自己愛性パーソナリティ障害の特徴やタイプ、診断、治療について精神科医が解説
発達障害専門外来
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自己愛性パーソナリティ障害の特徴やタイプ、診断、治療について精神科医が解説

パーソナリティ障害全般については以下の記事を参照してください。

パーソナリティ障害の特徴、種類、診断、治療について精神科医が解説

自己愛とは?

「自己愛」とは、文字通り、「自分が好き」という感覚を指します。

この「自己愛」は、他者に思われて育つものであり、自分への愛情は他者への愛に繋がるものです。

年齢を重ねるごとに成熟していくと言われています。

自己愛性パーソナリティ障害の特徴

この障害の特徴として、思い描いている理想的な自分と、何一つ取り柄のない自分という両極端なイメージしかなく、等身大の自分のイメージがないという点があります。

また、結果が全てと考える反面、地道な努力は意味がない、努力をしないことが自分の能力を証明するといったように全く正反対の考え方をする傾向にあります。

注目されたい、褒められたいという思いが強い一方で、他者からの指摘や評価に対して傷つきやすく、引きこもってしまったりうつになってしまったりします。

こうした傾向が認められ、社会生活に支障をきたすレベルになっている場合に自己愛性パーソナリティ障害と判断されます。

女性よりも男性に多く見られ、また、大うつ病や物質使用障害を合併しやすいという報告があります。

自己愛性パーソナリティ障害の原因

原因を断定することは難しいとされており、現在2つの仮説が提唱されています。精神分析学者カーンバーグの説、国際精神分析学会のコフートの説です。

カーンバーグの説

カーンバーグは、人が生まれながらに持っている気質的要因(ものの見方や感情の振れ方等)に環境的要因(親子の関係性、家族環境等)が影響し、自己愛性パーソナリティが形成されていくとしています。

物事をどう切り取って見るか、どのくらい深く考えるか、面白いと思うかなど、人それぞれ度合いは違います。一方で、家族では気質が似ることもあります。

こうした気質的要因に加えて、子どもに期待をしすぎて特別な存在だと言い聞かせたり、過保護に扱ってしまい、結果的に自己愛が未成熟なまま成長してしまうことが原因で自己愛性パーソナリティ障害になるとしています。

コフートの説

コフートは、幼少期の子どもの承認欲求を親が肯定し、共感することが自己愛の形成に大きな影響を与えているとしています。

しかし、親が子どもへの共感を示さないと、自己愛が育ちにくくなります。自己愛が成熟していないと他人からの称賛や注目を集めて自己愛を満たそうとしますが、それで自己愛が成熟することはありません。

褒められなければ愛されないという思い込み

この障害の人は、「自分が大好き」のように見えますが、その根底には、「自分を好きになれない」という気持ちがあります。

もともとプライドを気にする傾向がある点と、育った環境の両方が関与していると言われています。

現代社会が「勝たなければ」と思わせる

社会全体が目に見えるものを追求しており、なかなか内面の価値へと目が向けられなくなっているということが関係しています。

自己愛性パーソナリティ障害の診断

自己愛性パーソナリティ障害の診断は、基本的にはアメリカ精神医学会によるDSM-5のいずれかに基づいて診断されます。

DSM-5の他に基準となるのは世界保健機関(WHO)の診断基準であるICD-10ですが、こちらでは自己愛性パーソナリティ障害は個別の診断基準を有しておらず、「他の特定のパーソナリティ障害」として分類されています。

DSM-5による診断基準

誇大性(空想または行動における)、賛美されたい欲求、共感の欠如の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 自分が重要であるという誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する)。
  2. 限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。
  3. 自分が“特別”であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達(または団体)だけが理解しうる、または関係すべきだ、と信じている。
  4. 過剰な賛美を求める。
  5. 特権階級(つまり、特別有利な取り計らい、または自分が期待すれば相手が自動的に従うことを理由もなく期待する)。
  6. 対人関係で相手を不当に利用する(すなわち、自分自身の目的を達成するために他人を利用する)。
  7. 共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない。
  8. しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。
  9. 尊大で傲慢な行動、または態度。

