テレワークうつの予防のためにすべきこと

テレワークうつの予防のためにすべきこと

2020年から新型コロナウイルスが流行し、テレワークに切り替えて仕事をする人が増えてきました。コロナウイルス対策は2021年も続くため、今後はさらにテレワーク化が進むでしょう。

そんな中、テレワークによって気分の落ち込みや仕事に身が入らないなどの症状を訴える人も出てきています。

今回は、テレワークうつの症状、テレワークうつになりやすい人、予防法を精神科医がご紹介します。

テレワークうつとは

テレワークうつとは、テレワークの導入によって引き起こされるうつ症状を指すものです。

テレワーク自体は2000年代から通勤混雑の解消や地方活性化を目的として政府によって推奨されてきました。その動きが、新型コロナウイルスの影響で急激に加速しています。

テレワークの導入自体は企業側に以下のようなメリットをもたらすものとして注目されています。

  • 労働力不足の解消(育児中でも、地方在住でも雇用しやすい)
  • コスト削減(オフィスの縮小など固定費の削減が可能)

社員側からしても、通勤時間の短縮などで負担は少なくなるように思います。

しかし、仕事の環境が一変することによって、多くの方がストレスを抱えやすくなっているのも事実です。

以下の新型コロナウイルス感染症によって生じている働き方の問題点のグラフでは、「仕事上でのストレスを抱える従業員が増えた」と回答した人は59.8%もいます

コロナウイルスで仕事のストレスを感じている人のグラフ

(画像出典:一橋大学イノベーション研究センター『新型コロナウィルス感染症への組織対応に関する緊急調査 : 第一報』)

人によってはコミュニケーションが減ったことで集中できて良いと思っている一方で、やはりテキストベースのコミュニケーションでは意思伝達が難しく、ストレスを感じている方もいるようです。

気をつけるべき時期

テレワークの導入タイミングは企業によってバラバラですが、特に気をつけるべき時期は5月~7月あたりです。

この時期は4月に入社した新入社員や、新しい部署に配属される人が1~3ヶ月ほど経つタイミングで、新たな環境に適応しようと頑張っていた心の糸が切れやすいです。テレワーク導入以前から「5月病」の時期として知られており、突然うつ症状が出てしまう人が多いです。

5月病について

テレワークうつの症状

テレワークうつの症状は人によって異なりますが、多くの場合は以下のような抑うつ症状を中心に表れます。

  • 集中力が持続しない
  • テレワーク前と同じことをしているのに仕事の効率が悪くなった
  • 人と会うのが億劫になり、誰とも話したいと思わなくなった
  • 孤独感を強く感じる

仕事に向かっているときに上記のような症状が出て、仕事から離れているときには症状が感じられないという場合は適応障害の診断が下されることが多いですが、上記の症状が長期間続いたり、仕事から離れているときにも見られるようになった場合、うつ病(大うつ病性障害)の診断が下されることもあります。

うつ病まで症状が進行してしまうと、投薬治療など医療機関での専門的な治療が必要になります。症状がひどくならないよう、予防することが重要になります。

うつ病について

テレワークうつになりやすい人

テレワークに関する種々のアンケートやSNSでの反応を見ると、「ずっとテレワークでいい」という人と「オフィスに出勤して仕事をしたい」という人に分かれているように感じます。どちらも自由に選択できるのが最適解ですが、現状はそうもいきません。

テレワークうつになりやすい人にはいくつかの特徴があります。

会社で直接コミュニケーションを取るのが好きな人

まず、もともと社交的なタイプで人とコミュニケーションを取ることが好きな人は、テレワークによって物理的なコミュニケーションの機会が減ったことにより、調子を崩しやすいです。営業職やマネジメント層の人は、客先とのアポイントや定例のミーティングなどで仕事のリズムを作っていることが多く、そういった機会が減ってしまうと仕事に身が入らなくなることもあるようです。

自宅がストレス解消の場所になっている人

自宅で映画を見たり音楽を聴いて楽しむのがストレス解消になっている人は、テレワークで自宅が職場になってしまうことでオンオフが切り替えられず、うつ症状が出てきてしまうことがあります。

特に若くて収入もまだ多くない場合、仕事をする場所、食事をする場所、寝る場所が同じことがほとんどです。仕事からプライベートにうまく気持ちを切り替えられずに、リラックスできないという方は注意しましよう。

