回避性パーソナリティ障害とは?症状、診断、治療

回避性パーソナリティ障害とは?症状、診断、治療

批判されるのが怖くて人と話すことを拒絶したり、とても仲はいいのにどこか遠慮しており、自分には長所がないと思っている人がいます。そういう人は、回避性パーソナリティ障害の可能性があるかもしれません。今回は、回避性パーソナリティ障害の症状、診断、治療について解説します。

パーソナリティ障害について

回避性パーソナリティ障害とは

回避性パーソナリティ障害は、重度の自意識過剰や不安から、様々なことに臆病になってしまうのが特徴です。自分の意見を言わなかったり、そもそも人付き合いを避けたりしますが、その反面で他者から愛されたい、受け入れられたいという思いが強いです。

有病率

米国で2001~2002年に行われた「米国におけるアルコールおよび関連疾患に関する全国疫学調査」のデータでは、回避性パーソナリティ障害の有病率は2.4%と推測されています。

男女に頻度に違いはないようです。

原因

原因ははっきりとは分かっていません。背景に発達障害があることもありますし、生まれ持った性質が関係しているとも言われています。また、生まれ育った環境と遺伝の相互作用で発症するとも言われています。

回避性パーソナリティ障害は、幼児期から臆病だった人に多く見られます。また、親に褒められてこなかったり、学校で長期間いじめにあっていたなどが原因で、他者からの否定に対して不安を感じる環境下にあった経験を持つ人が発症することが多いようです。

経過

小児期の内気さが前兆となっているケースが多く、新しい人との社会的関係が特に重要になる青年期および成人期早期にますます内気になっていくことがあります。

一方で、成人期になると目立たなくなり、加齢とともに寛解してくる傾向があるという証拠もあります。

回避性パーソナリティ障害の症状

とにかく他者からの批判や拒否を極度に恐れ、対人場面や社会的活動を避けます。

具体的には、以下のような症状が見られます。

  • 新たに責任を負うと同僚から批判されるかもしれないので、昇進を断る
  • 自分が好かれていることに確信を持てない限り、友人になろうとしない
  • 他者と友人になるためには、いくつもの試験を乗り越えなくてはならないと思っている
  • 嘲笑されることを恐れ、自分のことを話さない
  • 些細な指摘でとても傷つく
  • 相手のわずかな所作から嘲りを感じ取り、強い反応を示す
  • 自分を他の人よりも劣った存在だと思っている

他者から見ると「内気」「臆病」「孤独」「孤立」というイメージが付きやすいです。こうした症状によって、社会的、職業的な問題が発生することがあります。例えば服装を指摘されそうで面接を断ってしまう、他人に迷惑をかけてしまう気がして頼み事ができないなどです。

周囲との関わりを拒絶する傾向にあるため、いざ自分に社会的な問題が発生したとき、支えてくれる人や組織がないことがあります。

他者との関わりを避ける一方で、他者から愛されることや受け入れられることに憧れを抱いています。

回避性パーソナリティ障害の診断

回避性パーソナリティ障害の診断基準は、DSM-5では以下のように定義されています。

社会的抑制、不全感、および否定的評価に対する過敏性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 批判、非難、または拒絶に対する恐怖のために、重要な対人接触のある職業的活動を避ける
  2. 好かれていると確信できなければ、人と関係を持ちたがらない
  3. 恥をかかされる、または嘲笑されることを恐れるために、親密な関係の中でも遠慮を示す
  4. 社会的な状況では、批判される、または拒絶されることに心がとらわれている
  5. 不全感のために、新しい対人関係状況で抑制が起こる
  6. 自分は社会的に不適切である、人間として長所がない、または他の人より劣っていると思っている
  7. 恥ずかしいことになるかもしれないという理由で、個人的な危険をおかすこと、または何か新しい活動に取り掛かることに、異常なほど引っ込み思案である

(出典:DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引

他のパーソナリティ障害との鑑別

回避性パーソナリティ障害と共通の特徴を持つパーソナリティ障害も存在するため、しばしば混同されがちです。そのため、それぞれの特徴の違いに基づいて区別することが重要です。しかし、その人が回避性パーソナリティ障害に加えて1つまたはそれ以上のパーソナリティ障害の基準を満たすような場合は、それらすべての診断を下すことができます。

パーソナリティ障害分類 回避性との共通点 回避性と異なる点
依存性
  • 不全感
  • 批判に対する過敏性
  • 保証への欲求
  • 屈辱および拒絶からの回避ではなく、世話をされることに焦点がある
シゾイド
  • 社会的孤立
  • 社会的孤立に満足しているし、好んでいることが多い
猜疑性(妄想性)
  • 他者に秘密を打ち明けない
  • 恥ずかしさからというより、他人の悪意を恐れている

回避性パーソナリティ障害の治療

回避性パーソナリティ障害の一般的治療は、すべてのパーソナリティ障害に対するものと同じです。

基本的には思考や感情のあり方を整理するための精神療法と、不安や欲痛などを軽減するための薬物療法を併用します。薬物療法はパーソナリティ障害自体に効果があるわけではありませんが、うつ症状や不安を緩和することで患者が治療に向き合うことを助けることができます。

集団療法や認知行動療法によって、自身の拒絶に対する敏感さが自分や周囲にどのような影響を及ぼしているかを理解できるようになる場合があります。

一方で、回避性パーソナリティ障害の患者は治療を避ける場合があり、治療を拒否してしまったことがさらに自己否定に繋がることがあります。その結果、登校拒否、出社拒否という状況に陥り、引きこもりにいたることもあります。

また、他のパーソナリティ障害にも言えますが、不安症や抑うつなどの病気を併発していたり、アルコールや薬物への依存がある場合は治療が長期化する傾向にあります。

パーソナリティ障害に有効なTMS治療(磁気刺激療法)

TMS治療は頭部に特殊なコイルを当て、脳に磁気刺激を与えて脳神経のネットワークのバランスを改善し、正常な活動に戻す治療法です。アメリカを始めとする欧米では普及が進んでいます。日本ではまだ一部の医療機関でしかTMS治療を受けることはできませんが、当院では治療が可能です。

パーソナリティ障害自体にTMS治療に治療が有効であるという論文が2019年に発表されています。(J Psychiatr Pract. 2019 Jan;25(1):14-21.)

薬物療法と比べて副作用の心配もなく、治療期間も短く済みます。

また、パーソナリティ障害に合併しやすい発達障害についても改善することが可能です。

TMS治療について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

まとめ

回避性パーソナリティ障害は周囲から見ると内気で臆病に見えたり、交流を避けているように見えてしまいます。しかし、心の中では他者と交流したい、受け入れられたいという気持ちをもっています。そのため、突き放したりはせずに無理のない範囲で交流を深めていくようにしましょう。

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15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併

21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併

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