ブレインフォグとは?症状や原因、治療法について
目次
ブレインフォグという症状が最近話題になっています。コロナウイルスの後遺症として訴えている人が多く、世界中で研究が進められている症状です。
今回は、ブレインフォグの症状や原因、治療法についてご紹介します。
ブレインフォグとは
ブレインフォグは直訳すると「脳の霧」という意味で、脳に霧がかかったようにモヤモヤとして、日常的な物事をしばらく思い出せなかったり、普段からやっていることが混乱してできないなどの症状が出るものです。
「ブレインフォグ」は正式な病名ではありません。医学的に定義されたものはないため、ブレインフォグかもしれないと思って診察を受けても別の病名がつくことになるので注意して下さい。
ブレインフォグの症状
ブレインフォグの症状は概ね以下のようなものを指しています。
- 頭がボーッとする(思考力の低下)
- 目の前のことに集中できない(集中力の低下)
- 色々なことを考えてしまい混乱する
- 頻繁に物忘れをする(認知障害)
- 言いたいことがスラスラ出てこず、言葉に詰まる
医学的な定義はないため正確性には欠けますが、上記のような症状を指しています。
イメージとしては、徹夜をした時や風邪を引いた時、お酒を飲みすぎて二日酔いになった時のように頭がボーッとして何も考えられない、手がつかないというような状態です。
基本的にこういった症状はよく睡眠をとったり風邪が治ったりすれば消えてしまうものですが、慢性的に続く場合は何かしらの病気の可能性があるため注意が必要です。
ブレインフォグが起こりうる病気
ブレインフォグの症状が見られる病気はたくさんあります。代表的なものでは以下のような病気で見られます。
- 慢性疲労症候群
- 睡眠障害(不眠症・過眠症)
- PMS(月経前症候群)・PMDD(月経前不快気分障害)
- ADHD(注意欠陥多動性障害)
- ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)
- 適応障害
- 不安障害
- うつ病
- 双極性障害
- 物質関連障害(アルコール・薬物など)
この他にも同様の症状が見られる病気はあります。そのため、正確な診断のためにはブレインフォグの症状以外にどのような症状があるのか、普段どのように過ごしているのか、既往症はないかなど様々な観点から診察をする必要があります。
コロナウイルスとブレインフォグ
ブレインフォグは、コロナウイルスの後遺症のひとつとして2020年の夏頃から注目されています。アメリカのノースウェスタン記念病院の最新研究では、コロナウイルスの軽症患者100人を対象にした調査において、「集中できない・忘れやすい」といった症状を訴えた患者が81%に及んだという結果を報告しています。これは、頭痛やしびれといった他の後遺症よりも訴える患者が多く、長期に渡り頭がボーッとした状態が続き、症状によっては方向感覚を失ってしまうケースも存在するようです。
コロナウイルスの後遺症としてのブレインフォグの症状はまだ詳しく分かっていないことも多く、現在も研究が進められています。
ブレインフォグの原因
ブレインフォグの原因とされていることは複数あり、脳疲労、不安やストレス、不規則な生活、生理、更年期などが該当します。
脳疲労
現代社会はスマートフォンやインターネットなどを通して常に大量の情報を取り入れ、それを処理しています。こうした状況が続くと、情報処理が追いつかなくなって目の前のことに集中できなくなっていきます。この状態を脳疲労と呼びます。
不安やストレス
職場や家庭で様々な不安やストレスに晒されていると、集中すべきことが目の前にあっても気を取られてしまうようになります。ネガティブなことや考えてもどうしようもないことをあれこれと考え続けてしまう状態をぐるぐる思考(反芻思考)と呼びますが、こういった症状はうつ病や不安障害などの原因にもなります。
不規則な生活
睡眠不足や栄養不足など、不規則な生活を続けることによっても心身のストレスは溜まっていきます。一時的な睡眠不足や栄養不足であれば回復しますが、慢性的に不規則な状態が続くとブレインフォグの原因にもなるうえ、うつ病や睡眠障害などの本格的な精神疾患になることがあります。
生理
女性の場合は生理が原因でブレインフォグの症状が出ることがあります。生理の症状が重いPMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の場合はイライラやうつっぽさと並行して症状が見られることもあるため、症状が重たく感じることもあるかもしれません。
更年期
更年期は女性ホルモンの減少による自律神経の乱れから様々な症状が出るものですが、疲れやだるさ、頭痛などを指してブレインフォグと呼ぶことがあります。
ウイルス感染
コロナウイルス感染後に後遺症としてブレインフォグの症状を訴える人が多いですが、この原因はウイルス感染後に脳が炎症を起こしている可能性があると言われています。
これについてはまだ研究段階であり、明確な原因は分かっていません。
ブレインフォグの治療
ブレインフォグの治療法は原因によって異なります。
コロナウイルスの後遺症によるブレインフォグは明確な原因が分かっていないため治療法は明らかになっていませんが、その他の脳疲労や不安・ストレスなどが原因のブレインフォグの場合はTMS治療(磁気刺激治療)が効果的です。
ブレインフォグの症状(思考力の低下、集中力の低下)は、脳の神経ネットワークが偏りを引き起こすことで発生しています。
脳にはDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)、CEN(セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク)、SN(セイリエンス・ネットワーク)の3つの神経ネットワークがあり、それぞれがバランスを取ることで集中力や思考力などを調整しています。
ブレインフォグの症状が出ている場合、DMNが過活動を引き起こすことでCENへの切り替えが上手くできず、脳のエネルギーが大量に消費されてしまっている状態であると考えられます。そのため、DMNの活動を調整し、CENを活性化させることで脳を休ませることが重要です。
TMS治療では、8の字コイルを使って脳の特定部位を磁気で刺激します。これによって脳血流を増加させ、神経ネットワークを調整します。
うつ症状や不安症状の改善に効果的で、薬に頼らない治療法として欧米では普及が進んでいます。日本でも一部の医療機関で導入が進んでいる、最先端の治療法です。
TMS治療(経頭蓋磁気刺激)は、医療先進国のアメリカのFDAや日本の厚生労働省の認可を得た最新の治療方法です。投薬に頼らずうつ病や発達障害などの治療ができるTMS治療について、精神科医が詳しく解説しています。
まとめ
ブレインフォグは医学的に定義されているものではないため、症状は多岐に渡ります。睡眠不足等による一時的なブレインフォグの症状はすぐに回復するため治療の必要はありませんが、慢性的に症状が続くようであれば精神疾患の可能性を疑い、専門機関を受診したほうが良いでしょう。
コロナウイルスの後遺症の場合はまだ明確な原因が分かっていないため、自己判断で治療を受けるのではなく、コロナウイルスの診断を受けた病院で相談するようにしてください。
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