緊張型頭痛の症状・診断・治療・片頭痛との違いについて

緊張型頭痛の症状・診断・治療・片頭痛との違いについて

日本人の多くが悩んでいる頭痛の中でも、とりわけ多いのが「緊張型頭痛」です。

今回は、緊張型頭痛の症状や原因、対処法についてご紹介します。

緊張型頭痛とは

緊張型頭痛とは、後頭部から首筋にかけて重く鈍い、締め付けられるような痛みが起こるものです。寝込んでしまうほどひどい症状になることは少なく、生活習慣を改善したりすることでよくなる事が多いです。

有病率

日本頭痛学会によると、疑診例も含む緊張型頭痛の有病率は22.3%(反復性緊張型頭痛20.6%、慢性緊張型頭痛1.6%)となっており、5人に1人は頭痛に悩んでいるという計算になります。

このうち、頭痛のたびに寝込んでしまうのが0.5%、時々寝込むのが4.7%、寝込まないが生活に支障ありが24%となっています。

参照:日本頭痛学会「頭痛ガイドライン」

女性の方が発症しやすい

緊張型頭痛は男性よりも女性のほうが1.5倍程度発症しやすいとされています。

全体で見れば幅広い年齢層に分布しているのですが、後述するストレス要因を抱えやすい20~40代に多いです。

遺伝の可能性も示唆されている

緊張型頭痛は比較的多くの方が発症する病気ですが、近年の研究によると遺伝的要因があるのではないかという報告がされています。

緊張型頭痛に限らず、頭痛自体が未だに分かっていないことの多い病気です。今後さらに研究が進むことで、さらに有効な治療法が見つかるかもしれません。

片頭痛との違い

緊張型頭痛は基本的には中程度の痛みを訴えるケースが多いですが、片頭痛の場合はズキンズキンとした拍動性の痛みが見られ、頭を動かすと痛みが激しくなることが多いです。また、片頭痛の場合は吐き気を伴うことがあったり、閃輝暗点と言われるギザギザした光の波のような模様が視野の中心付近に見える予兆があったりします。

緊張型頭痛は、我慢すれば仕事や家事を続ける事ができるのに対し、片頭痛の発作は日常生活を送るのが困難なほど症状が強く出るという違いがあります。

一方で、緊張型頭痛でも症状が重い場合は片頭痛に似たような症状が見られることもあるため、一概に全く異なるとは言えません。

緊張型頭痛の症状

緊張型頭痛を訴える人に多い症状は以下のようなものです。

  • 後頭部を中心に両側がじんわり痛む
  • 片頭痛のようなズキズキする痛みではない
  • 寝込むほど強い痛みではない
  • 重苦しい感じや頭をベルトで締めつけられているような痛みがある
  • 首や肩のこりを伴うことが多い
  • 通常は吐き気を感じることはない
  • 頭痛がしている時に光や音を煩わしく感じることは少ない
  • 動いても痛みは悪化しない

基本的には我慢すれば仕事も家事もできるレベルの痛みですが、能率は落ちるでしょう。また、人によってはめまいなども発生するため、症状が出ている場合はなるべく安静にしておくことをおすすめします。

緊張型頭痛の原因

緊張型頭痛の原因はストレスです。ストレスと聞くと精神的なことかなと思うかもしれませんが、精神的ストレスと同じくらい身体的ストレスが原因となることがあります。

精神的ストレス

環境変化や特別に緊張するような出来事がある場合に、そのストレスによって神経や筋肉が過度に緊張し、脳内の痛みの調整機能が上手く働かなくなったりして頭痛が起こります。

プレッシャーのかかる仕事をしている人は精神的な原因によって頭痛が生じている可能性が高いです。また、中間管理職などで上司と部下に挟まれて身動きの取れない環境にある人もストレスが原因で頭痛をはじめとする精神疾患を発症する事があります。(これをサンドイッチ症候群と呼ぶことがあります)

サンドイッチ症候群とは

身体的ストレス

身体的ストレスとは、以下のような不自然な姿勢を長時間続けることで生じるものを指します。

  • 長時間のデスクワーク
  • 首が前傾した状態でのスマホ操作
  • 変な体勢でのゲーム機の使用
  • 長時間の車の運転
  • 高さの合わない枕の使用

こういった事がきっかけとなって緊張型頭痛を発症する事があります。また、身体の冷えなども身体的ストレスのひとつとして考えられ、これも原因となるケースがあります。

頭痛が発生するメカニズムは完全には解明されていませんが、以下のような原因で発生すると考えられています。

  • 交感神経の過剰
  • 筋肉の緊張による血管の圧迫
  • 血液循環の不良 など

頭痛のタイプによっても原因は変わってきますが、緊張型頭痛の場合は上記のような原因で発生するとされています。

トリガーポイントが頭痛を誘発しているケースもある

近年の研究で、頭痛の原因が脳ではなく身体の別の部分がトリガーポイントとなって誘発されているというケースがあることが分かってきました。

トリガーポイントとは痛みの原因になっている部分のことで、その部分には痛みを感じないが、筋肉や腱で繋がれている少し離れた部分に痛みを感じます。この痛みを関連痛と呼びます。

