ギフテッドとは?特徴・種類・検査方法について

ギフテッドとは?特徴・種類・検査方法について

数学が群を抜いて得意で、何時間も没頭したり、年齢からは想像できないような芸術的な才能を見せる子どもがいます。

彼らのような子どもをギフテッド(Gifted)と呼び、特徴や才能に合わせたサポートをすることで能力を最大限に引き出すことができます。

今回は、ギフテッドの種類や特徴、接し方などについてご紹介します。

ギフテッド(Gifted)とは

ギフテッドとは、先天的に高い知性や共感的理解、倫理観などを持っている人のことを指します。生まれつきの特性であり、早期教育をすることで得られるものではありません。

「神からの贈り物」という意味でGiftedと呼ばれ、日本語では「天賦の才」や「鬼才」と表現するのが適切でしょう。

「天才」もギフテッドを表現する上で適切ではありますが、いわゆる勉強ができる優秀な子というよりは「生まれつき特定の能力が非常に突出している」ことに主眼が置かれています。

また、タレンテッド(Talented)とも呼ばれます。

定義

ギフテッドの正式な定義はなく、アメリカでは州によって様々な定義が用いられています。

その中でも大半の州が下記のテキサス州の内容と同じような定義を用いています。

ギフテッド・タレンテッドの生徒とは、同じ年齢・経験・環境を持つ子供と比較して、著しく高いレベルを達成する、あるいはその可能性をうかがわせる子供。知的能力、独創性や芸術の分野において高い実行能力を示す、並外れたリーダーシップ能力を持つ、あるいは特定の学術分野で秀でている。

(引用:74th legislature of the State of Texas, Chapter 29, Subchapter D, Section 29.121

ギフテッドの割合

ギフテッドの定義が曖昧なこともあり、一般に言われているIQ130以上をギフテッドとすると、およそ人口の2%程度がギフテッドとされます。

しかしこれはあくまでも知能指数を基準とした場合であり、芸術的、音楽的才能を含めて考えるとまた異なる数値となるでしょう。

ギフテッドが誕生する原因

ギフテッドは生まれつきの特性のため、遺伝要因が大きいとされています。親族にギフテッドがいる場合はギフテッドが生まれる確率は高いです。しかし、まだ明確な結論は出ていません。ギフテッドに生まれたとしても、環境要因によっては知能を伸ばすことができないこともあります。

ギフテッドの種類

ギフテッドには「英才型」と「2E型」の2種類があります。

英才型

英才型ギフテッドのイメージ

英才型は全般的に高い知能を持つ人を指します。認知や記憶などの能力が高いため、学業成績はかなり優秀なことが多いです。

周囲から見ても非常に優秀に見えるため、才能を伸ばすための機会が提供されやすいとも言えます。

2E型

2E型ギフテッドのイメージ

2Eとは「twice-exceptional」のことで、「二重に例外」という意味です。

ギフテッドと発達障害を併発している状態を指しており、ある分野では突出した才能を示しますが、苦手なことはとことん苦手な傾向にあります。

発達に凸凹がある」などと表現されたりもします。

突出した能力が見られるものの、マイナス面の印象が強くなりがちで、才能に気づかれることなく過ごしているケースが多いです。これは学校の先生や友だちが気づかないというだけでなく、両親や自分自身すら気づいていないケースも含みます。

ギフテッドと発達障害の違い

ギフテッドと発達障害の違いのベン図

ギフテッドと発達障害は異なる概念ですが、いくつか共通する特徴が見られるため、ギフテッドなのにADHDやアスペルガー症候群と誤診されているケースが非常に多いです。

「ギフテッドかつADHD」や「ギフテッドかつASD」という存在(=2E)を正しく理解することが大切です。

ギフテッドと発達障害の共通点

  • 好きなこと・興味のあることへの集中力が非常に高い
  • 完璧主義で、細かいところまで気にして締切を守れないことがある
  • 論理的思考力が高く、考えが奥深い

ギフテッドと発達障害の相違点

基本的には以下のような違いがありますが、2Eの場合はこれらの特徴が一部逆転していることがあります。

ギフテッド 発達障害
リーダーシップ 得意 苦手
他者の感情を推測する 得意 苦手
ルーティンワーク 苦手 どちらかというと好き
運動・スポーツ 得意 苦手なことが多い

