。

受動攻撃性パーソナリティ障害の患者は不満や怒りをうまく表現できないことがそもそもの課題であるため、カウンセリングや認知行動療法などを通じてネガティブな感情を都度表現できるように改善していきます。

また、症状として抑うつ症状などが出ている場合、対症療法として抗うつ薬を使用することもありますが、あくまでも精神療法のサポートとして使用されます。

パーソナリティ障害に有効なTMS治療(磁気刺激療法)

TMS治療は頭部に特殊なコイルを当て、脳に磁気刺激を与えて脳神経のネットワークのバランスを改善し、正常な活動に戻す治療法です。アメリカを始めとする欧米では普及が進んでいます。日本ではまだ一部の医療機関でしかTMS治療を受けることはできませんが、当院では治療が可能です。

パーソナリティ障害自体にTMS治療に治療が有効であるという論文が2019年に発表されています。(J Psychiatr Pract. 2019 Jan;25(1):14-21.)

薬物療法と比べて副作用の心配もなく、治療期間も短く済みます。

また、パーソナリティ障害に合併しやすい発達障害についても改善することが可能です。

TMS治療について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

周囲の対応とサポート

自分の部下が受動攻撃性パーソナリティ障害の疑いがある場合は、付き合い方を工夫することで大きな影響を及ぼさずに済むことがあります。

怒りに反応しない

受動攻撃性パーソナリティ障害の患者が他者に対して攻撃的な態度を取るのは、その態度を見て怒ったり困ったりすることを望んでいるからです。そのため、怒ったり困ったりする態度を見せず、毅然として対応することで影響を抑えることができます。

求める成果を明確にする

本人に対してどんな仕事を望んでおり、どういったものをいつまでに出してほしいという期待することを事前に共有しておきましょう。こうすることで、本人が言い訳をしたり非難する余地がなくなります。

率直に話せるようにする

不平不満を率直に意見できない環境では、受動攻撃性がより強くなってしまいます。風通しのいい組織で、役職に関係なく意見は自由にできるような環境を作っていくことが重要です。

まとめ

受動攻撃性パーソナリティ障害は、症状がひどくなると所属している会社や部活、さらには恋愛などに大きな影響を及ぼします。症状が見られる場合は心療内科や精神科を受診するようにしましょう。

また、周囲の人は本人が率直に話しやすい環境を作ってあげたり、面と向かって話せる機会を設けるなどして、うまく付き合っていくことが大切です。


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