各駅停車症候群(過敏性腸症候群)の症状、原因、治療法
目次
会社や学校に向かう電車の中で腹痛に襲われ、駅やコンビニのトイレに何度も駆け込むような「各駅停車症候群」と呼ばれる症状があります。
今回は、各駅停車症候群と呼ばれる病気の症状や原因、うつ病や適応障害などとの関係性についてご紹介します。
各駅停車症候群とは
各駅停車症候群は、電車の中で突然腹痛に襲われ、次の駅まで我慢できないほど激しい痛みに苦しむ症状です。一度トイレで用を足して落ち着いても、また次の駅までに腹痛に苦しみ、次の駅でもトイレに駆け込む、という厄介な症状が多いです。
ひどい場合は特急や急行の電車に乗るのが怖くなってしまい、各駅停車にしか乗れなくなってしまうこともあるため、「各駅停車症候群」と呼ばれるようになりました。
正式名称は過敏性腸症候群(IBS)
各駅停車症候群は、正式名称は「過敏性腸症候群(IBS)」と言います。
日本人の10%~20%が発症しているとも言われ、特に40~50代の管理職世代に多い現代病と言われています。
また、小中学生でも受験や部活などのストレスから発症するケースがあり、どの世代にも身近な病気と言えるでしょう。
各駅停車症候群の症状
各駅停車症候群の症状は大きく2パターンあり、便秘型と下痢型に分かれます。
どちらか一方だけが出るという人が多いですが、中には交互に繰り返すような人もいます。
以下のような症状が出ている場合、各駅停車症候群(過敏性腸症候群)の可能性があります。
- 毎日の通勤電車で腹痛に見舞われる
- 排便すると痛みが和らぐ
- 排便後に残便感がある
- トイレに駆け込んで症状が治まっても、またすぐに痛みを感じる
- 休み時間のたびにトイレに駆け込む
- 症状のせいで外出が億劫に感じる
- 寝ている時、休日などには症状が出ない
周囲からすると「ただの腹痛でしょ」と思われてしまうこともあり、なかなか理解してもらえない辛さがあります。
各駅停車症候群の原因
各駅停車症候群の原因は、まだはっきりとは解明されていません。
- ストレス
- 不規則な生活習慣
- 自律神経の乱れ
- 感染性腸炎の回復後
などが原因として挙げられます。この中でも最大の原因と言われているのがストレスで、精神的なストレスによって自律神経が乱れ、腸が過敏になり、腹痛などを引き起こすとされています。
- 仕事や学校で強いストレスに晒されている
- もともとストレス耐性が弱い
- 性格的にストレスを溜め込みやすい
こういった原因でストレスを強く感じている場合は、早めに対処したほうがいいでしょう。
うつ病や適応障害の身体症状の可能性もある
ストレスが原因で各駅停車症候群を発症している場合、うつ病や適応障害の身体症状の可能性もあります。
特に新生活が始まって少し経った5~6月にはいわゆる5月病などの適応障害の症状が出始める方も多く、この時期に各駅停車症候群の症状が見られた場合は他の精神疾患の可能性も疑ったほうがいいでしょう。
また、各駅停車症候群の症状が長く続き、電車に乗ること自体が怖くなったりパニックに陥るようになった場合、パニック障害というまた別の精神疾患の可能性もありますので、まずは無理をせずに内科や精神科を受診することをおすすめします。
各駅停車症候群の治療
各駅停車症候群は、まず生活習慣の改善や環境調整を行い、症状が重いようであれば薬物療法やTMS治療などを検討することがあります。
休養・環境調整
最優先で行うべきは、生活習慣の見直しです。規則正しく食事や睡眠、運動を行い、自律神経を安定させるようにしましょう。
精神的にも身体的にも、ストレスをなるべく溜め込まないことが重要です。気分転換の方法は持っておいたほうがいいでしょう。
また、そもそものストレスの原因を解消するように環境調整を行うことも重要です。業務量を調整したり、部署を変えてもらったりしながらなるべく精神的なストレスがかからないようにすることをおすすめします。
薬物療法
それでもストレスが強く、なかなか症状が良くならない場合は抗うつ薬や抗不安薬を処方する事があります。多くの場合でストレスを軽減することが可能ですが、人によっては副作用が出て仕事に集中できなくなったりすることもあるため、医師と相談しながら慎重に服用しましょう。
TMS治療
強いストレスから適応障害やうつ病を発症している場合は、TMS治療も有効です。
TMS治療は磁気刺激によって脳血流を増加させ、脳機能を正常に戻す治療法で、欧米ではうつ病をはじめとする精神疾患の一般的な治療法として普及しています。
日本では重度のうつ病に対して保険適用となっていますが、基本的には保険適用外でうつ病や不安障害などの精神疾患の治療に用いられます。
その他、ストレスや不安症状の緩和、パニック障害などにも有効であるという報告があります。
当院でもTMS治療を実施しておりますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせ下さい。
TMS治療(経頭蓋磁気刺激)は、医療先進国のアメリカのFDAや日本の厚生労働省の認可を得た最新の治療方法です。投薬に頼らずうつ病や発達障害などの治療ができるTMS治療について、精神科医が詳しく解説しています。
まとめ
各駅停車症候群はストレスが原因の現代病です。
まずは十分に休養を取ることからはじめ、なかなか症状が改善しない場合はうつ病や適応障害の可能性も含めて精神科などを受診するようにしましょう。
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15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併
21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併
22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併
8歳女性 学習障害、ADHD合併
技術の進歩により、治療前と治療後のQEEGの変化を客観的に評価することも可能になりました。
QEEG検査で脳の状態を可視化し、結果に応じて、薬を使わない治療など個人に合った治療を提案します。