ガードナーによる先天的知能の8分類

ハーバード大学の教授であるハワード・ガードナー氏による多重知能理論では、8つの知能が定められています。

8つの知能

ギフテッドと言っても、どの能力が長けているのかは個人差があります。以下の知能を総合的に見つつ、得意不得意を探していくことが重要です。

音楽・リズム知能

メロディーやリズム、ピッチの識別、再現が得意で、音程の聞き分けもできます。

作詞や作曲の能力が高く、音楽を聞いただけですぐにピアノで再現できたり、言葉の音やリズムを活用して韻を踏んだ歌詞を書くことができたりします。

子どもの場合は以下のような特徴が見られることがあります。

  • 歌うのが好き
  • ずっと音楽を聞いている
  • 楽器の上達が異常に早い
  • 曲の共通点を見つけ出すことができる など

対人的知能

他人の気持ちや感情を敏感に感じ取り、周囲の人が求めていることを察知する能力が高いです。リーダーシップを取ることに長け、発言や行動で周囲の士気を高めたりすることが得意です。

子どもの場合は以下のような特徴が見られることがあります。

  • 友だちが多い
  • いろいろな人と話すことが好き
  • 様々なグループに所属したがる
  • 中心人物になることが多い

論理・数学的知能

論理的なパターンや関係性に気づき、抽象的な概念でも難なく対応することができます。数字を扱った説明や論証が得意で、物事の規則性や法則性を導き出して体系化することができます。

子どもの場合は以下のような特徴が見られることがあります。

  • 実験が好き
  • パターンや規則性の研究が好き
  • 質問が論理的
  • 話の矛盾に気づく
  • 課題の設定が得意

博物学的知能

身の回りの事象に対して疑問を持ち、違いをまとめたり共通点を見つけたりすることが得意です。自分で基準や視点を決めて分類・整理したりできます。

子どもの場合は以下のような特徴が見られることがあります。

  • 動物が好き
  • 地図を見るのが好き
  • 勉強した内容を他の分野でも応用できる

視覚・空間的知能

空間認識が得意で、絵や設計図を書くことが得意です。絵や図を見たときに一瞬で細部まで感覚的に理解できてしまうため、理由を問われても説明することができないこともあります。

子どもの場合は以下のような特徴が見られることがあります。

  • 図や絵を描くことが好き
  • プラモデルなどの組み立てが得意
  • 映像を見るのが好き
  • 頭の中で考えた風景やキャラクターをイラストにすることが得意

内省的知能

自分自身のことを正確に把握し、それに基づいた行動を取るのが得意です。

自分の得意なことは他の人の分も進んで手伝ったり、苦手なことは早めに相談したりということができます。自分の関心に沿って研究を続けたりすることで大きな成果を得ることがあります。

子どもの場合は以下のような特徴が見られることがあります。

  • マイペースに行動する
  • 関心のあることには徹底的に詳しくなる
  • 自分の関心に沿って積極的に行動する事ができる

言語・語学知能

話をしたり文字や文章を書くなど、言葉を巧みに使いこなすことが得意です。論理的な話し方や人を引きつける話し方ができ、説得力があります。

子どもの場合は以下のような特徴が見られることがあります。

  • 本を読むのが好き
  • 文字や文章を書くのが好き・得意
  • 話がうまい、おもしろい
  • 人前での発表や演説が得意

身体・運動感覚知能

考えや感情を自分の身体で表現したり、物を作り変えたりすることが得意です。

手先が器用で、芸術的な作品を作ることができたりします。

また、運動神経がよく、いろいろなスポーツをそつなくこなす傾向にあります。

子どもの場合は以下のような特徴が見られることがあります。

  • 動き回るのが好き
  • 実際に触れて感じたり考えたりすることが好き
  • 役になりきるのが得意
  • 学んだことを実際にやってみることが得意

ギフテッドの診断

ギフテッドの診断は様々な方法がありますが、その中でもよく利用されるWISC-ⅣQEEG検査について紹介します。

WISC-Ⅳ(ウェクスラー式知能検査)

