感覚過敏の症状や原因、対処法、発達障害との関連性についてマンガで解説
目次
私たちが生活している空間は、様々な音やにおい、感触で溢れかえっています。多くの人は生活するうちに慣れて気にも留めなくなるものですが、人よりも五感を通した刺激に敏感な「感覚過敏」という症状を持つ人がいます。今回は、感覚過敏の症状や原因、対処法について解説します。
感覚過敏とは
感覚過敏とは、五感から受け取る刺激を過剰に強く感じてしまう状態を言います。その症状や度合いには個人差があり、例えば聴覚だけが過敏な人もいれば、視覚と嗅覚が過敏な人もいます。
こうした症状で激しい苦痛を伴ったり、不快感が生じる状態を感覚過敏と言います。
聴覚過敏
蛍光灯の「ブーン」「カンカン」といった音や、冷蔵庫の作動音、時計の秒針のような小さい音が気になってしまい、イライラしたり気が散ってしまったりします。
また、会話中に他の人の声や周囲の雑音が同じくらいに聞こえ、会話に集中できないなどの症状があります。
また、一部の方は聞こえ方以外にも耳の痛みや頭痛、めまいを伴う場合があります。
視覚過敏
晴れていると眩しくて目を開けにくい、パソコンの画面や紙の白が極端に眩しく感じるなどの症状があります。
また、明るさ以外にも目に入る情報量が多いとパニックになることもあります。例えばコンビニの雑誌コーナーなどでは、一度に入ってくる文字情報が多くて混乱してしまったりします。
触覚過敏
特定の衣服の繊維が気になってしまい着れなかったり、ヌルヌルしたものを触るとゾッとしたり、他人との握手が苦手などの症状があります。
大人だと職場の制服が合わないという問題が起こりえます。ストッキングを履くのが苦痛で仕事を辞めたりするケースもあります。
また、コロナ禍で着用が一般的になったマスクもつけていると不快に感じてしまうなどの問題もあります。
嗅覚過敏
洗剤や化粧品、香水などの匂いが気になり、電車やバスといった公共交通機関に乗ることができないことがあります。個人差はありますが、吐き気や頭痛につながる人もいます。
特に嗅覚過敏のある女性は化粧品を選ぶのに苦労することが多いです。
味覚過敏
独特な食感や舌触りの食べ物が苦手だったり、濃い味付けの食べ物が苦手だったりします。
味の好き嫌いが多いというより、食感が嫌という人が多いです。きのこ類、生野菜、揚げ物などが苦手な場合があります。
濃い味付けのものだと、コーヒーや濃いお茶、カレーなどが苦手に感じることが多いようです。
HSP・HSCとの違い
近年「繊細さん」としてその存在が認知されてきたHSP(Highly Sensitive Person)やHSC(Highly Sensitive Child)も感覚過敏のような症状が出ることもありますが、彼らは生まれ持った気質の影響で刺激を人一倍敏感に感じてしまいます。また、HSPやHSCはアメリカの心理学者アーロン博士が提唱している概念であって、正式な診断名としては確立していません。
感覚過敏の理解
感覚過敏の症状は周りから理解されにくく、単に我慢が足りないだけだと誤解されがちです。
子どもであれば特に、なにが嫌か・不快なのか、周りにうまく伝えられないことが多いです。
感覚過敏の人がどういったことで悩んでいるのか、マンガで分かりやすく解説していきましょう。
感覚過敏ではない人がこの漫画のような症状を理解することは難しいかもしれません。しかし、感覚として理解できなくても、そういうふうに感じている人がいることを理解し、配慮することはできます。
特に子ども同士の場合は悪気なく感覚過敏の人を傷つけてしまうこともあるため、親御さんから理解を促してあげるようにしましょう。
大人の感覚過敏の原因
大人の感覚過敏の原因は大きく分けて3つあります。
身体疾患
まず、受容器(耳、目など)に身体疾患があるケースです。突発性難聴、メニエール病によって聴覚過敏を引き起こしたり、緑内障や白内障による視覚過敏もあります。また、脳卒中など脳の神経系に障害が起こることで感覚過敏が誘発されるケースもあります。
発達障害に合併する感覚過敏
アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5では、発達障害の自閉スペクトラム症の特性の1つとして感覚過敏症などの感覚異常が加えられています。
しかし、発達障害だからといって感覚過敏とは限りませんし、その程度にも差はあります。
不安やストレス
体調や気分によって左右される傾向にあります。また、緊張や疲労によるストレスが原因で感覚過敏になることもあります。
また、認知症を発症しても感覚過敏の症状が出る場合があります。
感覚過敏の大人ができる対処法
感覚過敏は治そうと思って治せる症状ではありません。また、人によって程度が異なるため、効果的な対処法も異なります。
以下にそれぞれの感覚過敏について、症状を緩和するためのアイテムや方法をご紹介します。感覚過敏にお悩みの方は実践してみてください。
聴覚過敏の対処法
聴覚過敏の方は、大きな音のする場所を避けるようにすることが重要です。
また、どうしても避けることが難しい場合は、耳栓やノイズキャンセリングイヤホンを使用するのが良いでしょう。
その他、職場についても周囲に配慮を求めたり、就職活動の時点で1人で静かに働ける環境を選ぶのもおすすめです。
視覚過敏の対処法
視覚過敏の方は、外出する際に帽子や遮光レンズメガネ、サングラスなどを身につけるようにしましょう。目に入る光を少なくすることで、症状は落ち着きます。
その他、パソコン用のメガネ(ブルーライトカット)やディスプレイ設定で照度を下げる、夜間モードなどを使用してみるのもいいでしょう。
その他、紙や本が眩しく感じる場合は、色付きのクリアファイルなどを使うのもおすすめです。また、最近では淡色のノートなどがあるので、気になる方は使ってみてください。
触覚過敏の対処法
触覚過敏の方は、自分が苦手とする触感の繊維を把握し、購入時から避けるようにしましょう。トライアンドエラーで時間はかかりますが、苦手を把握すればあとは気にならずに済みます。普段着はもちろん、仕事でどうしても着用しなくてはいけない制服なども、インナーを工夫するなどして調整してみましょう。
他人から触れられるのが苦手という方は、用事がある場合はまずは声をかけてもらうようにすると良いでしょう。
また、コロナ禍で着用が必須とも言える状況になっているマスクが苦手な方は、自分にあう素材のマスクを探したり、マスクを付けなくてもいい環境にいる(自宅など)ようにしましょう。例えば出社とリモートワークが選べるような場合は、リモートワークを選んで自宅で仕事をすれば問題ありません。
嗅覚過敏の対処法
嗅覚過敏の方は苦手な匂いによって対処が変わってきます。例えば外の色々な匂いが苦手ならマスクを着用してなるべく匂いをカットしたりできます。
反対にマスクの匂いが苦手という方もいると思いますが、その場合はマスクの裏側にアロマオイルを垂らして使う布シールなどが販売されていますので、その使用を検討してみるのも良いでしょう。また、触覚過敏の方と同様にマスクを付けなくていい環境で過ごすことも対処法です。
味覚過敏の対処法
味覚過敏はまず自分が何が苦手なのかを把握しましょう。食べ物の食感なのか、味なのかでも変わってきます。食感が嫌な場合は調理法で自分に合った食感にする、濃い味が苦手ならその食べ物を食べないようにしましょう。ただし、周囲の人に説明はしたほうがいいでしょう。単なる好き嫌いと誤解されてしまうと食べるように促されたりして余計に不快な気分になりかねません。
まとめ
感覚過敏は通常の人にはなかなか理解してもらえない症状です。周囲にわがままな人だと思われてしまうこともあります。
まずは自分の症状を具体的に説明して、周囲の人に知ってもらいましょう。また、自分でできる対処は積極的に取り入れましょう。
また、発達障害に合併する触覚過敏の場合は発達障害の治療を進めることで緩和することもあります。医師による診察を受け、治療を進められるように周囲の人がサポートするようにして行きましょう。
感覚過敏はストレスや疲れから悪化することがあるので、十分な休息を取るように心がけたり環境を調整したりすることも重要です。
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