サンドイッチ症候群とは?症状や原因、治療法について
目次
サンドイッチ症候群という言葉をご存知でしょうか?
よく「中間管理職は上と下の板挟みになって大変だ」ということを聞くと思いますが、まさにそのような状態で精神的に疲弊してしまう状態を指します。
今回は、サンドイッチ症候群の症状や原因、治療法などについてご紹介します。
サンドイッチ症候群とは
サンドイッチ症候群とは、主に中間管理職の人が上司と部下の間に挟まれて身動きが取れずに疲弊し、心身の不調に陥る状態のことです。
日本では「サンドイッチ症候群」「管理職症候群」「マネージャーシンドローム」などと呼ばれます。英語では”sandwich syndrome”と呼ぶようです。
医学的に正式な病名ではなく、30~40代で管理職に就いているビジネスマンが陥りやすい精神的不調を総称したもので、病院ではうつ病や不眠症などそれぞれの症状に応じた病名がつきます。
サンドイッチ症候群の症状
サンドイッチ症候群は精神的なストレスが原因となっているため、以下のような精神疾患によく見られる症状が出ます。
- 慢性疲労感
- 抑うつ状態
- 頭痛
- 高血圧
- 動悸
- めまい
- 不眠
- 消化器官系の不調 など
実際に病院で診断を受ける際にはうつ病、不眠症、適応障害、自律神経失調症といった病名が当てはまるでしょう。
これ以外にもストレスに起因するあらゆる症状が考えられますので、あまり症状を決めつけずに早めに対策することをおすすめします。
サンドイッチ症候群の原因
サンドイッチ症候群の原因は、ビジネスマンにありがちなストレスによるものです。
上司からは結果を数字で求められ、部下からはリソースが足りないので何とかしてほしいと言われ、身動きが取れなくなってしまうと強いストレスがかかります。こうしたストレスを長期間受けていると精神的に疲弊してしまい、心身に不調をきたすようになるのです。
また、中間管理職でなくても、ディレクション業務や窓口業務を行っている人にも同様のストレスがかかります。クライアントからの要望と自社の事情に挟まれてしまい、解決できずにストレスだけが溜まってしまうのです。
仕事をする上で避けては通れないストレスではありますが、本人の性格やストレス耐性の有無によっても症状が表面化するかどうかは変わってきます。
サンドイッチ症候群になりやすい人
サンドイッチ症候群は、すべての中間管理職が発症するわけではありません。本人の性格によって発症しやすいかどうかは変わってきます。
うつや適応障害などを引き起こしやすい人の特徴として、以下のような特徴が挙げられます。
- 仕事に対して真面目で手を抜かない
- 後輩の面倒見が良い
- 相談が苦手で、一人で解決しようとする
- 上司や部下に本音で話すことができない
- 周囲に対して気を使いすぎてしまう(HSP気質)
社会では理不尽な事がたくさん起こります。そのため、仕事にメリハリをつけて、手を抜けるところは省エネで乗り切るくらいの気持ちを持っていたほうが苦しくならず、結果的に仕事がうまく回っていくことが多いです。いい意味での投げやりな気持ちを持っていないと、一人で抱え込みすぎて心身に症状が出てしまうのです。
また、そもそもコミュニケーションが苦手な場合は中間管理職になると様々な困難が生じます。発達障害グレーゾーンの方の中にこうした悩みを抱えている人が多く、自分自身は仕事ができても、上司や部下とのコミュニケーションが上手く取れず、周囲と協力して仕事を進めることができないことがあります。
HSP気質の人の場合は気を遣いすぎてしまうあまり、部下を注意する事ができなかったり、上司にネガティブな報告をするのをためらってしまい、それが大きなストレスになってしまいます。
サンドイッチ症候群の予防
サンドイッチ症候群を予防するためには、ストレスの原因となっている上司と部下との関係性を変えていくことが重要です。また、仕事とプライベートをしっかりと分け、メリハリのある生活を送ることも大切です。
自分の意見をまず伝える
サンドイッチ症候群になりやすい人は、上司からの意見をそのまま受け止め、部下からの不満をそのまま抱えてしまう人です。上司から見えていない現場の状況を伝えたり、部下から見えていない上層部の意図を伝えてみると、意外と簡単に状況が変わったりします。
また、意見が食い違った場合の対処法を機械的に決めておくことも良いでしょう。
反発があって当然という心構えでいる
会社で仕事をするということは、色々なバックグラウンドを持った人がそれぞれの意見を持ち合って最適な選択肢をとっていくことです。そもそも反発が起こらない職場は機能していないとも言えます。「自分が中間管理職になってから会社が上手く回っていない」と悲観することはありません。それまで中間管理職を担ってきた先輩も同じような悩みを抱えていたのですから、現状を正直に話して「周囲と協力して」課題を解決していくようにしましょう。
好きなことをする時間を死守する
仕事の心配事が多くなると、自分の趣味の時間をとることができなくなっていきます。それでも、少しでもいいので自分の好きなことをする時間を死守するようにしましょう。
15分程度でもいいので身体を動かしてみたり、週に1本は映画を見るなど、自分を大切にする意識が大切です。
サンドイッチ症候群の治療
予防策をいくつかご紹介しましたが、それでもサンドイッチ症候群になってしまった場合は早めに精神科で治療を受けることをおすすめします。
正式な病名ではないため、サンドイッチ症候群自体の治療法はありませんが、症状に応じて薬物療法やTMS治療といった選択肢があるのでご紹介します。
薬物療法
薬物療法は、抑うつ症状や不安症状が強い場合に選択されます。SSRIなどを服用しつつ、症状を緩和させるものです。
一定の効果が出ることや、保険適応によって治療費が安く済むというメリットが有る一方で、副作用として消化器系の症状が出てしまったりするデメリットもあります。
また、薬物療法はあくまでも対症療法であり、根本治療ではありません。長期間にわたって薬を服用しながら仕事を続けることになり、その間は副作用のリスクも続きますので、他の対策ができるなら優先すべき選択肢ではないでしょう。
TMS治療
TMS治療は特殊なコイルを用いて脳の特定部位に磁気刺激を当て、脳血流を増加させることで低下した脳機能を正常に戻していく治療法です。
欧米ではうつ病治療の選択肢として普及が進んでいますが、日本ではまだ一部の医療機関でしか受ける事ができません。
TMS治療は薬物療法のような副作用がほとんどないことや、治療期間が短く済むというメリットがあります。
デメリットとしては、2021年5月現在、TMS治療の保険適用範囲は重度のうつ病に限られているため、多くの場合は自由診療になることが挙げられます。そのため治療費は薬物治療に比べて高くなりますが、長期間にわたって薬を服用するコストを考えると、長期的に見た場合にはそこまで大きな差はありません。
TMS治療(経頭蓋磁気刺激)は、医療先進国のアメリカのFDAや日本の厚生労働省の認可を得た最新の治療方法です。投薬に頼らずうつ病や発達障害などの治療ができるTMS治療について、精神科医が詳しく解説しています。
まとめ
サンドイッチ症候群は、中間管理職であれば誰にでも起こりうる症状です。特にストレス耐性がない人は発症しやすいので、体調に異変を感じたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。
当院でもサンドイッチ症候群によく見られるうつや不安、適応障害などの診断・治療を行っています。実際にビジネスマンの方がストレスケア目的で来院することもございますので、まずはお気軽にご相談下さい。
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