子どもの知能指数を測定するための検査で、世界的に使われています。

総合的なIQのほか、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4項目を測定できます。

アメリカのギフテッドの子どもの平均的なスコアは以下です。

  • 言語理解のスコア:131
  • 知覚推理のスコア:126

ギフテッドをIQテストのみで判定することは、上述したガートナーの8つの知能すべてを測定することができず、すべてのギフテッドを判定することができません。

とはいえ世界的にも使用されている検査で、どの分野が得意なのかがスコアで出るため、子どもの知的な才能を測る指標としては一定の信頼性があると言えます。

WAIS-Ⅳ・WISC-Ⅳ(ウェクスラー式知能検査)について

※当院でもWISC-Ⅳ検査を実施しています。お気軽にご相談下さい。

QEEG検査

QEEG検査(定量的脳波検査)では、脳波を測定して脳の状態を可視化し、どの部位が平均よりも活性化しているのかなどを客観的に診断する事が可能です。

これにより、発達障害特性や不眠、ストレスの状態をある程度客観的に診断することができます。医師の問診とも合わせ、発達障害やギフテッドの程度(グレーゾーンなど)も診断できます。これにより、一人ひとりに合った治療やトレーニングが可能です。

QEEG検査について

※当院でもQEEG検査を実施しております。お気軽にご相談下さい。

ギフテッドの子どもの教育

ギフテッドの教育方針で重要なのは、「得意を圧倒的に伸ばし、苦手を人並みにする」ことです。

すべての分野で平均点を目指すのではなく、苦手なことが大きな障害にならない程度にサポートしつつ、得意分野を自由に伸ばせるように環境を整えてあげることが重要です。

自分の得意不得意を理解させる

まず、自分が何が得意で何が苦手なのかを理解させるようにしましょう。まずはいろいろなことにチャレンジさせ、得意なことを理解すれば自主的に才能を伸ばすようになります。また、苦手なことも理解すれば人に頼るなど対処法を身に着けていきます。

得意を伸ばす

ギフテッドの教育で最も大事なのは、強みに着目してその能力を伸ばすことです。

他の人にはない、生まれ持った才能を存分に発揮することができるような環境調整が重要です。

数学に強い興味を示すのであれば、たとえ小学生だとしても高校や大学の教科書を手渡してみたり、数学の研究者たちに会う機会を作ってあげたりしましょう。

年齢に見合った教育ではなく、興味関心の強さやレベルに応じた機会を提供してあげることで、圧倒的に成長していきます。

苦手を軽減する

得意分野については自主的に才能を伸ばしていきますが、苦手分野は親御さんがしっかりとサポートしてあげるようにしましょう。

2Eの場合、弱みに注目されてしまって社会的に孤立してしまうことが多く、その結果強みを活かしきれないというケースが存在します。

苦手は苦手なままでも良いので、それが社会生活に大きな影響を及ぼさない程度にコントロールしてあげることが大切です。

学校の特徴を教える

ギフテッドの子どもは学校での授業が簡単すぎて退屈に感じられ、授業態度が悪かったり成績もそこまで良くないことがあります。

特に日本において、学校という場所はみんなが一斉に同じ内容を学ぶところです。学習進度が遅い子どもにはサポートがありますが、速い子どもへのサポートはほとんどないのが現状です。学校がそういった場所であることを伝えて理解してもらい、自宅ではその制限を取り払って自由に興味関心のあるものに打ち込んでいい環境を準備してあげましょう。

ギフテッドへの家庭での接し方

ギフテッドの才能を伸ばしていくためには、家庭での接し方が非常に重要です。

好奇心を刺激する

得意なことを伸ばすためには、得意なことを見つけることが重要です。いろいろなことに触れる機会を設け、どんなことに興味関心を示すのかを探してあげるようにしましょう。

  • 科学館や美術館に連れていく
  • 演劇や映画を観に行く
  • いろいろなスポーツに挑戦させる
  • 様々なジャンルの本を読めるようにしておく

こういった機会を提供してあげることが重要です。

地方に住んでいるとそういった機会も少なくなってしまうかもしれませんが、インターネット等を駆使してなるべく様々なことを経験できるような環境を整備してあげるようにしましょう。

