薬物乱用頭痛(MOH)の症状、原因、診断、治療について

薬物乱用頭痛(MOH)の症状、原因、診断、治療について

頭痛を予防するために市販の薬を頻繁に服用していると、薬物乱用頭痛になることがあります。

今回は、薬物乱用頭痛の症状や診断、原因、治療などについて解説します。

薬物乱用頭痛とは

薬物乱用頭痛(medication-overuse headache:MOH)は、市販の鎮痛薬などを使用しすぎることで起こる頭痛のことです。

薬物乱用と聞くと、違法薬物を使用して頭痛が起きているのではと勘違いする人もいらっしゃいますが、一般的な市販の鎮痛薬などを頻繁に飲むことを意味していますので勘違いしないようにしましょう。

有病率

薬物乱用頭痛の有病率について、日本では調査データはありません。

海外の調査結果によると、ヨーロッパでは一般人口あたりの薬物乱用頭痛の有病率は1~2%、台湾の高齢者を対象とした調査では約1%となっています。

薬物乱用頭痛は女性に多く見られる

薬物乱用頭痛の性別差についての調査では以下のような結果が出ています。

  • デンマーク:女性73%
  • スペイン:女性93%
  • アメリカ:女性76%

各国とも圧倒的に女性のほうが多くなっています。

薬物乱用頭痛の症状

薬物乱用頭痛は、緊張型頭痛や片頭痛など一次性頭痛を抱える人が、病院に行かずに市販の鎮痛薬を定期的に服用していると、次第に薬が効かなくなってきて、ついには薬を飲むと頭痛が誘発されるという事態に陥ることがあります。

具体的には、以下のような症状がある場合に薬物乱用頭痛の可能性が高いです。

  • 頭痛が月に15日以上ある
  • 頭痛薬を月に10回以上飲んでいる
  • 頭痛薬の効きが悪くなったと感じる
  • 朝起きると頭痛がする
  • 頭痛の程度や部位が異なる気がする
  • ひどい頭痛に襲われた経験から、予防的に市販薬を飲むことがある

特に片頭痛は症状が重いことが多く、なるべく頭痛が起きる前に緩和したいと考えて薬を服用するケースがありますが、こうした服用の仕方を続けている場合は要注意です。

薬物乱用頭痛の診断

国際頭痛分類によると、薬物乱用頭痛の診断基準は以下のように定義されています。

A.頭痛は1ヶ月に15日以上存在する

B.以下のように急性期・対症的治療薬を3ヶ月を超えて定期的に乱用している

  1. 3ヶ月を超えて、エルゴタミン、トリプタン、オピオイド等の薬物を1ヶ月に10日以上乱用している
  2. 単一成分の鎮痛薬、あるいは、単一では乱用に該当しないエルゴタミン、トリプタン、鎮痛薬、オピオイドのいずれかの組み合わせで合計月に15日以上の頻度で3ヶ月を超えて使用している

C.頭痛は薬物乱用により発現したか、著明に悪化している

出典:国際頭痛分類

診断基準は上記のようになっていますが、基準を満たしていなくても基準に近いレベルで薬を服用している場合は薬物乱用頭痛と見て治療や対処をすることが望ましいです。

薬物乱用頭痛の原因

薬物乱用頭痛の原因ははっきりとは分かっていません。現時点では以下のような原因が考えられています。

  1. 痛みを感知する神経の感受性が向上し、弱い痛みを強い痛みと感じるようになる
  2. 片頭痛を抑制する働きのあるセロトニンの慢性的な枯渇を引き起こす

ただし、薬物を乱用しても誰もが頭痛を引き起こすわけではありません。薬物乱用頭痛の大多数は片頭痛を持っていることが研究で分かっており、原因薬物によって片頭痛が引き起こされているという考えが有力視されてきています。

