うつ病の症状や原因、TMS治療に関して精神科医が解説
発達障害専門外来
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うつ病の症状や原因、TMS治療に関して精神科医が解説

うつ病という言葉は世間に広く浸透していますが、自分がうつ病なのか、それとも単に気分が落ち込んでいるだけなのかはっきりとせず、適切な治療を受けることができずに苦しんでいる方も多いです。この記事では、うつ病の症状や原因、治療法について精神科医が解説します。

うつ病とは

まずうつ病とは、気分が強く落ち込み憂鬱な気分になったり、やる気が出ないといった精神的な症状や、不眠、疲労、体のだるさといった身体的な症状が現れることのある病気です。

アメリカ精神医学会の精神疾患の分類を示したDSM-5では、気分障害の一種として分類されています。

日本の気分障害の患者数は、平成29年度のデータで127.6万人となっています。(厚生労働省「平成29(2017年)患者調査」より)

うつ病の患者は近年増加傾向にあり、大きな問題となっています。

うつ病には「大うつ病性障害」と「双極性障害」の2つがあり、それぞれで特徴が違います。

大うつ病性障害

大うつ病性障害は、皆さんのイメージするうつ病に最も近いものです。詳しくは後述しますが、気分が落ち込んだり、やる気が無くなったり、不眠に悩んだりといった症状が出ます。

双極性障害

双極性障害は、うつ状態と躁状態を繰り返す病気です。気分が激しく落ち込み、何に対してもやる気がなくなることもあれば、反対に周囲の人が驚くような突飛な行動に走ったりします。

双極性障害については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

病型による分類もある

病型によるうつの分類も存在します。代表的なものをご紹介します。

メランコリー型うつ

メランコリー型は典型的なうつ病で、仕事のプレッシャーなどから疲れ果ててしまい、何が合っても楽しくない、常に食欲不振などがあります。

非定型うつ

非定型は良いことは気分が良くなりますが、過眠や倦怠感、他者の言葉に敏感などの症状が見られます。

季節型うつ

その名の通り、特定の季節にうつ病を発症するものです。個人によって違いますが、冬季うつ病が有名です。日照時間との関連性があると考えられています。
季節性うつについては以下の記事で詳しく解説しています。

産後うつ

出産後の母親が発症するうつ病で、悲壮感、気分の激しい浮き沈み、疲労感などが数週間から数ヶ月続きます。

マタニティ・ブルーという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、こちらは軽度の産後うつのことです。産後3日以内に気分が落ち込んだり悲壮感を抱いたりというもので、多くの母親が経験するものです。マタニティ・ブルーはだいたい2週間前後で落ち着くことが多いです。

受験うつ

受験勉強のストレスや将来への不安などからうつ病を発症するもので、頭が働かない、机に向かいたくない、集中できない、常に焦りを感じるなどの症状があります。受験は日時が決まっているため、可能な限り早く治しつつも薬物療法の副作用は抑えたいという難しい局面になることがあります。後述しますが、TMS治療(磁気刺激療法)による治療は副作用もほとんどないため、当院でもおすすめしています。
受験うつについては以下の記事で詳しく解説しています。

うつ病の症状

うつ病の症状は大きく分けて精神症状と身体症状に分かれます。以下に代表的な症状をご紹介します。下記のような症状が1~2週間以上続く場合はうつ病の可能性があるため、医療機関の受診をおすすめします。

精神症状

  • 口数が少なくなる
  • 何でもネガティブに考える
  • 何もやる気が起きなくなる
  • 気分が落ち込む
  • 何事にも無関心になる
  • 不安や焦りを感じる
  • イライラする
  • 喜びや楽しみを感じられない
  • 集中できない
  • お酒を飲む量が増える
  • 外見を気にしなくなる(ヒゲを剃らない、服を洗濯しないなど)

身体症状

  • 頭痛
  • 耳鳴り
  • 不眠もしくは過眠
  • めまい
  • 腹痛・胃痛
  • 生理不順
  • 下痢・便秘
  • 腰痛
  • 味覚障害
  • 食欲不振(もしくは過食)

こうした身体症状があることからも、実はうつ病患者は最初に内科を受診することが多いのです。
うつ病患者の初診に関する円グラフ

(三木 治:心身医学 42(9): 586, 2002)

うつ病の原因

うつ病に関する多くの研究の結果、発症する原因は1つではないことが分かっています。耐え難い経験が発症のきっかけになっていることが多いですが、それ以外にもいろいろなことが積み重なって発症することがあります。以下に代表的な原因を紹介します。

遺伝的要因

うつ病自体が遺伝する特定の遺伝子があるわけではありません。しかし、複数の遺伝子が関与してうつ病に対するかかりやすさが遺伝するのではないかと考えられています。性格やストレスの感じやすさを遺伝して、うつ病を発症しやすい状態にあるということです。

環境要因

最も発症のきっかけになりやすいものです。家族や友人の死、失職、健康トラブル、人間関係のトラブル、自然災害など、様々な要因で発症に至ります。

性格要因

遺伝的要因でも挙げましたが、義務感の強い人や完璧主義の人はうつ病を発症しやすいです。仕事や自分の役割がうまく回っている場合は自然に気持ちも回復することがありますが、うまくいかない状況が続くと気持ちが回復せず、発症に至ることがあります。

身体的要因

精神的要因だけでなく、身体的な要因でも発症することがあります。

例えば交通外傷や脳出血など、脳に損傷を負った場合に脳の機能が損なわれ、発症する場合があります。また、慢性身体疾患(糖尿病、心臓病、がんなど)の患者はうつ病に罹患しやすいとされています。これは、もともとできていたことができなくなったり、病気と一生付き合っていかなくてはいけないストレスから来ていると言われています。

