うつ病へのTMS治療の有効性やメカニズム

うつ病へのTMS治療の有効性やメカニズム

うつ病の最先端の治療法としてNHKなどでも紹介されたTMS治療について、うつ病に対する有効性や自由診療のメリット・デメリットについてご紹介します。

TMS治療とは

TMS治療イラスト

TMS(経頭蓋磁気刺激)治療は、磁気を用いて脳の特定部位に刺激を与え、脳血流を増加させることで低下した機能を元に戻す治療法です。

薬物療法のような副作用が少なく、また治療期間も比較的短く済むのが特徴です。

現在日本でも普及が進んでいますが、まだ実際に治療できるところは少なく、海外の普及状況と比較すると遅れているのが現状です。

うつ病に対するTMS治療の有効性

TMSは、海外では多くの精神疾患へと臨床応用が進んでいます。

アメリカ食品医薬品局(FDA)は2008年、治療抵抗性うつ病に対してのTMS治療を承認しております。その後、日本では2017年にようやく保険適用の治療として承認されました。

そもそも、うつ病がどういった原因で発症し、TMSがどのように有効なのかを見ていきましょう。

うつ病と背外側前頭前野

うつ病は長い間「こころの病気」として捉えられてきました。しかし、近年の脳科学研究によって脳の疾患であるという見方が主流となってきています。

様々な研究で、うつ病患者の多くは脳の左前方にある背外側前頭前野(DLPFC)の活動性が低下していることが分かっています。また、右前方にある背外側前頭前野の活動性が増加していることも分かっています。

背外側前頭前野 (DLPFC)

この背外側前頭前野は「思考の脳」とも言われており、以下のようなことに関係する部位と言われています。

  • 判断
  • 意欲
  • 興味 など

簡単に説明すると、これらの脳の活動性のバランスが崩れてしまっており、ネガティブなことを考えやすい状態になっているのがうつ状態へとつながっているということです。

この他にもうつ病の原因としていくつかの仮説が提唱されていますが、この背外側前頭前野のバランスを調整し、ポジティブな感情を取り戻してネガティブな感情から切り替えやすい状態にするための治療がTMS治療です。

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うつ病にTMSが効くメカニズム

脳の左側の背外側前頭前野を磁気刺激で活性化させることで、意欲や思考力、判断力などを正常に機能するように戻していきます。

また、二次的に扁桃体の過剰な活動を抑制することで、不安や悲しみ、自己嫌悪などの感情を軽減することができます。

一度の治療で効果を実感することはほとんどありません。回数を重ねることで徐々に効果が実感できるようになっていきます。

うつ病と発達障害の抑うつ症状は異なる

大うつ病性障害だけでなく、例えば発達障害の二次障害として抑うつ症状が見られることもあります。

症状が同じだからTMSで同じように治療ができるのではないかと思われるかもしれませんが、実はこれらは治療法が異なります。TMSを当てる位置や頻度が異なり、そのため、後述する保険適用の範囲では発達障害の二次障害による抑うつ症状は治療ができません。

うつ病へのTMSの適用状況

正直に申し上げて、TMS治療は海外と日本では大きな差が開いています。その差はおよそ10年分もあり、日本で保険適用となっている治療はTMSのほんの一部となっています。

海外での適用

アメリカでは2008年にFDAが難治性のうつ病に対してのTMS治療を承認しました。

その後、カナダ、オーストラリア、イスラエル、ドイツ、韓国などでTMSがうつ病の治療法として承認され、利用されてきました。

TMSの治療機器についても、デンマークやイギリス、イスラエルの企業が積極的に開発を進めており、より治療効果が出やすく進化し、安全性もかなり向上してきています。

海外ではうつ病以外の精神疾患や発達障害についても臨床応用が進んでおり、TMS治療に効果があることを前提としてその幅を広げていく動きが見られます。

日本での適用

日本では2017年に難治性のうつ病に対してTMS治療が保険適用となりました。

アメリカから遅れること9年、難治性のうつ病のみと非常に限定的ではありますが保険適用になったことで、普及の第一歩を踏み出すことができたのです。

日本でのTMS導入が難航した理由は以下です。

  1. GCP省令(治験を適切に実施するための国際的基準)に基づく国内の治験データがない
  2. FDAが承認した治験データによるエビデンスが十分に頑健でない

安全な治療を提供することができ、治療効果も認められるというにはエビデンスが不十分であるという理由でなかなか承認がされませんでした。

現在も世界的に見れば日本のTMS治療はかなり遅れています。有効性や安全性の議論はもちろんのこと、医療政策を含む議論が必要とされています。

TMSと電気けいれん療法の違い

TMSと電気けいれん療法は、どちらも精神疾患に利用されるという点では同様ですが、治療自体は全くの別物です。以下の表で違いをご説明します。

経頭蓋磁気刺激法
(TMS)
電気けいれん療法
(ECT)
治療対象 薬物療法で効果が見られない 薬物療法・TMSで効果が見られない
副作用 軽度の頭痛・不快感 認知機能障害
頭痛・吐き気・筋肉痛
記憶喪失 など
治療頻度 週1~5回 週2~3回
入院 不要(病院の方針によっては必要) 必要
治療時間 20~40分程度 30~50分程度
麻酔 なし あり
効果発現 3~10回程度 比較的早期

基本的に、治療の優先順位としては「TMS>電気けいれん療法」です。

他の治療をすべて試してみたけど効果が見られないような場合に電気けいれん療法が選択されることが多いです。また、精神疾患の症状が非常に重く、食べることも飲むこともしない、そのままでは死んでしまうような状態の場合には適用されることがあります。

電気けいれん療法は効果が早く見られることが多いですが、強い副作用が出るケースも存在します。例えば10人に1人程度の割合で記憶喪失を起こすことがあります。

自由診療のTMS治療

これまでご説明してきたとおり、日本では現在、TMSは重度のうつ病にのみ保険適用となっています。しかし、海外ではその他の精神疾患にも適用が進んでおり、その中で治療効果が確認されているものも数多くあります。

自由診療であれば、うつ病以外の精神疾患などにもTMSを実施することが可能です。

メリット

現在の日本の精神疾患治療では、薬物療法が選択されることが一般的ですが、中にはお薬を飲みたくないという方もいらっしゃいます。そういった場合の治療の選択肢としてTMSが検討可能です。

また、副作用が少なく、働きながら、学校に通いながら治療ができるため、日常生活をあまり変えずに病気と向き合うことができます。

また、発達障害の特性や二次障害の改善にも適応できます。病気や障害というより、「生きづらさ」を解消したいと考えている方にも治療を提供できます。

デメリット

デメリットとしては、自由診療のためどうしても費用が高額になってしまう点が挙げられます。また、1割程度の方には効果が見られないこともあります。

しかし、薬物療法を長年続けていくと仮定すると、通院費や薬代を比較した場合に大きな差はないです。むしろ、短期間で症状を改善することができる可能性が高いという点では、自由診療でTMSを選択することも検討して良いでしょう。

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まとめ

日本でも保険適用になっていることもあり、うつ病に対するTMS治療は一定の効果があると認められています。

自由診療では、TMS治療は患者さまの選択肢を広げることにつながります。より自分に合った治療をお探しの方は、検討してみましょう。

当院では自由診療でTMS治療を実施しています。お薬を飲みたくない、発達障害の生きづらさを解消したいと考えている方は、ぜひご相談ください。

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15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併

21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併

22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併

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技術の進歩により、治療前と治療後のQEEGの変化を客観的に評価することも可能になりました。
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