群発頭痛の症状、原因、治療、対処法について
目次
群発頭痛は尿路結石、心筋梗塞と並んで世界三大激痛と呼ばれるほど激しい痛みを伴う頭痛です。あまりの痛みから「自殺頭痛」と呼ばれることも。今回は、群発頭痛の症状や原因、対処法や治療法について解説します。
群発頭痛とは
群発頭痛は一次性頭痛の一種で、目をえぐられるような激しい痛みを伴うのが特徴です。
あまりの痛みに我慢できず、頭を壁や床に打ちつけたり、海外では耐えきれずに銃で頭を撃ち抜いてしまったケースもあります。そのくらい激しい痛みがあり、かつその痛みが周期的に起こるという厄介な症状です。
有病率
緊張型頭痛や片頭痛に比べて有病率は非常に低く、1000人に1人程度と言われています。周囲に同じ症状を抱える人がいないためにあまり理解されないことも多いです。
群発頭痛は男性に多い
片頭痛が女性に多いのに対し、群発頭痛は20~40代の男性に多く発症することが知られています。ちょうど働き盛りの年齢で発症しやすく、発作が出ている間は仕事どころではないほどの激痛が伴うため、社会生活に支障が出る病気です。
ただし、最近の研究では女性の発症も稀ではないと言われており、男女ともに発症の可能性のある病気です。
群発頭痛の症状
群発頭痛は、毎日ほぼ同じ時間帯に一定の周期で激しい頭痛が襲うのが特徴です。特に眠っている間に起こることが多く、不眠にも悩まされることがあります。
群発頭痛の激痛は経験しないと分からない痛みですが、「目玉の奥を火箸でえぐられるような痛み」と表現されることがあるほど強烈な痛みです。発作が出ている間は、あまりの痛みに人格が変わってしまう人もいたり、どうしようもなくなって頭を打ちつけてしまうこともあります。
多くの場合は片目の奥に激痛を感じますが、目の周囲や前頭部、側頭部、頬のあたりまで痛むことも多いです。また、目の充血や鼻水を伴うこともあります。
群発頭痛の頻度や重さについては、「反復性群発頭痛」と「慢性群発頭痛」の2種類で異なります。
反復性群発頭痛
季節の変わり目やある期間に集中して起こりやすく、15分~3時間程度の発作が1日に数回、数日から数ヶ月ほど続きます。
頭痛の発作が起こる時期がすぎると全く発作のない時期が数ヶ月から3年ほど続き、またある時期から発作が起こるようになるのを繰り返します。
慢性群発頭痛
1年以上頭痛の発作を繰り返す場合が該当します。発作のない時期がほとんどないため、かなり症状が重く、社会生活に著しい困難をきたすことも多いです。
群発頭痛の原因
群発頭痛の詳しい原因は分かっておりませんが、目の後ろを通っている内頸動脈が拡張して炎症が起きるために症状が起こると考えられています。
炎症が発生する原因は正確には分かっていませんが、症状の特徴や男性に多く見られることから以下のような原因が考えられています。
- 男性ホルモンの過多
- 脳の視床下部に存在する体内時計の狂い
- 睡眠に関する遺伝子の異常
上記の原因もそれぞれ症状を説明するためには十分ではなく、まだ研究が続けられている段階です。
誘発原因
群発頭痛には症状を引き起こす可能性のある原因として以下が考えられています。
- アルコールの過剰摂取
- タバコ
- 気圧の急激な変化
- 不規則な時間帯の睡眠 など
こういった行為や状況を回避することにより、予防的な対策が可能になります。
群発頭痛の治療・対処
群発頭痛は、群発期には毎日頭痛が繰り返されます。そのため、発作が起きたときに痛みを和らげる治療と、発作を予防したり軽減したりする治療の2種類があります。
発作時の痛みを和らげる治療
発作が出たときには、トリプタン系薬剤の皮下注射薬や点鼻剤を用いて痛みを軽減します。
群発頭痛の痛みは特に激しいため、一般的な鎮痛剤やトリプタン系の内服薬では即効性が期待できず、あまり効果がありません。
毎日頭痛が生じるために通院して注射を打ってもらうことができず、自己注射を指導してもらって対応することが多いです。
また、急性の発作時には高濃度酸素吸入も有効です。医療用酸素を15分ほど吸入すれば症状が和らぐことがあります。(酸素吸入は重度の患者に限り保険適用となっています)
現時点で、発作時に確実に効果が認められているのは、
- トリプタン契約剤の皮下注射
- 高濃度酸素吸入
の2つしかありません。
痛みに耐えきれずに一般的な鎮痛剤を服用しすぎると、「薬物乱用頭痛」という別の頭痛の原因となってしまったり、場合によっては腎臓に負担がかかって透析が必要な身体になってしまうリスクもあるため、注意が必要です。
発作を予防・軽減する治療
群発頭痛は毎日決まった時間帯に激しい頭痛に襲われるため、発作を予防するために内服薬を処方されることがあります。具体的には以下のような内服薬です。
- エルゴタミン製剤
- ステロイド薬
- カルシウム拮抗薬
- 炭酸リチウム など
ただし、これらの薬はある程度症状を緩和することはできるものの、次の群発期が来ないようにするという治療法ではありません。
また、群発期に入った場合は、先述した誘発原因となる飲酒や喫煙、昼寝などを避けることで予防ができます。
TMS治療による群発頭痛の軽減
TMS治療(磁気刺激治療)は脳の特定部位に磁気刺激を与えることで脳機能を正常に戻す治療法で、欧米ではうつ病や不安障害の治療の一般的な選択肢として知られています。また、TMSは緊張型頭痛や片頭痛に対して効果がある事が報告されています。
群発頭痛においても、群発期の短縮や1日あたりの頭痛発作の減少などが報告されており、長期的な視点でなるべく薬に頼らない治療を行いたい場合には選択肢となるでしょう。
当院では緊張型頭痛や片頭痛の症状に対してTMS治療を行っておりますので、頭痛でお悩みの場合はぜひ一度ご相談いただければと思います。
TMS治療(経頭蓋磁気刺激)は、医療先進国のアメリカのFDAや日本の厚生労働省の認可を得た最新の治療方法です。投薬に頼らずうつ病や発達障害などの治療ができるTMS治療について、精神科医が詳しく解説しています。
まとめ
群発頭痛は激しい痛みが毎日のように続くため、群発期には社会生活に著しい困難が生じます。まだ原因がよく分かっていない部分も多いですが、発作時に痛みを軽減する治療はもちろん、長期的な視点で群発期を短縮できる治療も視野にいれてみてはいかがでしょうか。
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15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併
21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併
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技術の進歩により、治療前と治療後のQEEGの変化を客観的に評価することも可能になりました。
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