TMS治療の可能性と安全性|効果や副作用について実態調査に基づいて解説

TMS治療(正確にはrTMS治療:反復経頭蓋磁気刺激治療)は2002年カナダ保健省により臨床応用が承認。2008年アメリカ食品医薬品局(米国FDA)によりうつ病(薬物治療抵抗性成人大うつ病)への治療が承認されました。

その後、TMS治療可能性の範囲が拡大し、現在では、各種精神症状(メンタル)、発達障害特性、感覚過敏、脳疲労、ブレインフォグ、頭痛、原因不明の慢性疼痛、PMS、PMDD、軽度認知症、脳卒中の機能回復、パーキンソンなど、さまざまな領域でTMS治療の効果が期待されています。

当院では、QEEG(米国FDA承認機器使用)による診断結果を参考に、幅広い年齢層の患者様に対してTMS治療(米国FDA承認機器使用)を行っています。特に、発達障害の診断が下りるほどではないが「発達障害特性」のために困り事を抱えているグレーゾーンの方々にTMS治療を提供することで、生きづらさを解消していただいております。

「発達障害特性」を緩和することで、「二次障害」と言われる、不安、パニック、抑うつ、双極性障害、睡眠障害(不眠、過眠、睡眠時随伴症)、筋緊張性頭痛、摂食障害、強迫性障害、PTSD、依存、PMS(月経前症候群)、PMDD(月経前不快気分障害)、APD(聴覚情報処理障害)、失感情症、自律神経失調症、素行不良、不登校など、さまざまなメンタルの改善が期待できます。特に、適応障害に伴う抑うつや「発達障害特性」に伴う抑うつの場合、「発達障害特性」の改善が効果的です。

それ以外に、脳疲労、軽度認知症やMCI(軽度認知機能障害)、脳のパフォーマンスアップを目的とした治療も行っています。ある人にとっては治療であり、ある人にとってはパフォーマンスの向上とも言えるでしょう。ブレインクリニックは、TMS治療を安全で効果的な治療選択肢の一つとして捉えています。特に、グレーゾーンの場合、生きづらさを感じて困っているけど保険診療では救えない、そんなお悩みを抱えている方は、実はたくさんいらっしゃいます。

当院がそういった方々の駆け込み寺となれるよう、今後も精進してまいります。

TMS(経頭蓋磁気刺激)治療の実体調査

TMS治療は、主にうつ病などの精神疾患の治療に使用される身体に負担の少ない治療法です。この治療法は、脳の特定の部分に磁気パルスを与えることで神経活動を調節し、症状の改善を図ります。しかし、その新しさゆえに、安全性に対する懸念が一部で存在します。本ページでは、TMS治療が安全であることを、実体調査データの結果をもとに詳しく説明します。

TMS治療は、主にうつ病などの精神疾患に対する新しい治療法として注目されていますが、一部ではその安全性や効果に対する疑念が持たれています。特に、「うつ病への治療効果は認められているが発達障害特性への治療効果はあるのか」、「副作用やリスクが多いのではないか」、「子供や若年層への治療は危険ではないのか」という懸念が存在します。

このような声を受け、当院では実体調査を通じて、TMS治療を患者さまに安心して治療を受けていただけるよう努めています。

調査概要

当院でTMS治療を受けていただいた患者を対象に、治療前後の症状の変化や副作用の発現状況について詳細なアンケートを実施しております。調査人数として、総計1.8万名以上の患者から、アンケートにご協力いただけた約6千名の患者からの回答を集計しました。また、治療中の痛みや不快感についてもデータを整理し、分析を行いました。

■ 調査概要

調査対象 :5歳~50代以上の男女

集計サンプル対象⼈数 :6,076名

調査データ集計期間 :2021年1⽉〜2024年5⽉(アンケートにご協力いただけた患者のみ)

調査⽅法 :アンケート調査(問診票データ)

調査対象者の年齢と性別構成比

調査対象となった6,076名の患者の性別構成は、男性が56%、女性が44%でした。年代別の構成比については、19歳以下が36%、20-49歳が54%、50歳以上が10%となっています。

これらのデータから、TMS治療を受ける患者の大部分が20-49歳の層に集中していることがわかります。また、性別においては、全体的に男性の割合がやや高いことが示されています。

性別構成比のグラフ
年代別構成比のグラフ

効果・症状の改善傾向について

アンケートにご協力いただいた、治療効果を実感している約6千名以上の患者の中から、症状の改善の具体的な回答があった患者を診断分類別でみると、TMS治療が発達障害特性に関わる症状についても有効であることを示しています。

他にも、「その他」の診断を受けた患者の85%が、抱える症状の改善を実感、高い改善率を示しており、機微な症状や悩み・診断分類にかかわらず、TMS治療が効果的である可能性を示しています。