生活リズムが乱れている人

テレワークによって通勤時間がなくなり、遅い時間まで夜ふかししても始業に間に合うようになると、生活リズムが乱れてしまいます。また、テレワークでは休憩時間をとるタイミングが個人に委ねられていることも多く、食事のタイミングもバラバラになりがちです。

生活リズムが乱れると不眠にも繋がり、進行するとうつ症状が出るようになります。

仕事のプレッシャーを感じやすい人

テレワークの導入により、多くの企業で個人の成果・成績が可視化されるようになってきました。成果主義は効率的な側面がある一方で、チームを円滑に回したりマネジメントしたりするような見えないスキルが可視化されにくいという側面もあります。

これまではソフトスキルで評価されていたけど、テレワークによってその評価が難しくなり、プレッシャーを感じている人も多いでしょう。

また、テレワークによって「自分は正しく評価されているのか」と思い悩み、モチベーションが保てなくなったり、目標設定ができなくなり、やる気を失う方もいます。

テレワークうつにならないためにできること

テレワークうつを予防するために最も重要なのは、オンオフのメリハリをつけることです。

仕事場とリラックスするスペースが一緒だと切り替えが難しく、ずっと仕事のことを考えてしまいストレスが溜まってしまうことが多いです。そういった状況を予防するように、以下のような工夫をしてみましょう。

仕事とプライベートで服を着替える

まず、仕事をするときは職場に行くときと同じような服装に着替えるようにしましょう。着替えることで仕事モードに気持ちを切り替え、終業したらリラックスできる部屋着に着替える。これをするだけでもメリハリがつき、精神的にリラックスする時間を作ることができます。

休憩時間は作業場所を離れる

仕事中の休憩時間は、なるべく仕事場を離れるようにしましょう。ずっと同じところに座ったままでは健康にも悪影響です。外を散歩するなどして、物理的に仕事場から離れるのがおすすめです。

終業したらパソコンや業務端末の電源を切る

オフィスで仕事をしているときは、仕事が終わったら物理的に距離を取ることができますが、テレワークでは手を伸ばせば仕事用のパソコンや業務端末を触ることができてしまいます。仕事が終わったら電源をオフにして、業務時間外は見えないところにしまっておくことで、オンオフをはっきりさせることができます。

うつ症状がひどくなった場合の対処法

テレワークが長引いてうつ症状がひどくなっていると自覚している場合は、迷わず周囲に相談したり、医療機関を受診するようにしましょう。治療開始は早ければ早いほうがよく、症状が悪化する前に適切な処置をすることが重要です。

心療内科や精神科を受診して適応障害やうつ病の診断を受けると、基本的にはカウンセリングや薬物療法を中心に治療を進めることになります。

薬物療法は対症療法であって根本的な治療ではありません。また、少なからず副作用もあるため、環境調整やカウンセリングの補助的な治療です。

うつ病に有効なTMS治療

近年では、うつ病の治療にTMS治療(磁気刺激治療)が有効であると報告されています。

TMS治療は欧米で普及が広がっている治療法で、日本ではまだ限られた医療機関でしか治療を受けることができません。

磁気刺激によって脳の特定部位を活性化させることによって脳血流を増加させ、低下した機能をもとに戻していきます。

TMS治療は1回あたり約20分程度磁気刺激を当てるもので、大きな痛みや副作用はありません。また、治療期間も3週間~6週間程度となることが多く、これまで薬物療法で効果が見られなかった場合でも症状が改善していくことが多いです。

当院ではTMS治療を実施可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

様々なストレスを抱えるビジネスマンの来院も増えてきております。

TMS治療に関する詳細は以下の記事で解説していますので、参照してください。

まとめ

テレワークうつは、進行するとうつ病などの本格的な精神疾患につながってしまうことがあります。調子が悪いと思ったときは無理をせず休息を取るようにし、症状がひどくなる前に心療内科や精神科を受診することをおすすめします。

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医師の主観ではなく、大規模脳波データベースと比較し、客観的なデータで症状の程度を診断
脳の状態を診断するQEEG検査(定量的脳波検査)【当日治療開始可能】



15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併

21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併

22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併

8歳女性 学習障害、ADHD合併

技術の進歩により、治療前と治療後のQEEGの変化を客観的に評価することも可能になりました。
QEEG検査で脳の状態を可視化し、結果に応じて、薬を使わない治療など個人に合った治療を提案します。


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