薬物は市販のものだけではなく、医師が処方した薬でも原因となる事があります。ただし、多くの場合は医師の処方を用法用量を守らずに服用していたりすることが原因です。

また、常用している頭痛薬が複数の主成分を持っていたり、カフェインが含まれている場合は薬物乱用頭痛になるリスクが高いと言われています。そもそもカフェインが含まれている薬物を常用している場合、カフェインの過剰摂取が問題になっていることもあるため注意が必要です。

予防的に薬を使うようになっている場合は発症の危険性が高いため、医師に相談しつつ適切な治療を受ける必要があります。

薬物乱用頭痛の治療

薬物乱用頭痛の治療は、まずは当該薬物の服薬を中止することが重要です。

ただし、原因となる薬物の服用を中止すると離脱頭痛という激しい頭痛が起こることが多いため、薬物乱用頭痛の原因とならない薬剤などを処方して対応します。

1週間~2週間程度はひどい頭痛に悩まされる事がありますが、その後は次第に頭痛の回数が減り、痛みの程度も軽減していきます。そして、薬物乱用頭痛が治った後にもともとあった偏頭痛や緊張型頭痛の治療を再開するのが一般的な流れです。

薬物乱用頭痛は再発しやすい病気ですので、専門医に指示を仰ぎながら薬物をコントロールしていく事が重要です。

投薬に頼らず一次性頭痛を緩和するTMS治療も有効

緊張型頭痛や片頭痛の治療は薬や環境調整によるものがほとんどですが、欧米ではTMSという磁気刺激を用いて脳を刺激し、正常な状態に戻す治療法が一般的な選択肢となってきています。日本では現在保険適用外ですが、特に精神的なストレスなどが原因となって発症している緊張型頭痛や片頭痛にはTMS治療が有効とされています。

TMS治療であれば、そもそも薬を使わない治療法のため、薬物乱用頭痛を発症する心配はほとんどありません。また、薬物治療と比較して副作用がほとんどないことも特徴です。頭痛治療のひとつの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

薬物乱用頭痛は頭痛持ちの方がなりやすい病気です。

頭痛で病院に行くなんて大げさだと思っている方も多いですが、慢性的な頭痛は適切な治療によって緩和することが可能です。医師の処方に従って適切に服薬すれば、薬物乱用頭痛は基本的に防げる病気ですので、まずは一度頭痛外来を受診してみるようにしましょう。

発達障害専門外来
発達障害専門外来

【当日診断可能】正確な診断
QEEG検査に関してはこちら


医師の主観ではなく、大規模脳波データベースと比較し、客観的なデータで症状の程度を診断
脳の状態を診断するQEEG検査(定量的脳波検査)【当日治療開始可能】



15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併

21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併

22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併

8歳女性 学習障害、ADHD合併

技術の進歩により、治療前と治療後のQEEGの変化を客観的に評価することも可能になりました。
QEEG検査で脳の状態を可視化し、結果に応じて、薬を使わない治療など個人に合った治療を提案します。


【当日治療開始可能】正確な診断
QEEG検査に関してはこちら

治療専門外来について動画で紹介
  • 【当日治療開始可能】お問い合わせ・ご予約はこちら

    • WEB予約はこちら

      ご希望の院や⽇時を選べます。
      初回カウンセリングの⽅はWEBからの
      ご予約を24時間受け付けております。

    • お問い合わせは
      こちら

      当院や治療内容について、
      ご質問や疑問点等がございましたら
      お気軽にお問い合わせください。

ブレインクリニック新宿院

0120-711-805

フリーダイヤル・通話料無料・無料相談可能
電話受付時間:09:00~20:30

LINEで相談する
ブレインクリニック東京院

0120-711-805

フリーダイヤル・通話料無料・無料相談可能
電話受付時間:09:00~20:30

※東京院ではうつ病治療を取り扱っておりません。

LINEで相談する
ブレインクリニック名古屋院

0120-711-805

フリーダイヤル・通話料無料・無料相談可能
電話受付時間:09:00~20:30

LINEで相談する
ブレインクリニック大阪院

0120-711-805

フリーダイヤル・通話料無料・無料相談可能
電話受付時間:09:00~20:30

LINEで相談する