強迫性障害の診断・治療方法とは? 強迫観念・強迫行為の特徴【医師が分かりやすく解説】

強迫性障害患者に見られる強迫観念・強迫行為の特徴とは

自分の意思に反して、不合理な考えやイメージが頭に繰り返し浮かんできて、それを振り払おうと同じ行動を繰り返してしまう病気です。
症状としては、抑えようとしても抑えられない強迫観念と、それによる不安を打ち消すために無意味な行為を繰り返す強迫行為があります。

・汚染

  •  1:体液(尿、糞便など)
  •  2:細菌、病気(ヘルペス、HIVなど)
  •  3:環境汚染(アスベスト、PM2.5、放射線など)
  •  4:家庭用化学製品(洗剤など)
  •  5:汚物、よごれなど
  • ・コントロールの喪失

  •  1:自傷行為への恐怖
  •  2:他者へ危害を加えてしまうことへの恐怖
  •  3:暴力的で恐ろしいイメージへの恐怖
  •  4:叫びたくなる衝動への恐怖
  • ・完璧主義

  •  1:均一さ、正確さに関する心配
  •  2:知っているべき、覚えているべきだと心配する
  •  3:何かを捨てる時に重要な情報を失う、忘れてしまうのではないかという恐怖
  •  4:取捨選択ができない
  •  5:何かを失うことへの恐怖
  • ・恐怖

  •  1:自分のせいで何か大変な問題が生じるのではないかという恐怖
  •  2:自分が注意していなかったために、他人に危害が及ぶのではないかという恐怖
  • ・望まない性的な観念

  •  1:禁忌、よこしまな性的な観念、イメージ
  •  2:他人への禁じられている、またはよこしまな性的衝動
  •  3:同性愛に関する強迫観念
  •  4:子ども、あるいは近親相姦に関する性的な強迫観念
  •  5:他人への攻撃的性衝動に関する強迫観念
  • ・宗教的強迫観念

  •  1:神への冒涜になるのではないかという不安
  •  2:善悪、または道徳に関する過剰な心配
  • ・その他の強迫観念

  •  1:身体的な病気を患ってしまうのではないかという不安
  •  2:ラッキー、アンラッキーナンバーや特定の色に対する迷信的な考え
  • ・洗浄行為

  •  1:手を何度も洗ってしまう、洗い方にこだわる
  •  2:シャワーを浴びる、お風呂、歯磨き、手入れ、トイレなどを必要以上に過剰にしてしまう
  •  3:家庭用製品やその他の物を過剰に洗う、キレイにしようとする
  •  4:不潔なものには触らないようにその他のことをしてしまう
  • ・確認行為

  •  1:他人を傷つけなかったか、または傷つけてしまわないか確認する
  •  2:自分を傷つけてしまわないか、今後傷つかないように確認する
  •  3:大変な事態にならないように確認する
  •  4:ミスをしていないか確認する
  •  5:ある身体の部位の状態を確認する 
  • ・反復

  •  1:読み直したり、書き直したりする
  •  2:日常的な行動を繰り返す(ドアの開け締め、椅子から立つ、座るなど)
  •  3:身体を動かし続ける(たたく、さわる、まばたき…など)
  •  4:何度も繰り返す(良い、正しい、安全な数字であると信じて、同じことを複数回行うなど)
  • ・心理的強迫行為

  •  1:他人を傷つける、事態が悪化しないように出来事を回想する、祈る
  •  2:なにかする際に、とにかく数字、数を意識する
  • ・その他の強迫行為

     
  •  1:物を集め続け、家ががらくたの山になってしまう
  •  2:正しい、良いと思えるまで物を秩序に従い配置する
  •  3:自分の安心のために人、人に何かを言う、聞く、打ち明ける
  •  4:強迫観念を生じる状況から避けようとする
  • 強迫性障害の診断方法

    強迫性障害の診断基準

  •  1:強迫観念がある
  •  2:強迫行為が見られる
  •  3:強迫観念と強迫行為に時間が掛かり、生活、仕事に支障がでている
  • ・強迫観念とは

  •  1:何度も生じ、コントロールできないと感じられる観念、イメージ、衝動など
  •  2:強迫性障害を持つ患者はこの観念を消し去りたいと思っている
  •  3:しかしこれらが邪魔な思考であり、不合理だとわかっている場合
  •  4:患者は恐怖、嫌悪感、疑いといった不快感、または正しく行わなければいけないといった感覚があります。
  •  5:これらの観念に時間を支配され生活、仕事、学校に支障がでる。
  • ・強迫観念ではないもの

