WAIS-IV・WISC‐Ⅳ知能検査とは?検査の内容や分かることについて
目次
他の人に比べて苦手に思うことがあったり、発達障害かもしれないと疑っている方や、お子さまがその傾向にあるかもしれないと思う場合はWAIS-IV検査やWISC‐Ⅳ検査を受けてみることをおすすめします。
当院でも検査可能です。ご希望の方はWEB予約フォームもしくはお問い合わせからご連絡ください。
WAIS-IV・WISC‐Ⅳ知能検査とは?
WAIS-IV知能検査、WISC‐Ⅳ知能検査はウェクスラー式知能検査で、全体的な知的能力や記憶・処理能力を測るテストとして世界各国で使用されています。
年齢によってテストの内容が異なるのが特徴です。
- WPPSI:幼児用(対象年齢2~7歳)
- WISC:児童用(対象年齢5歳~16歳11ヶ月)
- WAIS:成人用(対象年齢16歳~90歳11ヶ月)
WISC‐Ⅳを受けたことがある方が再度検査を実施する場合、最低でも1年程度は間隔を空けることが望ましいとされています。可能であれば2~3年空けたほうが正確です。
WAIS-IV、WISC‐Ⅳ知能検査の内容
WAIS-Ⅳ、WISC‐Ⅳは、10種類の基本下位検査と5種類の補助下位検査で構成されます。補助下位検査というのは、必要に応じて行う検査のことです。
得点は、下記の図にあるように全検査IQと4つの指標得点の合成得点として算出されます。
全検査IQ(FSIQ)
全体的な認知能力を表す項目です。補助検査を除いた10種類の基本下位検査の合計から算出されます。
指標得点
言語理解指標(VCI)
言語による理解力・推理力・思考力に関する指標です。
言語を用いたコミュニケーションや推論などに必要な力と考えられています。
WAIS-Ⅳ | WISC‐Ⅳ | |
基本下位検査項目 | 類似、単語、知識 | 類似、単語、理解 |
補助下位検査項目 | 理解 | 知識、語の推理 |
知覚推理指標(PRI)
視覚的な情報を把握し推理する力や、視覚的情報にあわせて体を動かす力に関する指標です。
新しい情報に触れたときの見方や解決能力、対応力に影響すると考えられています。
WAIS-Ⅳ | WISC‐Ⅳ | |
基本下位検査項目 | 積木模様、行列推理、パズル | 積木模様、絵の概念、行列推理 |
補助下位検査項目 | バランス(16歳~69歳のみ)、絵の完成 | 絵の完成 |
ワーキングメモリー指標(WMI)
一時的に情報を記憶しながら、処理する能力に関する指標です。
ワーキングメモリは口頭での指示理解や、読み書き算数といった学習能力、集中力に大きくかかわることが指摘されています。
学習障害の方は、このワーキングメモリの指標が低い場合があります。
WAIS-Ⅳ | WISC‐Ⅳ | |
基本下位検査項目 | 数唱、算数 | 数唱、語音整列 |
補助下位検査項目 | 語音整列(16歳~69歳のみ) | 算数 |
処理速度指標(PSI)
情報を処理するスピードに関する指標です。
性格的にマイペースな人はこの指標が低い場合があります。
WAIS-Ⅳ | WISC‐Ⅳ | |
基本下位検査項目 | 記号探し、符号 | 記号探し、符号 |
補助下位検査項目 | 絵の抹消(16歳~69歳のみ) | 絵の抹消 |
WAIS-Ⅳ、WISC‐Ⅳ検査の結果で分かること
WAIS-Ⅳ、WISC‐Ⅳ検査の結果からは、様々なことが分かります。
発達障害の可能性を把握できる
検査結果から、発達障害の特性がどの程度あるのかを把握することができます。
ただし、発達障害といってもADHDやASD、学習障害などそれぞれ種類があるため、どれに該当しそうかを医師が参考にする程度の指標です。確定診断のためには、問診やQEEG検査(脳波検査)などでより正確に発達障害の症状を診察し、総合的に判断する必要があります。
注意点として、WAIS-Ⅳ、WISC‐Ⅳ検査の結果だけで発達障害の確定診断を出すことはできないという点が挙げられます。「発達障害の傾向が見られる」程度の情報だとお考えください。
生活のヒントが分かる
WAIS-Ⅳでは、4つの指標それぞれの得点が算出されます。そのため、苦手分野が分かりやすいです。
