臨床動作法とは?効果や方法について解説

臨床動作法とは?効果や方法について解説

身体を動かすことでこころの動きを改善しようという「臨床動作法」という心理療法があります。臨床動作法は、精神疾患を抱える方からスポーツ選手まで広く取り入れられているものです。今回は、当院のセルフケアサポート外来でも取り扱っている臨床動作法の効果や方法について解説します。

臨床動作法とは

臨床動作法とは、九州大学名誉教授の成瀬悟策を中心とした研究グループによって1965年から日本で展開されている心理療法で、動作体験を通して心や生活のあり方を見直す方法です。

臨床動作法が検討されるようになった背景には、成瀬教授が聞いた興味深いエピソードがあります。

1963年に成瀬の研究仲間が脳性マヒを持った女性に催眠誘導を試みたところ、5本の手指を伸ばすことができたため、催眠から覚めたあとも手指を伸ばすことができると後催眠暗示を出したところ、覚醒後も手指を伸ばすことができました。

その後、その女性はアイロンがけやミシンの作業ができるようにまで回復しました。

このエピソードを聞いた成瀬教授は、脳性マヒが脳内の生理的な仕組み以外に心理的な要因があると仮説を立て、脳性マヒの患者が催眠法を用いながら身体の動かし方を習得する訓練法を開発しました。後に催眠法を用いない訓練法が生まれ、1968年からこれらを動作訓練と呼ぶようになりました。

その後、1980年代以降はその適用範囲が脳性マヒから拡大していき、治療の対象によって障害動作法、スポーツ動作法、健康動作法などと呼ばれるようになり、現在はそれらをまとめて「臨床動作法」と呼んでいます。

臨床動作法の適用範囲

臨床動作法は下記のように非常に多くの障害や精神疾患に対して適用されています。

精神疾患の適用例

  • 自閉症スペクトラム障害
  • チック障害
  • 統合失調症
  • うつ
  • 神経症
  • 対人恐怖
  • 転換性障害
  • 認知症
  • 摂食障害

健康増進の適用例

  • スポーツ選手の能力向上
  • 肩こり・腰痛の改善

臨床動作法の効果

臨床動作法の効果に関する研究はこれまでたくさん行われてきています。

その中でも武内(2017)の研究では、大学生・大学院生132名(男性57名、女性75名)を対象にして動作法で得られる体験を検討しました。その結果として、臨床動作法によって以下の7つの体験が得られると報告されています。

  1. 主体的動作感:自分で身体を動かしている感覚
  2. 動作統制感:自分が動作のコントロールをしている感覚
  3. 弛緩の実感:身体のこわばり、緊張が緩む感覚
  4. 自己存在実感:動かしているのは自分の身体であるという感覚
  5. 安心安定感:心身の安静や深い安心感
  6. 動作協力感:動作を援助してくれる他者の存在の実感
  7. 自己活動のモニタリング:自分の動作やこころに注意を向けることができる

(参照:武内智弥『動作法体験をモデル化する試み―学生との1セッションのデータから―』

こうした効果が実感できると、例えば自分が緊張している状態とそうでない状態が分かるようになり、「緊張しているならこの動作を行えば力を抜いてリラックスできる」という身体の感覚のリセットができるようになります。

こういった効果があるため、スポーツ選手のパフォーマンス向上などにも取り入れられることがあるのです。

また、精神疾患を抱える方は余計な身体の緊張を持っていることが多く、動作法によって余計な緊張をほぐすことができます。

臨床動作法のやり方

臨床動作法の実際のやり方について解説します。

動作法といっても難しいことはなく、基本的な動作はどなたでもできるものがほとんどです。ヨガなどのように姿勢を取ること自体が困難なものはありませんので、安心してください。

代表的な2つの方法を紹介します。

肩上げ

肩上げは、その名のとおり肩を上げたり下げたりする方法です。

  1. ゆっくり3回深呼吸
  2. 片方の肩をゆっくり上げる
  3. 一番上まで上げたらしばらくキープする
  4. ゆっくりと肩を下げる
  5. 血が巡り、ポカポカとした感覚を味わう

これを左右片方ずつ、数セット行いましょう。

緊張と弛緩を繰り返し、両方の状態を実感することで、「緊張している感覚」と「緩んでいる感覚」を養います。

肩押し

肩押しは2人1組で行います。まず、ひとりは床もしくは椅子に座り、楽にします。

もうひとりは背後に立って、両肩にゆっくりと圧を加えていきます。

  1. 両肩に手を乗せる
  2. ゆっくり圧力を加える
  3. ゆっくり緩める
  4. 血が巡り、ポカポカとした感覚を味わう

この動作をお互いに行い、感想を言い合ってみましょう。これにより、信頼感が生まれ、結果的に緊張の弛緩と精神の安定に繋がります。

まとめ

臨床動作法は、子どもから大人まで幅広く適用されている訓練法です。

動作を通じて心理的な効果があるというのは感覚的には理解しにくいかもしれませんが、多くの研究で効果が報告されています。

当院のセルフケアサポート外来でも臨床動作法を取り扱っております。患者さまの症状に応じて最適な治療をご提案いたしますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。

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