依存性パーソナリティ障害の症状、診断、治療
発達障害専門外来
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依存性パーソナリティ障害の症状、診断、治療

何をするにしても他人の意見がないと行動に移せず、いつまで経っても自立した生活が送れないという人がいます。そんな人は、依存性パーソナリティ障害の可能性があります。今回は、依存性パーソナリティ障害の症状、診断、治療について解説します。

パーソナリティ障害全般については以下の記事を参照してください。

依存性パーソナリティ障害とは

依存性パーソナリティ障害とは、面倒を見てもらいたいという広範で過剰な欲求があり、他者に従い、しがみつくような態度をとり、分離に対する恐怖を持つ障害です。

何も自分1人では決められず、例えば今日来ていく服でさえ、誰かに決めてもらわなくてはいけないという人もいます。

有病率

2001~2002年に行われた「米国におけるアルコールおよび関連疾患に関する全国疫学調査」のデータでは、依存性パーソナリティ障害の推定有病率は0.49%とされています。

また、「全米併存症再調査研究パートⅡ」の確立二次標本によると、有病率は0.6%と推定されています。

男女の有病率はほぼ同じであると推定されていますが、女性に多く診断されています。

原因

原因は明らかになっていませんが、文化的因子や幼児期の否定的な体験、不安に関連する生物学的脆弱性が発症に寄与していると考えられています。

また、自信のなさや控えめな行動など、家族内で受け継がれた特性が寄与している可能性があります。

経過

依存的行動は小児期や青年期においては発達上適切なものであるため、そのなかであえてこの診断を下す場合には十分な注意が必要とされています。

この障害をもつ患者は依存する人がいない状態が続くと、大うつ病性障害になる危険性があります。しかし、適切な治療を行うことで改善することが期待できます。

依存性パーソナリティ障害の症状

この障害を持つ人は、些細なことでも他人の助言がないと決定できません。着る服はどうするか、傘を持っていくべきかなどの日常的なことから、どこに住むべきか、どんな仕事につくべきか、どんな人と親しくするべきかなど、人生における重要な決断を親や配偶者に委ねていることが多いです。

また、他人の支持や是認を失いたくない一心で、自分が依存している人の意見に反対することができない傾向にあります。たとえその助言が間違っていると頭では分かっていたとしても、それを指摘することで依存している人の援助を失うリスクがあるのであれば同意しようとします。

こういった特徴があるため、しばしば不快な仕事や不条理な要求を飲んでしまったり、他者との関係が不釣り合いになることがあります。例えば、依存している人から見捨てられるのが嫌で配偶者からのDVに耐えるという人もいます。

依存性パーソナリティ障害の人は自分で何かを計画することが困難ですが、誰かが監督してくれる状況では適切に行動できます。また、見捨てられないように有能に振る舞うこともあります。

依存性パーソナリティ障害の診断

DSM-5では、依存性パーソナリティ障害の診断基準は以下のように定義されています。

面倒を見てもらいたいという広範で過剰な欲求があり、そのために従属的でしがみつく行動を取り、分離に対する不安を感じる。成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 日常のことを決めるにも、他の人達からのありあまるほどの助言と保証がなければできない
  2. 自分の生活のほとんどの主要な領域で、他人に責任をとってもらうことを必要とする
  3. 支持または是認を失うことを恐れるために、他人の意見に反対を表明することが困難である(注:懲罰に対する現実的な恐怖は含めないこと)
  4. 自分自身の考えで計画を始めたり、または物事を行うことが困難である(動機または気力が欠如しているというより、むしろ判断または能力に自信がないためである)
  5. 他人からの世話及び支えを得るために、不快なことまで自分から進んでするほどやりすぎてしまう
  6. 自分自身の面倒を見ることができないという誇張された恐怖のために、1人になると不安、または無力感を感じる
  7. 1つの親密な関係が終わったときに、自分を世話し支えてくれるもとになる別の関係を必死で求める
  8. 1人残されて自分で自分の面倒を見ることになるという恐怖に、非現実的なまでにとらわれている

(出典:DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引

上記を診断するにあたり、その依存的行為が適切かどうかを判断することが重要です。例えば年齢や社会文化的集団によって依存的行動かどうかは非常に異なるため、個々の基準を検討する際には考慮する必要があります。

受動性や礼儀正しさ、丁寧な応対はときに依存性パーソナリティ障害の特性と誤解されることがあるので注意が必要です。

他のパーソナリティ障害との鑑別

依存性パーソナリティ障害と共通の特徴を持つパーソナリティ障害も存在するため、しばしば混同されがちです。そのため、それぞれの特徴の違いに基づいて区別することが重要です。しかし、その人が依存性パーソナリティ障害に加えて1つまたはそれ以上のパーソナリティ障害の基準を満たすような場合は、それらすべての診断を下すことができます。

パーソナリティ障害分類 依存性との共通点 依存性と異なる点
境界性
  • 見捨てられることに対する恐れ
  • 情動的な空虚感、強い怒り、及び要求で反応する
  • 対人関係が不安定で激しい
演技性
  • 保証と是認を求める強い欲求
  • 社交的で派手、関心を引きたいという積極的な欲求がある
回避性
  • 不全感
  • 批判に対する過敏性
  • 保証への欲求
  • 屈辱と拒絶への強い恐怖から、受け入れられるまでは対人関係を避ける

依存性パーソナリティ障害の治療

依存性パーソナリティ障害の一般的治療は、すべてのパーソナリティ障害に対するものと同じです。

この障害は、精神療法がしばしば成功します。認知行動療法や自己主張訓練などの方法があります。依存性パーソナリティ障害の患者は医師や看護師に従いやすい傾向にあり、その結果精神療法での治療例が多いと言われています。

一方で、治療中に医師や看護師に依存しないように注意する必要があります

また、薬物療法も対症療法として行われますが、ベンゾジアゼピン系の薬は患者が薬に依存するリスクがあるため、あまり使用されません。

パーソナリティ障害に有効なTMS治療(磁気刺激療法)

TMS治療は頭部に特殊なコイルを当て、脳に磁気刺激を与えて脳神経のネットワークのバランスを改善し、正常な活動に戻す治療法です。アメリカを始めとする欧米では普及が進んでいます。日本ではまだ一部の医療機関でしかTMS治療を受けることはできませんが、当院では治療が可能です。

パーソナリティ障害自体にTMS治療に治療が有効であるという論文が2019年に発表されています。(J Psychiatr Pract. 2019 Jan;25(1):14-21.)

薬物療法と比べて副作用の心配もなく、治療期間も短く済みます。

また、パーソナリティ障害に合併しやすい発達障害についても改善することが可能です。

TMS治療について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

まとめ

依存性パーソナリティ障害は、パーソナリティ障害の中でも治療の効果が出やすい障害です。そのため、障害を疑う場合は早めに心療内科や精神科を受診しましょう。

また、この障害を持つ人の中には、依存している人から見捨てられるのを恐れ、配偶者からのDVなどの被害に耐えていることがあります。様子がおかしいと感じたら受診を促すようにしてください。


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