トリガーポイントと関連痛の例として、例えばお尻の筋肉がトリガーポイントとなって膝やふくらはぎが痛む、という事があります。

これと同様の原理で、例えば首の後ろの僧帽筋がトリガーポイントとなってこめかみ辺りに締め付けられるような頭痛を感じる事があります。

こういったケースの場合、頭痛そのものを治そうとするよりも原因となっている筋肉を解したりすることが有効です。

緊張型頭痛の種類

緊張型頭痛には「反復性緊張型頭痛」と「慢性緊張型頭痛」の2種類があり、それぞれでメカニズムが異なるとされています。

反復性緊張型頭痛

反復性緊張型頭痛は、頭、首、肩の筋肉の緊張から起こることが多いと考えられています。

姿勢の悪さや長時間座ったままでのデスクワークなどが原因となり、筋肉の血行が悪化して炎症が起こり、痛みを引き起こす物質のプロスタグランジンなどが産生されることで頭痛が発生すると考えられています。

慢性緊張型頭痛

慢性緊張型頭痛の場合は、筋肉の緊張ではなく脳そのものが痛みを感じやすのではないかと考えられています。身体的ストレスというよりは精神的ストレスによって引き起こされやすい頭痛です。

  • 睡眠障害
  • 顎関節機能障害
  • 頚部痛
  • 眼精疲労

あたりが原因となって発生する事があります。

典型的な症状では、起床後数時間で頭痛が生じ、次第に悪化していきます。頭痛によって眠りから覚めるということはあまり見られません。

緊張型頭痛の対処法

緊張型頭痛は身体的ストレスと精神的ストレスの双方が原因となりうるため、原因だと思われることをそれぞれ解消していく必要があります。

マッサージやストレッチを行う

身体的ストレスの解消方法として最も手軽なのがマッサージやストレッチを行うことです。特に首や肩の筋肉をほぐすことが効果的です。

セルフケアでも良いですし、接骨院などでプロに頼むのも良いでしょう。最初はプロに頼み、マッサージする部位や方法を学んでからセルフケアに移行するのも良いと思います。

日々デスクワークを行っている方は、思っているよりも首や肩の筋肉が緊張しているものです。お風呂上がりに10~15分程度時間を取り、ゆっくりとストレッチすることをおすすめします。頭痛予防以外にも、睡眠の質が向上することもありますのでぜひ試してみてください。

環境調整を行う

精神的ストレスが原因になっている可能性がある場合は、ストレスの原因となっている環境を調整するようにしてみましょう。

例えばHSPや感覚過敏の症状がある場合は、リモートワークに切り替えることでストレスが軽減されるかもしれません。

ストレスの原因となっていることを可能な限り遠ざけることで症状が緩和する事があります。

薬物療法では鎮痛薬や抗うつ薬が使用される

軽度から中度の症状の場合は市販の鎮痛薬で症状を緩和する事が可能です。

緊張型頭痛の治療薬として保険適用が認められているのはアスピリン、アセトアミノフェン、メフェナム酸などです。

抗うつ薬の場合、三環系抗うつ薬(TCA)の一種であるアミトリプチリンが有効であると指摘されています。一方で、口渇、便秘、めまい、眠気、排尿障害などの副作用が強く現れやすいため、服用には十分な注意が必要です。

TMS治療も効果的

TMS治療は特殊なコイルを使用して脳の特定部位に磁気刺激を当てることで脳機能を正常に戻す治療法です。

日本ではあまり普及が進んでおらず一部の医療機関でしか実施されていませんが、欧米では一般的な治療法となっています。

2016年に偏頭痛や緊張型頭痛にTMSが有効であるという論文が発表されており、薬を使わない治療法として注目されています。(J Neurol. 2016 Nov;263(11):2238-2246. Epub 2016 Aug 19.

TMSはうつ病や発達障害の治療にも効果があり、緊張型頭痛の中でも精神的な問題が絡んでいる慢性緊張型頭痛に対して効果を示しやすいとされています。

まとめ

緊張型頭痛は身体的・精神的ストレスが原因となって引き起こされる頭痛です。痛みは我慢すれば日常生活を送れる程度の事が多いため病院を受診する人は少ないですが、症状が気になる場合は一度病院で診断を受けることをおすすめします。

頭痛薬は飲みすぎると余計に頭痛を引き起こしてしまうこともあるため、自己判断で市販薬を服用するよりは専門医に指示を仰いだほうが安心できます。

当院では薬に頼らずに頭痛を緩和するTMS治療を行っておりますので、関心のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

発達障害専門外来
発達障害専門外来

【当日診断可能】正確な診断
QEEG検査に関してはこちら


医師の主観ではなく、大規模脳波データベースと比較し、客観的なデータで症状の程度を診断
脳の状態を診断するQEEG検査(定量的脳波検査)【当日治療開始可能】



15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併

21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併

22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併

8歳女性 学習障害、ADHD合併

技術の進歩により、治療前と治療後のQEEGの変化を客観的に評価することも可能になりました。
QEEG検査で脳の状態を可視化し、結果に応じて、薬を使わない治療など個人に合った治療を提案します。


【当日治療開始可能】正確な診断
QEEG検査に関してはこちら

治療専門外来について動画で紹介
  • 【当日治療開始可能】お問い合わせ・ご予約はこちら

    • WEB予約はこちら

      ご希望の院や⽇時を選べます。
      初回カウンセリングの⽅はWEBからの
      ご予約を24時間受け付けております。

    • お問い合わせは
      こちら

      当院や治療内容について、
      ご質問や疑問点等がございましたら
      お気軽にお問い合わせください。

ブレインクリニック新宿院

0120-711-805

フリーダイヤル・通話料無料・無料相談可能
電話受付時間:09:00~20:30

LINEで相談する
ブレインクリニック東京院

0120-711-805

フリーダイヤル・通話料無料・無料相談可能
電話受付時間:09:00~20:30

※東京院ではうつ病治療を取り扱っておりません。

LINEで相談する