※出典:『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

自己愛性パーソナリティ障害の治療

自己愛性パーソナリティ障害の治療は難しいとされていますが、一定の効果があるとされる治療法がいくつかあります。その人の気質や家族環境によっても症状が異なるため、以下のような方法を組み合わせて治療が行われます。基本的にはどの方法も効果が表れるまで時間がかかります。一般的には数年は必要とされています。また、患者と治療者の間に信頼関係がなければ効果は得られないともされており、患者に相性のいい治療者を探すことも重要です。

精神療法

カウンセリング療法

カウンセラーが患者さんの心理面に働きかけ、患者さんの認知、思考、行動パターンなどの偏りを改善し、少しずつ社会に適応できるようにしていく治療法です。

集団精神療法

集団精神療法は、同じ障害を持つ人が複数人集まり、グループで話をしたり共同作業を行うことで社会に適応できない原因を見つけて解決する方法です。

自分がどんな問題を抱えているのかを同じ障害を持つ他者から発見しやすく、自分の行動の改善に繋がりやすいです。また、他人との適切なコミュニケーションを学ぶことにも繋がり、自己肯定感の向上にも寄与します。

家族療法

家族療法は、患者本人とともに家族ぐるみで適切な対処法を工夫することで症状や問題行動の解決を図るものです。

家族を問題の原因とするのではなく、家族で問題にどう向き合っていくのかという方法です。治療開始時には本人ではなく、家族だけと相談を進めるケースもあります。

家族療法は患者が未成年の場合に行われることが多く、成人している場合は患者自身が自立して上記の集団精神療法などを行う傾向にあります。

薬物療法

自己愛性パーソナリティ障害の患者は他者からの指摘やマイナスの評価に耐えきれずに抑うつ状態になりやすい傾向にあります。そのため、抗うつ薬を使用して症状を緩和しつつ、カウンセリングなどの治療を行うサポートをすることがあります。

その他、気分変動が大きい患者には気分安定薬のリチウムやカルバムアゼピン、バルプロ酸を使用することがあります。

TMS治療

アメリカでアメリカ食品医薬品局(FDA)の認可を受けている最新の治療法であるTMS治療(磁気刺激治療)も、パーソナリティ障害に有効だとされています。

パーソナリティ障害自体にTMS治療(磁気刺激治療)が有効であったという論文が2019年に発表されています。(論文の概要はこちら

また、2016年にもTMS治療(磁気刺激治療)が感情や衝動性のコントロールに有効であったという報告があります。(論文の概要はこちら

アメリカをはじめ、欧米では普及している治療法ですが、日本では一部の医療機関でしか治療ができません。当院ではTMS治療を行っておりますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。

TMS治療についての詳細はこちらの記事を参考にしてください。

自己愛性パーソナリティ障害とうつ病の違い

「周囲の人が自分のことを理解していない」という他責傾向が強い自己愛性パーソナリティ障害に対し、うつ病では「全て自分が悪い」という自責傾向が強い点がまず挙げられます。

また、他者を見下したり共感性に乏しく自己中心的な性格が見られる自己愛性パーソナリティ障害に対し、うつ病では律儀や生真面目など責任感が強いというような性格面での違いも見られます。

周囲のサポート

自己愛性パーソナリティ障害の克服に向けては、周囲の方のサポートも必要になります。患者本人に対しては、本人が障害と正面から向き合って改善していかなくてはいけない問題であることを伝え続けることが重要です。また、本人だけでなく家族全体の問題として捉え、障害の克服に向けてどのような関係性を構築していけばいいのかを考えましょう。

まとめ

自己愛性パーソナリティ障害は治療が難しく、治療には長い期間を要します。また、本人の性格や家族の関係性を見直すことも容易いことではありません。しかし、少しずつでも改善することは可能です。

誰しも完璧ではありません。社会に適応し、本人と家族が感じている生きづらさを解消するためにも、自己愛性パーソナリティ障害の疑いがあったら専門機関を受診してみましょう。


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