ディスレクシア(読字障害・読み書き障害)とは?読み書き障害、難読症とも呼ばれます。【医師が分かりやすく解説】

ディスレクシア(読字障害・読み書き障害)とは?

日本での認知度は低いですが、読み書き障害、難読症とも呼ばれる学習障害の一種です。
ディスレクシアとは「字を読むことに困難がある障害」を指す通称で、ギリシャ語で「困難」を意味する「dys(ディス)」と、「読む」を意味する「lexia(レクシア)」が複合した単語です。 日本では難読症識字障害読字障害と呼ばれてきました。
読むことができないと書くことも難しい、ということから、読み書き困難、読み書き障害とも呼ばれます。
よく間違われる例として、「失読症」というものがありますが、失読症は、脳梗塞などの後遺症として、明らかに後天的に読めていたものが脳梗塞後に読めなくなった、つまり機能を失った状態を指します。
一方、読字障害は先天性のものであり、医学的な分類では学習障害(LD)に含まれることになります。
また、知的な遅れが伴わないことや、認知度が低いことから、大人になるまで気づかないままでいることもあります。

ディスレクシアの人に見られる主な症状特徴

1.文字の読み方の認識が難しい:音韻処理の不全

□文字と音の変換が苦手

ひらがなの文字と音を結びつけて読むのが難しいことがあります。また小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」や音を伸ばす「―」などの特殊音節が認識できず、読めないこともあります

□単語のまとまりを理解するのが困難

たとえば「り」「ん」「ご」などのひらがなやカタカナの一音ずつは読めても、それを「りんご」というひとまとまりの言葉として理解するのが難しいことがあります。

□聴覚記憶が苦手

言葉を音として記憶しながら読んだり話したりしますが、ディスレクシアの人の中にはこの音韻認識が弱く、聴覚的な記憶が苦手な人がいます。
このように処理と記憶を同時並行してに行うことが難しいことから読むことに困難な場合があります。

2.文字の形の認識が難しい:視覚情報処理の不全

□文字がにじむ・ぼやける

水を浸したように文字がにじんで見えたり、目が悪い状態のように文字が二重になったり、ぼやけて見えたりします。

□文字がゆがむ

文字がらせん状にゆがんで見えたり、3Dのように浮かんで見えたりします。

□逆さ文字(鏡文字)になる

鏡にうつしたように文字が左右反転して見えることがあります。

□点描画に見える

1つの文字を点で描いているような点描画に見えることがあります。
以上の特徴から文字を読み取りづらく、語句や行を抜かしたり、逆さ読みをしたり、音読が苦手な傾向にあります。
また、読みだけでなく、読めないことで書くことにも困難があらわれる場合もあります。
全く読めないわけではないけれど、読むのが遅いというディスレクシアの人もいます。
周りから怠けていると理解のない誤解を受けることも多くありますが、本人の努力不足などではなく、発達障害であるということを理解することが大切と言えます。

ディスレクシアの学校や仕事での困りごと

・学校

文字を読むのも書くのも苦手なディスレクシアの子どもにとって、学校での板書の作業は困難に感じます。
作文や漢字の書き取り、音読なども苦手なため、学校の宿題に時間がかかったり、出来ないことも多々あります。
先生や子ども自身も気づいていない場合、“努力不足”などと叱られる子どももいます。

・仕事

書類作成など文字を扱う業務が苦手で、何度間違いを指摘されてもミスを繰り返してしまうことがあります。
また、すばやくメモを取ることも出来ないため、上司の指示を聞いたり、電話を受けた場合に困ることもあります。
短期記憶も苦手な傾向にあるため、誰から電話が来たか忘れてしまったり、人の顔と名前を覚えられなかったりします。

ディスレクシア(読字障害、読み書き障害)の対処方法は?

□文字を見やすくする

ディスレクシアの中には文字を読みにくいと感じる方もいます。
文字の大きさ、フォントを調節しわかりやすくしたり、読むところだけを見れるように周りの文字を隠したりすることにより本人は見やすくなることがあります。
文字が小さいと感じる場合には拡大する、下線や蛍光ペンなどで重要なとこを強調すると読みやすくなったりします。

□音声に変える

読むのは苦手だが聞くことには苦手意識を感じていない方もいるのでは?その場合文章を音声にしてしまえば文章を理解しやすくなります。
また苦手でも音声で聞きながら文章を読めば、文字、音、意味の理解がしやすくなることもあります。
電子辞書やスマートフォンでは読み上げ機能がついているので利用してみましょう。

□ふりがなやスラッシュを振る

 漢字などの細かく似ているものが多い場合などにはふりがなを振ることで読みやすくなったりします。
また長い文章の場合、どこまでが一区切りなのか、どこで文章を区切るのかをわかりやすくするのに/(スラッシュ)などの記号を用いると文章が明確になりよみやすくなります。

□色付きメガネを使用する

 基本的に文字が書いてある用紙は背景が白であることが多いですが、背景を青や緑などの色があったほうが見やすいという人もいます。
その場合色付きのメガネや色のついたクリアファイルなどを重ねると読みやすくなります。

□スマートフォン、タブレットを利用する

上記に挙げた対処法がスマートフォン、タブレットで簡単に行えます。
文字の拡大や背景の変更、音読機能もあります。
また撮影や録音することにより何度も確認することができます。

その他読み書き障害の対処法としてビジョントレーニングが知られています。

・ビジョントレーニングとは?
ビジョントレーナーと呼ばれる専門家による指導のもと、眼球の動きがコントロールできるように、また空間認識能力を高めるために行うトレーニングをビジョントレーニングといいます。
このトレーニングをすることで読み書き障害の改善が期待できます。
ビジョントレーナーは各自治体を通じて探すことができます。
また、文節に区切りを入れたり、教科書を見やすくするために大きめにコピーすることで、文章を上手く読めるようになる可能性があります。
医師などと相談し、個々に合わせて対応していきましょう。