演技性パーソナリティ障害の症状、診断、治療

演技性パーソナリティ障害の症状、診断、治療

とにかく周囲からの注目を集めたいと思い、嘘をついたり、大げさな物言いをしていて、注目を集められないとひどく落ち込んでうつっぽくなってしまう人はあなたの周りにいませんか?

そういった人は、演技性パーソナリティ障害の可能性があります。今回は、演技性パーソナリティ障害の症状、診断、治療法について解説します。

パーソナリティ障害について

演技性パーソナリティ障害とは

演技性パーソナリティ障害の患者は、広範囲でかつ過度な情動性および注意を引こうとする行動を取るのが特徴です。自分に注目が集まるように、不適切なほど性的に誘惑な格好をしたり、他人を挑発したりします。

有病率

米国で2001~2002年に行われた「米国におけるアルコールおよび関連疾患に関する全国疫学調査」のデータでは、演技性パーソナリティ障害の有病率は1.84%と推測されています。

女性のほうが多く診断されますが、男女比は変わらないという報告もあります。

原因

演技性パーソナリティ障害の原因は明らかになっていません。

幼少期に保護者からの愛情が不十分であったことなどが原因になる可能性があります。また、両親や親戚などに演技性パーソナリティ障害の方がいる環境で育つことも関係していると言われています。

また、他には個人の性格的要因、教育環境が関係すると考えられています。

経過

演技性パーソナリティ障害は成人期早期までに始まり、加齢とともに症状が治まっていく傾向があります。

演技性パーソナリティ障害の症状

他者の注目を引くために様々な手を使うのが特徴です。また、注目を浴びることができないと機嫌が悪くなります。具体的な症状(行動の特徴)は以下のようなものが挙げられます。

  • 自分が話題の中心になっていないと気が済まない
  • 過度に性的に誘惑的な格好をする
  • 他人との関係で役柄を決め、演じることがある(「犠牲者」と「お姫様」など)
  • 注目を集めるために泣いたり、周囲を非難したりする
  • 作り話をしたり(虚言癖)、自分から騒動を起こそうとする
  • 些細な出来事を誇張して話す
  • 異性として興味のない人に対しても性的なアピールをする(先生や主治医など)
  • 目新しいものに飛びつくが、すぐに飽きる
  • 新たな対人関係に興奮を覚えるため、人間関係が長続きしない
  • 他人の意見に影響されやすく、騙されやすい

周囲からは面倒な人と思われたり、誰に対しても誘惑するような行動を取るため同性の評価が悪くなりがちです。また、公衆の面前で情熱的な抱擁をしたり、そこまで仲良くないのに「唯一無二の親友」などと紹介することで困らせたり恥ずかしい思いをさせることがあります。

また、実際の自殺の危険性は分かっていませんが、臨床経験から自殺の素振りや脅しを行う危険が高いとされています。注意を引いたり、これはより親切な世話を強要したりするために行われる事が多いです。

さらに、演技性パーソナリティ障害は身体症状症、転換性障害(機能性神経症状障害)、うつ病を高い確率で合併しています

また、他のパーソナリティ障害が併存することも多いです。

演技性パーソナリティ障害の診断

演技性パーソナリティ障害の診断基準は、DSM-5では以下のように定義されています。

過度な情動性と人の注意を引こうとする広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる、以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 自分が注目の的になっていない状況では楽しくない
  2. 他者との交流は、しばしば不適切なほど性的に誘惑的な、または挑発的な行動によって特徴づけられる
  3. 浅薄で素早く変化する情動表出を示す
  4. 自分への関心を引くために身体的外見を一貫して用いる
  5. 過度に印象的だが内容がない話し方をする
  6. 自己演劇化、芝居がかった態度、誇張した情動表現を示す
  7. 被暗示的(すなわち、他人または環境の影響を受けやすい)
  8. 対人関係を実際以上に親密なものと思っている

(出典:DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引

上記のような特徴を診断する際、対人関係行動、個人的外見、情動表現性などの基準は文化や性別、年齢層によっても異なってくるため、注意が必要です。

他のパーソナリティ障害との鑑別

演技性パーソナリティ障害と共通の特徴を持つパーソナリティ障害も存在するため、しばしば混同されがちです。そのため、それぞれの特徴の違いに基づいて区別することが重要です。しかし、その人が演技性パーソナリティ障害に加えて1つまたはそれ以上のパーソナリティ障害の基準を満たすような場合は、それらすべての診断を下すことができます。

パーソナリティ障害分類 演技性との共通点 演技性と異なる点
境界性
  • 注目を集める
  • 操作的な行動
  • 素早く変化する情動
  • 自己破壊性
  • 親密な関係での怒りの爆発
  • 慢性的な空虚感 など
反社会性
  • 衝動的
  • 表面的
  • 興奮を求める
  • 向こう見ず
  • 誘惑的
  • 操作的
  • 利益や権力、他の物質的満足を得るために操作的な点 など
自己愛性
  • 他者からの注目を求める
  • 優越性に対する賞賛

演技性パーソナリティ障害の治療

演技性パーソナリティ障害の一般的治療は、すべてのパーソナリティ障害に対するものと同じです。

治療目標は注目を集めるようなやり方をせずに対人コミュニケーションが取れるようになることで、そのために精神療法、薬物療法が取り入れられることが多いです。

演技性パーソナリティ障害患者は自分の本当の感情に気づいていないことが多く、精神療法によって内的感情を理解することが重要とされています。

認知行動療法などの精神療法を行いつつ、症状に合わせて薬物療法が用いられます。抑うつ症状や身体愁訴には抗うつ薬、不安には抗不安薬といった形です。

パーソナリティ障害に有効なTMS治療(磁気刺激療法)

TMS治療は頭部に特殊なコイルを当て、脳に磁気刺激を与えて脳神経のネットワークのバランスを改善し、正常な活動に戻す治療法です。アメリカを始めとする欧米では普及が進んでいます。日本ではまだ一部の医療機関でしかTMS治療を受けることはできませんが、当院では治療が可能です。

パーソナリティ障害自体にTMS治療に治療が有効であるという論文が2019年に発表されています。(J Psychiatr Pract. 2019 Jan;25(1):14-21.)

薬物療法と比べて副作用の心配もなく、治療期間も短く済みます。

また、パーソナリティ障害に合併しやすい発達障害についても改善することが可能です。

TMS治療について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

まとめ

演技性パーソナリティ障害は他者の注目を集めることでコミュニケーションを取ろうとするもので、しばしば周囲の人を振り回してしまうことがあります。

また、演技性パーソナリティ障害はしばしば抑うつ症状や不安を伴います。こうした症状が見られる場合は心療内科や精神科を受診するようにしてください。

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