例えば、仕事において「指示の内容が理解できないことが多い」という人がWAIS-Ⅳを受けたとします。その結果、言語理解指標には問題がなかったものの、ワーキングメモリ指標が低いという結果から、耳で聞いた指示を理解しにくいのかもしれないということが分かったりします。
この結果から、「指示を受けるときはテキストでもらう」ということを徹底することで、指示の内容が理解できないという困りごとの解消が期待できます。
このように、自分の困りごとの原因を探り、検査結果をもとにして根本的な解決策を検討するヒントとして活用できます。
お子さまのケースですと、例えば先生の話していることが理解できないというお困りごとを抱えたお子さまがいるとします。WISC-Ⅳを受けた結果、ワーキングメモリ指標が低く、耳で聞いた内容を理解するのが苦手であることが分かりました。
こうした特性がわかったため、お子さまの学習がスムーズに進むように、授業内容をプリントアウトして授業前に準備し、それを見ながら授業を聞くといった工夫をすることでお困りごとを軽減するなどの対策ができるようになります。
WISC-Ⅳによって苦手分野を知ることで、どう工夫したらその困りごとが減るのかを検討するヒントを得ることが可能です。
得意分野が分かる
困りごとの原因を探る以外にも、得意分野を見つけるヒントにもなります。
例えば、知覚推理指標が高い場合は物事の本質を捉える能力に長けていると言えるので、臨機応変な対応が求められる仕事で他の人よりも活躍できる可能性があるかもしれません。
処理速度指標が高い場合は、膨大なデータを正確に処理する必要がある事務系の作業で力を発揮しやすいと言えます。
人間誰しも得意不得意があります。得意なことをすると、自分はそこまで苦労していないのに他者から感謝されることが増え、自己肯定感が高まる好循環が生まれます。
特に発達障害を抱える方はできないことばかりに注目が集まって自己肯定感が低くなりやすい傾向にあるため、得意なことを理解して伸ばすことは社会生活を送るうえでも重要です。
また、お子さまで発達障害を抱えている場合、周囲に比べてできないことが多いと感じたり、からかわれたりして自己肯定感が低下していることがあります。何をやってもダメだという気持ちが続くと、不登校になったり、うつ病などの精神疾患を発症することもあります。
得意なことを知って伸ばしてあげることは心理的にもいい影響を与えるため、WISC-Ⅳ検査を通してそのヒントを得ることはお子さまにとっていい影響を与えるでしょう。
当院ではWAIS-IV、WISC‐Ⅳ知能検査が可能です
ブレインクリニックでは、WAIS-IV、WISC‐Ⅳ知能検査を受けることが可能です。
また、検査の後日には心理士による検査結果のフィードバックを行い、強みや弱みを確認したり、日頃のお困りごとについてもお伺いして対応策などを一緒に考えることができます。
検査の結果、発達障害の疑いがあるとなった場合、当院では医師の問診の他にQEEG検査という最先端の脳波検査を行い、脳の状態を客観的に把握して診断します。
QEEG検査では「発達障害の診断には至らないが、発達障害の傾向にある」というグレーゾーンの診断も可能です。これにより、一人ひとりに合った治療をご提案することが可能です。
QEEG検査について詳しくは以下のリンクもご確認ください。
QEEG検査は脳の状態を可視化し、脳波が、脳のどの位置から、どんなタイミングでどのくらい出ているのかを画像にすることで、脳の各部位が正常に機能しているかどうかを診断することができる検査です。この記事では、QEEG検査について、通常の脳波検査との違い、具体的な検査方法、診断が可能な疾患について精神科医が解説しています。
脳の状態を診断するQEEG検査(定量的脳波検査)【当日治療開始可能】
15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併
21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併
22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併
8歳女性 学習障害、ADHD合併
技術の進歩により、治療前と治療後のQEEGの変化を客観的に評価することも可能になりました。
QEEG検査で脳の状態を可視化し、結果に応じて、薬を使わない治療など個人に合った治療を提案します。