
ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもを育てる上での対応法や接し方は?【医師が分かりやすく解説】
目次

ADHD(注意欠陥多動性障害)のお子さんは、日常生活を送る中で、様々な困難を感じる事があると思いますが、環境を整えたり、関わり方を工夫することで、本人が辛く感じることを軽減することはできます。
実際に、ADHD(注意欠陥多動性障害)の方で、ご自身の特性を活かして社会で活躍している人もたくさんいます。
また、ADHDの症状は人それぞれ異なります。そのため、一人ひとり対処方法も異なります。
ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもへの対応法や接し方は?
「できない」ことが目立ちがちなADHD(注意欠陥多動性障害)ですが、好きなことや興味のあることに対しては周りが驚くほどの集中力を発揮します。
できないことだけに固執せず、得意なことや好きなことを伸ばしていきましょう。
成功体験は自信につながり、少しずつ出来たと子供が実感できる機会が増えていくはずです。
指示は具体的に一つずつ
長い説明や、「ちゃんとして」「急いで」など抽象的な言い方は、ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもには上手く伝わらないことがあります。
そのため、予定ややってほしいことは、端的に分かりやすく伝えてあげると良いでしょう。
やってほしいことを一度に言いたくなりますが、多くの情報が一度に入ることで混乱したり、ハードルが高いと失敗や自信を失う原因に繋がってしまいます。
スモールステップという、できそうなことに一つずつ取り組むスタイルで対応していきましょう。
また、注意をする場合は、感情的にならずに、「なぜダメなのか」「どうすれば良いのか」など理解しやすい言葉で具体的に行うように心がけましょう。
視覚的な工夫をする
ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもは言葉の指示が理解しにくい場合があります。
中には、文字を見るより絵やイラストといった視覚的な情報から物事を理解するのが得意な子どももいます。
視覚的な情報を上手に活用し、自分の意志を伝えたり、その子に合った方法で表示できるよう工夫をしていきましょう。
守りやすいルール&ご褒美でやる気を引き出す
本人のやりやすさ、約束ごと守りやすくするにはどのようにすればよいかを考え、本人が実現可能なルールや目標をつくりましょう。
子どもに説明し納得したら、ルールを守る約束をしていきます。ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもはご褒美があると頑張れるので、約束が守れた場合にご褒美を与えるなどの制度をつくっておくのも良いでしょう。
これは、「目標を立てて実践する」という練習にも繋がります。
我慢できる時間や頑張れることは、少しずつその子のペースで増やしていきましょう。
良いことや出来たことに気がついたら褒めてあげる
良いことをした場合や何かできたことが際には、できるだけすぐに「少しオーバーかな?」と思う程度でも良いので大げさに褒めましょう。
褒めることで、どのような行動をするべきかを自ら理解したり、本人の達成感や認められたと感じることで自己肯定感へも繋がります。
普段注意されたり怒られたりという機会が多いADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもにとって、成長のために褒めるのは大変重要となるので、当たり前のことや良いことやできたことがあった時は積極的に反応してあげましょう。
ADHDの子どもに接する際に注意するべきこと
1.子どもを傷つけない効果的な叱り方をする
ADHDの子どもは、傷つきやすく、自分を否定したり、悲観的になりやすい特性があります。
子どもが悪いことをしたら注意しますが、そのときには以下のことに気を付けて注意します。
叱り方によっては、怒られているということだけしか頭に入ってこない場合があったり、反抗心を刺激するだけになることがあります。
子どもの近くに行って、静かに穏やかな声で指摘するのが良いでしょう。
2.うまくいかないときは理由を考えて環境を変える
できないときや、トラブルが起きた時は、子どもを叱るだけではなく、その理由を考える環境を作ることが重要です。
など、うまくいかない原因が見つかったら、解決法を探し、子どもがやりやすいような環境へと変えていくのが良いでしょう。
3.発達障害を正しく理解する
ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもはその特性から、周りから理解を得られず、孤立してしまうこともしばしばあります。
周囲の人に障害について知ってもらう機会を設けたり、子ども同士のトラブルがあれば、年齢や理解度に応じて話し解決できるよう共にサポートをしていきましょう。
4.ストレスに気をつける
子育てをしていると、何度も同じことで叱らないといけない場面に遭遇するでしょう。叱る方も良い気はしませんし、叱られる方はだんだんと自信をなくすといったように、悪循環に陥りがちです。
ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもの場合、不安や緊張、疎外感が強まると症状が激しくなる傾向にあります。
トラブルが続くことで劣等感を抱いたり自己評価が低下しやすくなり、これらは、ストレスが溜まるなどの二次障害の原因になります。
二次障害に関しては以下の記事を参照してください。
発達障害の人は、二次障害を発症してしまうことがあります。発達障害であると知らぬまま成長し、その後二次障害を発症して病院にかかったときに実は発達障害であると診断されることが少なくありません。この発達障害の二次障害の原因や症状、対応についてみていきましょう。
深刻に考え、思いつめるとかえって事態は悪化することもあります。
注意をしたから、工夫をしたからといってすぐにできるものではないと割り切ることも時には必要です。
ゆっくりと、少しずつできるようになるのを待ちましょう。
また、医療機関などの身近な専門機関で相談したり、周囲に協力を求めていくことで、悩みを一人で抱え込まない環境づくりをしていくことも大切です。
15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併

21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併

22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併

8歳女性 学習障害、ADHD合併

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