強迫性パーソナリティ障害の症状、診断、治療について精神科医が解説
発達障害専門外来
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強迫性パーソナリティ障害の症状、診断、治療について精神科医が解説

異常なまでに頑固で、規則や秩序に厳格な人がいます。また、常に自分が設定した完璧な状態に達するまで妥協を許さず、結果的に仕事が終わらないということも。そんな人は、強迫性パーソナリティ障害の可能性があります。今回は、強迫性パーソナリティ障害の症状、診断、治療について解説します。

パーソナリティ障害全般については以下の記事を参照してください。

パーソナリティ障害の特徴、種類、診断、治療について精神科医が解説

強迫性パーソナリティ障害とは

強迫性パーソナリティ障害は、秩序や規則に対して非常に厳しく、また自分の活動について柔軟性がなく、あらゆる物事のやり方が特定の方法で行わなければならないと考えています。物事を正確にコントロールしている状態にあることを必要とし、他者の助力を信用しない傾向にあります。

有病率

強迫性パーソナリティ障害は一般人口において最もよく見られるパーソナリティ障害の1つであり、推定有病率は2.1~7.9%の範囲と言われています。

系統的な研究から、男性の方に約2倍多く診断されるようです。

原因

詳しい原因は明らかになっていません。しかし、この障害のある人の第一度親族に起こりやすいようです。

経過

この障害は成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになります。時折、強迫観念や強迫行為に発展することがあります。青年期に強迫性パーソナリティ障害だった人が開放的で温かい愛情のある大人になることもあります。

しかし、この障害はときに統合失調症の前兆になっていたり、年をとって障害が更に悪化し、大うつ病性障害になることもあります。

強迫性パーソナリティ障害の症状

この障害の特徴は、秩序や完璧主義にとらわれ、結果的に柔軟性や開放性、効率性が損なわれることです。例えば仕事で提出しなくてはいけない書類があるとき、細部にこだわりすぎたり何度も確認をしてしまうあまり、提出期限に遅れてしまうことがあります。また、その結果周囲に迷惑がかかっていてもあまり気づきません。

その他には以下のような特徴があります。

  • 何時間もかけて、部屋中をチリ1つ残らないくらいまで徹底的に掃除する
  • 息抜きの時間がもったいなく感じたり、居心地が悪く感じる
  • スポーツなど、形式化された活動を好む
  • 旅程を分刻みで計画し、完璧に実行する。またそれを他者にも強要する
  • 遊びを課題に変える(よちよち歩きの用意時に三輪車に乗り一直線に走るように言う など)
  • いつか使うかもしれないものを捨てるのは不経済だと感じ、必要のないものを捨てることができない
  • 人に仕事を任せられない
  • 他人と一緒に仕事をすることができない
  • 自分のやり方を他人にも不条理に押し付ける
  • お金の使い方を厳しく管理しており、収入に見合わないほど低い生活水準で暮らす

こうした行為を友人や同僚は堅苦しいと感じ、欲求不満を感じることがあります。

強迫性パーソナリティ障害の診断

DSM-5では、強迫性パーソナリティ障害の診断基準を以下のように定義しています。

秩序、完璧主義、精神および対人関係の統制にとらわれ、柔軟性、開放性、効率性が犠牲にされる広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 活動の主要点が見失われるまでに、細目、規則、一覧表、順序、構成、または予定表にとらわれる
  2. 課題の達成を妨げるような完璧主義を示す(例:自分自身の過度に厳密な基準が満たされないという理由で、1つの計画を完成させることができない)
  3. 娯楽や友人関係を犠牲にしてまで仕事と生産性に過剰にのめりこむ(明白な経済的必要性では説明されない)
  4. 道徳、倫理、または価値観についての事柄に、過度に誠実で良心的かつ融通がきかない(文化的または宗教的立場では説明されない)
  5. 感情的な意味を持たなくなってでも、使い古した、または価値のないものを捨てることができない
  6. 自分のやるやり方どおりに従わなければ、他人に仕事を任せることができない、または一緒に仕事をすることができない
  7. 自分のためにも他人のためにもけちなお金の使い方をする、お金は将来の破局に備えて貯め込んでおくべきものと思っている
  8. 堅苦しさと頑固さを示す

(出典:DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引

この診断を下す際には、その人の属する集団で文化的に認められている習慣、風習、又は対人関係様式を反映する行動を含めるべきではないとされています。実際に仕事と生産性を強調している文化もあるため、その結果として示す行動を強迫性パーソナリティ障害と考える必要はないとされています。

他のパーソナリティ障害との鑑別

強迫性パーソナリティ障害と共通の特徴を持つパーソナリティ障害も存在するため、しばしば混同されがちです。そのため、それぞれの特徴の違いに基づいて区別することが重要です。しかし、その人が強迫性パーソナリティ障害に加えて1つまたはそれ以上のパーソナリティ障害の基準を満たすような場合は、それらすべての診断を下すことができます。

パーソナリティ障害分類 強迫性との共通点 強迫性と異なる点
自己愛性
  • 完璧主義信奉
  • 完璧にできたと思いこみやすい
反社会性
  • 寛大さがない
  • 自分には甘い
シゾイド
  • 外見上は形式ばる
  • 社会的離脱
  • 親しくなる能力が根本的に欠如している

強迫性パーソナリティ障害の治療

強迫性パーソナリティ障害の一般的治療は、すべてのパーソナリティ障害に対するものと同じです。

他のパーソナリティ障害とは異なり、強迫性パーソナリティ障害の人は苦しみを自覚して自ら治療を求める傾向にあります。

精神療法や薬物療法が行われますが、精神療法では治療期間が長く複雑になりがちで、逆転移といって患者の反応に対して治療者が過剰な対応をしてしまうなどの問題がよく見られます。

また、患者の柔軟性のなさや頑固さ、自分の思いどおりにしたいというコントロールへの欲求が治療の妨げになることがあります。

薬物療法では、クロナゼパム(リボトリール)が重篤な強迫性パーソナリティ障害の症状を軽減します。しかし、強迫性パーソナリティ障害そのものに効果があるかは知られていません。クロミプラミン(アナフラニール)や、フルオキセチンのようなセロトニン作動薬は、強迫的徴候や症状が出現する場合に有効であると考えられています。

パーソナリティ障害に有効なTMS治療(磁気刺激療法)

TMS治療は頭部に特殊なコイルを当て、脳に磁気刺激を与えて脳神経のネットワークのバランスを改善し、正常な活動に戻す治療法です。アメリカを始めとする欧米では普及が進んでいます。日本ではまだ一部の医療機関でしかTMS治療を受けることはできませんが、当院では治療が可能です。

パーソナリティ障害自体にTMS治療に治療が有効であるという論文が2019年に発表されています。(J Psychiatr Pract. 2019 Jan;25(1):14-21.)

薬物療法と比べて副作用の心配もなく、治療期間も短く済みます。

また、パーソナリティ障害に合併しやすい発達障害についても改善することが可能です。

TMS治療について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

TMS治療(経頭蓋磁気刺激)とは?投薬に頼らないうつ病、発達障害、不安、双極性障害の安全な最新治療法を医師が詳しく解説

まとめ

強迫性パーソナリティ障害は自分で苦しみを自覚しているため、治療に向き合う人が多い障害です。周囲にこの障害を持つ人がいれば、心療内科や精神科の受診を勧めましょう。


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