マリッジブルーが長引く人は適応障害かも?症状と原因、治療法について
目次
恋人からプロポーズを受け、これから愛するパートナーとの幸せな夫婦生活をスタートさせるというタイミングで、なぜか不安を覚えて落ち着かなくなったり、ぼーっとしてしまう。一般的に「マリッジブルー」と呼ばれる状態です。
このマリッジブルーは、放っておくと適応障害やうつ病などになる可能性があります。
今回は、マリッジブルーの症状と原因、進行した場合の病気について精神科医が解説します。
マリッジブルーとは
マリッジブルーとは、結婚が決まり幸せを感じているはずの人に起こる精神的な症状を言います。一般に女性のほうが多いと言われていますが、男性もなることがあります。
マリッジブルーは和製英語で、英語ではpre-wedding jittersやpre-nuptial doubtと言われます。
半数以上の人がマリッジブルーを経験しているというデータもあるほど、結婚前の憂うつな気分は多くの人が経験しており、その症状も様々です。
多くの場合は一過性の症状で、気分が落ち着いてからはパートナーと良好な関係に戻れることがほとんどですが、中には気分の落ち込みが激しく、婚約破棄に至るケースも存在します。
マリッジブルーの原因
マリッジブルーは結婚準備の忙しさや、結婚後の生活への様々な不安が原因となっていることが多いです。
パートナーへの不満ということもありますが、どちらかというと環境が大きく変わることへの不安やプレッシャーによる症状です。男女それぞれの原因となりやすいものをご紹介します。
女性に多い原因
家事・育児と仕事の両立ができるか不安になったり、姓が変わることへの不安を感じる方もいるようです。
- 結婚の準備の焦り、自分だけが忙しく感じてしまう
- 生活環境が一変することへの不安
- 仕事と家庭の両立の不安
男性に多い原因
おもに経済的な不安が大きく、その他には家庭を重視するあまり飲み会や接待などに制限がかかり、出世が難しくなるなどの不安を感じる方もいるようです。
- 経済的な不安、頼りなさを痛感する
- 自由が制限される不安
- 先々の生活への不安
マリッジブルーの症状
男女関係なく、以下のような症状が出ます。
精神症状
- 強い不安を感じる
- 憂うつな気分が続く
- 理由もなく気分が落ち込む
- イライラする、八つ当たりしてしまう
- ひとりでいたくなる など
身体症状
- 頭痛
- 腹痛
- 吐き気
- 身体の倦怠感
- 食欲不振
- 息苦しさ
- 不眠
- 理由なく涙が止まらない など
マリッジブルーになるタイミング
マリッジブルーになるタイミングは人それぞれですが、多くは結婚式の準備が進んでいるタイミングでなることが多いです。これは、そもそも準備が忙しかったり、結婚式の準備なのにパートナーが協力的ではなかったり、思っていたよりも価値観が違うことに気づいたりすることで不安を感じてしまうことが原因になっているようです。
マリッジブルーと関係のある病気
マリッジブルーの症状は、適応障害やうつ病の症状と似ています。
結婚情報ゼクシイのアンケート結果によると、マリッジブルーの期間は「1ヶ月位」が最も多く、ついで「1週間くらい」となっています。
(参照:結婚情報ゼクシイ)
一方で、適応障害の診断基準は以下のようになっています。
A.はっきりと確認できるストレス因に反応して、そのストレス因の始まりから3ヶ月以内に情動面又は行動面の症状が出現
B.これらの症状や行動は臨床的に意味のあるもので、それは以下のうち1つまたは両方の証拠がある
- 症状の重症度や表現型に影響を与えうる外的文脈や文化的要因を考慮に入れても、そのストレス因に不釣り合いな程度や強度をもつ著しい苦痛
- 社会的、職業的、又は他の重要な領域における機能の重大な障害
C.そのストレス関連障害は他の精神疾患の基準を満たしていないし、すでに存在している精神疾患の単なる悪化でもない
D.その症状は正常の死別反応を示すものではない
E.そのストレス因、またはその結果が一度終結すると、症状がその後さらに6ヶ月以上持続することはない
上記の診断基準があるため、マリッジブルーの症状の程度がひどく、生活にも支障が出るレベルで、長期間に渡って続くようであれば、それはマリッジブルーではなく適応障害と診断される事があります。
また、マリッジブルーの症状の中でも特にうつ症状が強く、結婚準備や結婚式が終わったにも関わらず気分の落ち込みや不眠などが続く場合は、うつ病へと進行していることもあります。こうした状況になってしまうと薬物療法や精神療法など専門的な治療が必要になってしまいます。
マリッジブルーは多くの人が経験していることですが、だからといって自然に解消するのを待っていると長引いてしまうこともあります。症状が辛いと感じるようであれば、精神科や心療内科を受診するようにしてください。
マリッジブルーの治療
基本的には治療が必要なほど重い症状が出るものではなく、一週間程度で症状が治まる一過性のものです。マリッジブルーは多くの人が経験していることですので、1人で抱え込まずに周囲の人に相談して不安を解消したり、ストレス発散に付き合ってもらうのがよいでしょう。
マリッジブルーに対して明確な治療法はありませんが、症状に応じた治療を受けることができる場合があります。
例えば、うつ状態を緩和するためにカウンセリングを受けたり、一時的に薬物療法を取り入れることが可能です。
また、睡眠障害が起こっている場合は睡眠導入剤などを服用し、生活リズムを安定させることでうつ症状の緩和につながることもあります。
TMS治療も有効
また、不安やストレスの軽減にはTMS治療(磁気刺激療法)が有効です。TMS治療は脳に局所的に磁気刺激を与え、脳血流を改善させることで脳の機能を正常に戻す治療法です。TMS治療は薬物治療のように副作用があるわけではなく、治療期間も比較的短期間で済みます。アメリカをはじめとする欧米では普及が進んでいる治療法で、現在日本では一部の医療機関でのみ治療を受けることが可能です。
当院ではTMS治療が可能です。気になった方はぜひお問い合わせください。
また、TMS治療についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事も参照してください。
TMS治療(経頭蓋磁気刺激)は、医療先進国のアメリカのFDAや日本の厚生労働省の認可を得た最新の治療方法です。投薬に頼らずうつ病や発達障害などの治療ができるTMS治療について、精神科医が詳しく解説しています。
まとめ
マリッジブルーは結婚を控える多くの方が経験する症状ですが、程度がひどい場合は心療内科や精神科を受診することで適切な治療を受けることができます。
日常生活に支障が出てお困りの場合は、早めに受診するようにしましょう。
脳の状態を診断するQEEG検査(定量的脳波検査)【当日治療開始可能】
15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併
21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併
22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併
8歳女性 学習障害、ADHD合併
技術の進歩により、治療前と治療後のQEEGの変化を客観的に評価することも可能になりました。
QEEG検査で脳の状態を可視化し、結果に応じて、薬を使わない治療など個人に合った治療を提案します。