一部の患者は、頭痛の減少や睡眠の質の向上などの改善を挙げており、TMS治療で期待できる効果が現れています。

診断分類別の症状改善の有無

TMS治療で期待できる効果の一例

うつ症状の軽減
頭痛の減少
睡眠の質向上
ストレスや不安の軽減
気分の安定
怒りやイライラ軽減
パニック発作の減少
集中力の向上
体調の改善
多動性の改善

TMS治療で改善した症状項目

TMS治療で改善した症状の項目

最も多くの患者が改善を感じた項目は「ぐるぐる思考・ネガティブ思考」であり、59.7%に当たります。これは、TMS治療が思考のループや過剰な不安を軽減するのに効果的であることを示しています。次に多く改善された項目としては、「切り替え不良」で、23.6%の患者がこの項目の改善を報告しています。これは、TMS治療が思考や行動の切り替えにポジティブな影響を与えることを示しています。

また、その他の中には以下のような症状が挙げられます。

  • 過敏性が高い
  • 衝動性が高い
  • 緊張が強い
  • 空気を読みすぎて萎縮する
  • メタ認知のなさ
  • 学習障害
  • フラッシュバック
  • 頭痛

※本アンケート調査においての改善項目は、任意回答であり、項目が限定されているため、患者さまが感じた改善効果が特定の項目に該当していない可能性があります。例えば、ぐるぐる思考やネガティブ思考、切り替え不良といった項目はあるものの、その他の広範な症状や表現が異なる症状が改善された場合、そのデータが特定の項目に反映されていない可能性があります。

TMS治療で効果を実感するまでの回数

TMS治療の効果を実感するまでには、通常複数回の治療が必要です。治療の効果を実感するまでの平均回数を診断分類別にみると、発達障害特性の患者は平均して約10.8回、うつ病の患者は約11.8回となっています。診断分類によって効果を実感するまでの回数に多少の差はあるものの、全体的に平均10回程度で効果を実感されています。

また、19歳以下から50歳以上の年代別に見ても、各年代で効果の実感における治療回数に大きな差異は見られず、年齢にかかわらず一定の回数の治療が必要であることが示されています。

したがって、TMS治療を受ける場合、効果を実感するために一定回数継続して治療を受けることが重要です。治療を続けることで、症状の改善が期待できるため、定期的な通院と治療を続けることが求められます。

診断分類別の治療効果を実感するまでの平均回数
年代別の治療効果を実感するまでの平均回数

TMS治療の痛みについて

施術中に、照射部位や目などに痛みを感じられる患者がいらっしゃいます。

施術中の痛みに関するデータは、痛みのレベルを1(痛みはほとんど気にならない)から5(痛みで施術できない)までの5段階で評価しています。施術中の痛みの感じ方について、6,076名の患者を対象に集計を行いました。

施術中の痛み

施術の痛みは「ほとんど気にならない」患者が87%、「多少気になる」にとどまる患者までをあわせて97%を超え、大部分の患者にとって痛みをほとんど伴わない安全な治療法であることがわかります。

  • 「痛くて施術できない」患者は一例もいない。
  • 88%の患者は「ほとんど気にならない」程度の痛みしか感じていない。
  • 「多少気になる」程度の痛みを感じる患者が9%。
  • 合計で97%の患者が「ほとんど気にならない」または「多少気になる」程度の痛みしか感じていない。

施術中の痛みについて、多数の患者(88%)が施術中に「ほとんど気にならない」程度の痛みしか感じていないことから、TMS治療は大部分の患者にとって痛みを伴わない治療であることがわかります。

「多少気になる」程度の痛みを感じる患者を含めると、全体の97%が問題なく治療を受けており、痛みが非常に強く、施術を中断する必要があるレベルの痛み(評価5)は報告されていません。

TMS治療中・治療後の症状について

TMS治療中の症状
TMS治療後の症状

いずれの症状も発現率は1割未満。症状があっても「ほとんど気にならない」程度の軽微なもので、重篤な全身けいれんは1例もみられませんでした。

副作用の発現率

いずれの症状も発現率は1割未満であり、特に治療中の「全身けいれん」に関しては一例も報告されていません。

主な症状

治療中に最も多く報告された症状は「目の痛み」(7%)と「照射部位の不快感」(6%)でしたが、これらは大部分の患者にとって軽微なものでした。
治療後に最も多く報告された症状は「頭痛」(9%)であり、次いで「頭皮違和感」(3%)が続きました。

重篤な症状の報告はなし

重篤な症状(例:全身けいれん)は治療中・治療後ともに一例も報告されていません。

年代別の副作用の症状について

TMS治療中の症状
TMS治療後の症状

年代別に明確な傾向の違いはなく、いずれの副作用も発現率は10%以下にとどまる。

副作用の発現率には年代別に若干の違いがありますが、全体的には大きな差はありません。例えば、照射部位の不快感や筋収縮は50歳以上でやや高い発現率を示していますが、他の年代と比べて極端に高いわけではありません。

このデータから、TMS治療は各年代において安全であり、副作用の発現率は比較的低いことがわかります。目の痛みや頭痛が比較的高い発現率を示しているものの、重篤な副作用は報告されておらず、全体としてTMS治療は安全な治療法であると言えます。