環境で限界を作らないようにする

学校ではクラスのみんなと足並みを揃えて勉強をする必要がありますが、自宅では自由に興味関心の向く方に勉強や創作活動を進められるようにしてあげましょう。

また、興味のある分野の奥深さを伝えてあげることも非常に重要です。教科書や本だけではなく、実際にその分野の研究者に会う機会を作ってあげたり、全国的なコンテストを目標に設定してあげたりすることで、限界を作らずにどんどん才能を伸ばしていくことができます。

成果を認める

ギフテッドの子どもは、あまりにもレベルが高すぎるが故にその凄さを認めてもらえないことがあります。それは、学校の先生がついていけないレベルに達していたり、周囲の友だちには何がすごいのか理解もできないような状態だからです。

  • 子どもが関心を示してとても良く調べているときは、それを褒める
  • 関心のあることについて熱く話しているときは興味を持って聞いてあげる
  • 対等な視点で議論する(子どもの得意分野では子供あつかいしない)

子どもの話を聞いてあげられないと、才能を伸ばしていくための自尊心が高まりません。しっかりと子どもと向き合い、褒めてあげるようにしましょう。

特性に合った学習環境を整える

ギフテッドの中でも2Eの場合、認知特性が大きく偏っていることがあります。認知には主に視覚認知聴覚認知があります。

  • 視覚優位:話を聞いて理解するより、本やネットなどでテキスト・図表を読んだほうが理解できる
  • 聴覚優位:テキストで説明されるより、話を聞いたほうが理解しやすい

それぞれの特性に応じた学習環境を整えることで、苦手なことのサポートにも繋がります。

チームプレーの経験を積ませる

ギフテッドは自分の得意なことに没頭するあまり、集団への帰属意識やコミュニケーション力に困難を抱えることがあります。

チームプレーの経験を積ませることで、社会生活への順応性を維持することに繋がります。

安心できる場所を作る

ギフテッドは、レベルが高すぎるがゆえに理解されなかったり、時には否定されることもあります。そういったストレスを抱えていることを理解し、家庭で親と接する際にはなるべくストレスを抱えずに落ち着ける場所を作ってあげることが重要です。

特に学齢期は学校教育のシステム自体がストレスになっていることもあるため、注意するようにしましょう。

アメリカで進むギフテッド教育とは

ギフテッド教育はアメリカではかなり昔から取り入れられています。日本ではギフテッド教育の概念がまだほとんど取り入れられておらず、いわゆる「先取り教育」が導入されているケースが多いですが、その実情はギフテッド教育とは少々異なります。

思考力と問題解決力を伸ばす

アメリカのギフテッド教育では、思考力と問題解決力を伸ばすカリキュラムが組まれます。

たとえば、ギフテッドと認められた場合は週に1回はギフテッドクラスで授業を受けます。

授業の内容は難しい内容を先取りするだけではなく、答えのない問題について論理的に考えて結論を出したり、研究プロジェクトに取り組んでその結果を保護者の前で発表したりと、とにかく思考して自分で課題を設定し、問題を解決する経験を積ませるような内容になっています。

日本の先取り教育との違い

日本では決められた学習内容を平均的な進度よりも速いスピードで習得する先取り教育が主流ですが、これは根本理解や課題解決能力を伸ばすというよりは暗記力や公式の利用が得意になるのみで、受験には向いているかもしれませんがギフテッドの能力を最大限活かすという観点では疑問があります。

まとめ

ギフテッドは才能に気づいて伸ばしていければ、圧倒的な成果を出すことがあります。一方で、発達障害と共通した特性ゆえ、マイナス面にばかり注目を浴びてしまい、ギフテッドであることを自覚しないまま生きづらさを抱えている方が多いのも事実です。

得意なことと苦手なことの差がはっきりしていて生きにくさを感じている場合は、一度精神科などで知能検査やQEEG検査を受けてみることをおすすめします。自分の状態を正確に把握することで、得意なことを伸ばし、苦手な事をサポートしてもらうように調整できます。

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