     病気になる可能性や家族、パートナーの安全を時折考えることは自然なことであり、強迫観念であるとは言い切れません。

    ・強迫行為とは

  •  1:強迫観念を緩和させるため、消し去ろうとする行為や考えなど
  •  2:強迫性障害の患者は強迫行為が一時的な解決にしかならないことを理解はしていますが、より良い解決策を見出だせないため、その場しのぎの逃避手段として強迫行為を行ってしまいます
  •  3:強迫観念を生じる状況を避けようとする行為も強迫行為と考える場合もあります
  •  4:長い時間を費やし、生活や社会、学校などに影響が及ぶ
  • ・強迫行為ではないもの

  •  1:反復行動、儀式的なものがすべて強迫行為とは言えません。寝る前の習慣、宗教、技術習得など繰り返し行う行為は日常生活の一部であると考えます
  •  2:反復行動は文脈、状況で強迫行為の判断を行います。仕事で同じ行為を繰り返しても(例:スーパーなどでの陳列作業を数時間行う…など)強迫行為とは言えません
  • 強迫性障害の治療

    強迫性障害のTMS治療の有効性

    強迫性障害TMS治療の有効性
    Neurosci Bull. 2017 Dec;33(6):747-756. doi: 10.1007/s12264-017-0185-3. Epub 2017 Oct 24.
    強迫性障害(OCD)は前頭前野および眼窩前頭皮質(OFC)、補足運動野(SMA)、線条体、淡蒼球、および視床を含む皮質 – 線条 – 視床 – 皮質回路内の過興奮が強迫性障害(OCD)の症状の原因である可能性があることが研究で示唆されています。 強迫性障害(OCD)患者22人を対象とした最近の多施設共同研究では、6週間の両側のrTMSにより、プラセボと比較して強迫性障害(OCD)症状及びうつ症状が有意に軽減されたことが示されました。
    さらに、この効果はその後の追跡調査でも持続しました。

    強迫性障害の薬物治療

    強迫性障害の治療には、強迫性障害の原因の1つと考えられているセロトニンの異常を調整する働きを持つ選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)という抗うつ、抗不安薬を使用する薬物療法があります。
    選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を用いた薬物療法では服薬開始から約12週間、最大量で約4週から6週ほど続けた上での評価が望ましいと考えられます。
    服薬量が多ければ効果も期待できるので次第に薬の量を増やしていきます。
    選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を多量に使用しても効果が期待できない場合、薬の変更や治療方法の変更などを検討します。
    選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)への抵抗性を判定する場合、最低2種類まで選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を使用する、十分な量を最低10週間以上使用するなどが推奨されています。
    また治療途中で寛解したと思い中断しても、まだ部分的改善であり完全に改善されたわけではないので再度治療を再開することは少なくありません。

    選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の抵抗性の原因

    ①:患者背景、臨床症状
  • ・早発例(男性)
  • ・初診時の全体的機能水準が低い
  • ・罹病期間がより長期
  • ・強迫症状の内容が多彩
  • ・治療前の重症度が高度
  • ②併存症
  • ・社交不安障害、チック障害、統合失調型パーソナリティ障害
  • ・境界性、回避性、強迫性パーソナリティ障害
  • ③強迫症状の特徴
  • ・対称性、整頓、溜め込み症状が優勢
  • ・性的、宗教的など観念優位型
  • ・強迫性緩慢
  • 薬の副作用
    SSRI(フルボキサミン、パロキセチンなど)に対する副作用がある場合

    強迫性障害の認知行動療法

    認知行動療法とは、日常生活の中で生じるさまざまな問題に対して、患者さんがどのように考え、行動し、あるいは感情や身体が反応するのかを把握して、その対処法を考え、現実的に判断して柔軟に行動することを促す治療法です。
     一般的なものとしては、暴露反応妨害法があります。
    この療法では、患者さんに強迫観念や不快感を引き起こす状況や人物にあえて直面させ、刺激を与えます。
    恐れて逃げていた部分に直面する(曝露法)、不安の軽減のために強迫行為はしないこと(反応妨害法)を継続して練習していきます。
    曝露妨害反応法を導入する場合、症状がどのような場合に出現するか、どのような思考から不安症状へと変わるのか、回避や対応、他者を巻き込むか、生活への影響などを分析し治療目標を設定します。「強迫行為は不要である」ということを患者さん本人が自覚するようになります。
    暴露反応妨害法は、病院だけでは効果が不十分な事が多いので、家庭でも実践する必要があります。