実体調査に基づくよくある懸念事項に対する評価

これらの調査データから、TMS治療は、その高い安全性と広範な症状への効果のため、多くの患者にとって有益な治療法といえます。痛みや副作用の発現率が低く、重篤な副作用がほとんどないことから、安心して治療を受けることができます。

特に、「うつ病への治療効果は認められているが発達障害特性への治療効果はあるのか」、「副作用やリスクが多いのではないか」、「子供や若年層への治療は危険ではないのか」といった批判や懸念事項に対しては以下の評価を示すことができます。

うつ病に限らず発達障害特性などにも効果はあるのか

TMS治療で効果を実感している6,076名の患者のデータによれば、発達障害特性に分類される患者については、87%が具体的な症状改善を報告しています。これは、TMS治療が発達障害特性に関わる症状の緩和に寄与することが期待できることを示しています。

また、発達障害特性の患者がTMS治療の効果を実感するまでに要する平均回数は10.8回で、これはうつ病患者11.8回と比較して、少ない回数で効果を実感できることを示しています。

このことは、発達障害特性に対するTMS治療が他の疾患と比べて効果が現れるまでの時間が短い可能性を示しており、発達障害特性を持つ患者にとって有望な治療法であることが分かります。

うつ病に限らず発達障害特性にも関与した一定の治療効果

副作用やリスクの説明

調査データにおいて、全身けいれんなどの重篤な副作用は一例も報告されていません。年代別に見ても、副作用の発現率は一貫して低く、重大なリスクを示すものはありません。例えば、目の痛みや頭痛の発現率は高めですが、それでも全体の10%未満にとどまっています。

目の痛み、照射部位の痛みなど、痛みの程度については、「痛くて施術できない」患者は一例もおらず、74%から88%の患者は「ほとんど気にならない」程度の痛みしか感じていないため、患者がTMS治療を受ける際に感じる負担が非常に少ないことを示しています。

これらの結果に基づくと、TMS治療は総じて安全な治療法であるといえます。

重篤な副作用の報告なし軽微な副作用も発現率1割未満

子供や若年層に対しての評価

調査データにおいて、5歳~50代以上の幅広い年代層に治療を受けていただいておりますが、19歳以下の患者に対しても全身けいれんなどの重篤な副作用は一例も報告されていません。また、19歳以下の副作用発現率は、他の年代と大きな差はなく、全体的に低い水準を保っています。

TMS治療は、薬物療法や電気けいれん療法(ECT)に比べてリスクが低い治療法です。多くの臨床試験とデータによって安全性が認められた治療ですが、当院の調査結果においても同様のことが言えます。

子供や若年層に対する治療は慎重に行うべきですが、現在のデータはTMS治療がこれらの年齢層に対しても安全であることを示しており、医師による適切な評価と管理のもとで、TMS治療は有効かつ安全な選択肢となり得ます。

子供や若年層へも適用副作用発現率は他世代同様低い

代表的な懸念の声に対する効果と安全性についてのまとめ

代表的な
懸念の声
効果・安全性について
TMS治療はうつ病への治療効果は認められているが、発達障害特性への治療効果はあるのか。 TMS治療を受けた発達障害特性を有するおよそ9割の患者が症状の改善を実感しており、その割合は、うつ病の改善より高い割合となっている。
⇒TMS治療は発達障害特性に対して高い効果がみられた。
副作用やリスクに対する情報が不十分ではないのか。 施術中の痛みについて「痛くて施術できなかった」患者は1例もおらず。また、感じる程度は「ほとんど気にならない」が大半を占め、副作用と呼ばれるものはいずれも軽微なもので、発現率はいずれも1割(大半が4%以下)に満たなかった。
⇒副作用・リスクが低く安全性が高いことを示している。
子供や若年層に対して、TMS治療による頭部磁気治療を施すことは危険ではないのか。 年代別の回答においても、施術中の痛みや副作用の発現率に傾向の違いはみられなかった。
⇒子供や若年層に対して一概に危険とはいえない。

TMS治療に関する調査データの有効性

今回のデータは、ブレインクリニックにおけるTMS治療が、さまざまな精神症状(メンタル)に対し、安全で効果が期待できる治療法であることを示していると言えます。

特に、当院におけるTMS治療は、幅広い年齢層の「発達障害特性」に対して有効な治療法であると考えられ、その結果、「発達障害特性」による困り事の改善に留まらず、不安、抑うつ、睡眠障害など、発達障害特性に関連するメンタル(二次障害)の改善につながることが期待できます。

包括的な評価のため、多角的なデータ解析とそれに基づく研究の継続が必要であり、「発達障害特性」などさまざまな精神症状で悩まれている患者様が安全で効果的な治療法としてTMS治療を選択できるよう、更なる努力を行ってまいります。

発達障害専門外来
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15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併

21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併

22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併

8歳女性 学習障害、ADHD合併

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