発達障害の二次障害

発達障害やうつ病の合併
アスペルガー症候群(ASD)の方はうつ病を併発しやすいことが分かっています。また、注意欠陥多動性障害(ADHD)の方もうつ病の併発に注意が必要です。

発達障害の方は定型発達に比べて叱責を受けやすく、自尊心や自己肯定感が低くなることが多いです。そのため、うつ病の発症リスクが高くなります。

発達障害とうつ病などの気分障害を併存しているかどうかの診断は難しいと言われています。ASDは自分の困り事や感情を表現することが苦手な方が多く、定型発達の型と同じような診察では症状の把握が困難なことが多いためです。

うつ病の検査、診断

うつ病の検査は、まず一般的な検査(尿検査、血液検査、甲状腺機能、肝腎機能など)で身体的な異常がないかを確認し、その後に服用している薬がある場合はその服用歴なども確認します。これは、身体疾患や薬による発症でないことを確認する目的で行われます。

総合病院などでは、上記に加えてCTやMRIなども行うことがあります。

その後、問診で普段の様子や困りごとなどを聞いていきます。このとき、患者本人だけではなくご家族や親しい友人などにも話を聞くことができると、客観的な情報も踏まえて診察ができます。

当院ではFDA(アメリカ食品医薬品局)に認可されているQEEG検査を行い、うつ、不安障害、パニック障害、双極性障害といった二次障害の症状も診断し、治療をすることが可能です。

発達障害の二次障害として生じるうつは通常の大うつ病と異なり、薬物抵抗性となることが多く、非定型うつと言われています。

客観的指標のない精神科領域において、QEEGは欧米では非常に需要のある検査法です。

うつ病の治療

うつ病の治療法は大きく4つあり、「休養」「環境調整」「薬物療法」「精神療法」です。また、近年新たな治療法としてTMS治療(磁気刺激治療)が行われています。それぞれ詳しく見ていきましょう。

休養・環境調整

まず、十分な休養を取ることが何よりも大切です。ストレスのかかる環境から距離をおいて心と身体を休ませます。

また、受けるストレスを軽減するためにも、職場や学校、家庭での環境調整も重要です。部署を異動させてもらったり、残業をしないで帰れるようにしてもらったり、朝少しゆっくりできるようにしてもらったりなど、可能な範囲で配慮してもらうのが良いでしょう。学校であれば保健室や相談室を利用したり、他の児童がいないタイミングで登校したりすることで不安やストレスが軽減することがあります。

家庭では家事の分担や1人になれる時間を確保したり、子どもの世話を両親にも手伝ってもらうなどして負担を減らすことが大切です。

うつ病を発症しやすい人は責任感が強い傾向にあるため、休養を取ることに申し訳無さを感じてしまうかもしれませんが、ゆっくり休めるように周囲の人が協力していきましょう。

薬物療法

うつ病は薬による治療ができる病気です。もちろん効果に個人差はありますし、ある程度の期間は継続して服用する必要があります。また、以下の薬の他にも症状に合わせて抗不安薬、睡眠導入薬、気分安定薬なども使用されます。

現在日本で販売されている新規抗うつ薬は以下です。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

  • フルボキサミン(デプロメール®/ルボックス®)
  • パロキセチン(パキシル®)
  • サートラリン(ジェイゾロフト®)
  • エスシタロプラム(レクサプロ®)

SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

  • ミルナシプラン(トレドミン®)
  • デュロキセチン(サインバルタ®)
  • ベンラファキシン(イフェクサー®)

NaSSA:ミルタザピン(リフレックス®/レメロン®)

SSRIとNaSSAの比較

(画像出典:2011年昭和大学薬学雑誌第2巻第1号『抗うつ薬はどのようにうつ病に効果をもたらすか?―SSRIとNaSSAの比較―』)

精神療法

休養と環境調整、そして薬物療法でうつ病は回復することが多いです。しかし、うつ病は再発もしやすい病気です。そして、再発をするたびに休養をしてしまうと社会生活が満足に送れなくなってしまうことがあります。そこで、再発を予防する目的も兼ねて行われるのが精神療法です。

認知行動療法や対人関係療法を行い、患者の考え方を変えていくことでうつ病を引き起こすストレスを軽減します。患者によって実施する時期や内容は異なりますし、その他の薬物治療などとの調整もあります。詳しくは医師の指示に従いましょう。

TMS治療

欧米で普及が広がっている治療法で、日本ではまだ限られた医療機関でしか治療を受けることができません。

磁気刺激によって脳の特定部位を活性化させることによって脳血流を増加させ、低下した機能をもとに戻していきます。

TMS治療は1回あたり約20分程度磁気刺激を当てるもので、大きな痛みや副作用はありません。また、治療期間も3週間~6週間程度となることが多く、これまで薬物療法で効果が見られなかった場合でも症状が改善していくことが多いです。

TMS治療に関する詳細は以下の記事で解説していますので、参照してください。

まとめ

うつ病は適切な治療を受ければほとんどの場合で回復し、問題なく日常生活を送れるようになる(=寛解する)病気です。責任感の強い人がなりやすい病気ですので、もし異変を感じたら周囲の人もサポートし、休みやすい環境を整えてあげましょう。


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医師の主観ではなく、客観的なデータで診断
脳の状態を診断するQEEG検査(定量的脳波検査)


15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併

21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併

22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併

8歳女性 学習障害、ADHD合併

技術の進歩により、治療前と治療後のQEEGの変化を客観的に評価することも可能になりました。
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