オキシトシンとは?自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)への効果が期待される理由
目次
オキシトシンとは?
人間の脳から出るホルモンの一つに「オキシトシン」があります。
ホルモンとは、血液中にある物質で、体の働きの調整機能を担っています。
オキシトシンは、出産時に子宮を収縮する作用があり、陣痛を促す役目を持っています。子育て中は、授乳時にオキシトシンの分泌が増え、乳腺を刺激して母乳を出すような作用があります。また、赤ちゃんも抱っこされて乳首を吸う際にオキシトシンが分泌されます。母子の関わり合いの中で、オキシトシンの分泌は促進されます。
また、オキシトシンは出産や子育てだけでなく、男女の愛情にも作用していると言われています。性行為の際には、子宮頸部を刺激することでオキシトシンの分泌がおきます。それによって、親密性が促進する作用があると言われています。
妊娠出産をしていない女性、また男性にもオキシトシンは分泌されます。
近年、オキシトシンの研究が進むにつれ、対人交流や親密感の形成が難しい自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)のある人に対して、オキシトシンを投与することで他人の感情を読み取る、目を見れるようになる、表情を認識するなどといった対人関係改善に関する効果があるのではないかと考えられるようになってきました。
オキシトシンの効果
2005年にスイスで行われた研究では、オキシトシンの点鼻薬を使用して臨床研究が行われました。オキシトシンを鼻から吸引することで、他者の感情の理解などの機能を担っている脳の内側前頭前野と呼ばれる部分が活性化されます。この研究結果からオキシトシンは、対人関係の改善の効果がある可能性があると考えられ、効果が期待される人に対して、臨床での治療に向けての数々の研究が進められました。
(Naturevolume 435, pages673–676 (2005) )
オキシトシンの自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)に対する効果
オキシトシンが対人関係改善のに対する作用があるという報告により、多くの研究者が自閉症スペクトラムに関する研究をするようになりました。
自閉症スペクトラムは社会性やコミュニケーション障害が特徴であるため、オキシトシンが自閉症スペクトラムに有効ではないのか?という考え方がされるようになりました。
東京大学医学部の研究チームが、18歳から55歳の男性自閉症スペクトラム者18名のうち、9名にオキシトシン点鼻薬のスプレーを6週間投与したところ、一部の投与しなかった対象者と比較して、自閉症スペクトラムの特性による社会性の障害、行動発達、常同性の行動が改善しているとの研究結果が出されました。
また、2017年にスタンフォード大学からも自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の社会性に効果があったという研究が発表されました。血中のオキシトシンの濃度が効果の指標になるのではとの報告がなされています。
(Proc Natl Acad Sci U S A. 2017 Jul 25; 114(30): 8119–8124.)
自閉症スペクトラムの薬としての期待
社会性やコニュニケーションの障害という自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の代表的な症状に有効である報告がされるようになったことから、オキシトシン点鼻薬の臨床試験を進める根拠になりうると言われるようになりました。このように、新薬の実用化に向けた臨床試験が進められています。この研究成果が実現すれば、自閉症の症状に対する治療法の一つになる可能性があるかも知れません。
オキシトシンの副作用
オキシトシン点鼻薬の場合、薬剤成分の血中濃度が半減する時間が10分未満で、体内からすぐに排泄されるので、他の薬剤との併用による副作用はほとんどありません。
しかし、まれに、錯乱、けいれん、呼吸困難、めまいといった副作用があります。
妊娠中や、高血圧、心臓疾患、腎臓病、甲状腺異常、精神不安症、鬱病、喘息、またはこれらに疑いがある場合は使用できません。
自閉症スペクトラムのある人にオキシトシンを投与した場合の副作用は、まだ詳しくはわかっていません。
オキシトシンとプラセンタの関係
プラセンタ(英語: placenta products, placental products)とは、胎盤から抽出した成分を含有する処方箋医薬品またはサプリメントです。
プラセンタ(胎盤)の中にはオキシトシン用の作用がある成分が報告されており、効果が期待できます。
(参照:Oxytocin-like Substance in Human Placenta: Search for
Uterine Contractile Substance)
脳の状態を診断するQEEG検査(定量的脳波検査)【当日治療開始可能】
15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併
21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併
22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併
8歳女性 学習障害、ADHD合併
技術の進歩により、治療前と治療後のQEEGの変化を客観的に評価することも可能になりました。
QEEG検査で脳の状態を可視化し、結果に応じて、薬を使わない治療など個人に合った治療を提案します。