愛着障害の症状や特徴、原因とは?大人の愛着障害の治療法も紹介
発達障害専門外来
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愛着障害の症状や特徴、原因とは?大人の愛着障害の治療法も紹介

愛着障害とは、両親などの養育者との愛着形成がうまくいかなかったことで現れます。

対人関係や社会性に困難がある大人の中に、その原因が愛着形成に問題があるのではないかと考える人も少なくないようです。

愛着形成に問題があるとはどういうことなのか、子どもだけでなく、大人の「愛着障害」に対処する方法についても解説します。

安定した愛着スタイルを形成できた人は、対人関係においても、仕事においても高い適応力を示します。人とうまくコミュニケーション出来るだけでなく、深い信頼関係を築き、それを長年にわたって維持していくことが可能です。

愛着(アタッチメント)とは?

多くの乳幼児は生後6~7か月になると母親が部屋から出ていくと泣くようになります。

ほかの人がいくらあやしても泣きやまないのにも関わらず、母親が受け取ると直ぐに泣きやむというような行動を示すようになります。

これは乳幼児が母親という特定の人に対して特別な感情を抱くようになったということになります。このような特定の情緒的な結びつきをアタッチメント(attachment)と言います。日本語訳としては愛着という用語が定着しています。

子どもが成長するうえで、抱っこをすることは、母乳を与えることと同じくらい重要なのです。

生後六か月から生後一歳半くらいまでが、愛着形成にとって、もっとも重要な時期とされます。

愛着のパターン・スタイル

愛着のパターンには、以下の4つがあります。

  • 安定型 B型 60% 健常な発達
  • 回避型 A型 15% 時に不適応
  • アンビバレント型 C型 10% 分離不安や不登校
  • 無秩序型 D型 10−15% 愛着障害

これらのパターンを調べる際によく用いられるのが「新奇場面法」と呼ばれる手法で、子供と母親を一定時間引き離し、再開させるという場面設定をします。母親が子供を部屋に置き去りにして、しばらくしてからその部屋に母親が戻ります。その時の子供の反応を観察することで愛着のパターンを分類します。

上記4つのうち、安定型以外の三つは不安定型と呼ばれます。以下でそれぞれの特徴を紹介します。

安定型愛着パターン

安定型愛着パターンは、母親が現れると素直に喜び、母親に抱かれようとします。母親から離されると不安を示したり、泣いたりしますが、過剰とまではいかない程度です。

子供のうち60%がこの愛着パターンを示し、健常な発達とみなされます。

回避型愛着パターン

回避型愛着パターンは、母親と離されてもほぼ無反応で、再開しても目を合わせなかったり、自分から抱かれようとしないのが特徴です。ストレスを感じても愛着行動を起こさないタイプだと言うことができ、15%程度がこの愛着パターンを示します。

幼いころから児童養護施設で育った子供や、親があまり世話をせずに放任している場合に見られます。回避型愛着パターンの子供は、成長するにつれて反抗的な態度をとったり攻撃性が問題になることが多いです。

アンビバレント型愛着パターン

アンビバレントとは「二律背反」の意で、母親から離されると強い不安を示し、激しく泣いたりするのに、母親と再開すると抱かれるのを拒んだり抵抗したりします。しかし、一度くっつくと今度はなかなか離れようとしないなど、愛着行動が過剰に引き起こされる愛着パターンです。子供のうち10%がこの愛着パターンを示します。

親の子供への関心にムラがあったり、過干渉な親の場合にこのような愛着パターンを示すことが多いとされています。成長すると不安障害や不登校につながることが多いのが特徴です。

無秩序型愛着パターン

無秩序型愛着パターンは、回避型とアンビバレント型が入り混じったような、一貫性のない無秩序な行動パターンを示します。母親と再開しても全くの無反応だったり、激しく泣いたり暴れたりします。その他、母親に対して怯えるような反応を見せたり、母親を急に叩いたりすることもあります。子供の10~15%がこの愛着パターンを示すとされます。

虐待を受けている子や精神状態がひどく不安定な親の子供に見られやすい愛着パターンです。親の行動が予測不能であるために、子供の行動を無秩序なものにしていると考えられます。

無秩序型愛着パターンの子供は、境界性パーソナリティ障害になるリスクが高いとされています。

また、上記のようなパターン分け以外にも、下図のようにLeve1からLevel5に分類する方法もあります。

愛着の型と愛着障害との関係を示す図

愛着の障害には図のようにスペクトラム性(連続性)があるので、愛着障害グレーゾーンの概念もあります。

愛着スタイルとは、他者とコミュニケーションを行い、相手から助けを得ようとしようとしたりする行動だけでなく、自分が助けを求めたときに、相手がどう反応するかについて、どんな期待をもち、どれだけそれを当てにしているかという心理的な面にも関係しています。

その人の愛着スタイルというのは、親との関係を出発点として、長い年月をかけて培われていきます。よく抱っこされた子は、甘えん坊で、一見弱々しく見えますが、結局、強く、たくましい大人に育っていきます。

大人の愛着障害とは?

愛着の障害は、発達障害、うつや不安障害、アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存症、境界性パーソナリティ障害や過食症といった現代社会の病患とも言うべき精神的な問題に関係しているだけでなく、離婚や家庭の崩壊、虐待や子育ての問題、未婚化や社会へ出ることへの拒否、非行や犯罪といったさまざまな問題の原因として注目されています。

特に、大人の発達障害の問題の背景には、子どもの時の愛着の問題が関係しています。

医学的な診断としては、アメリカ精神医学会の診断基準『DSM-5』の「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」が挙げられますが、その定義と診断基準に当てはまり医療機関で診断までされる大人の方は少ないです。

診断基準に当てはまらない程度の大人の愛着障害のある方は、発達障害グレーゾーンと診断されたり、適応障害と診断されたりすることが多いです。

愛着障害の分類

『DSM-5』での診断名としては、反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害)と、脱抑制性対人交流障害の2つがあります。いずれもネグレクト、虐待や養育者の頻繁な変更があったかなど、愛着(アタッチメント)形成が極端に制限される状況にあったか、養育の極端な様式を経験しているかどうかが診断基準になっています。

小児期を中心にした疾患概念ですが、発達過程において愛着(アタッチメント)が通常形成される9ヶ月頃より前には診断されません。

反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害、英: Reactive attachment disorder ; RAD)

反応性愛着障害のある子どもは、人に頼ることが苦手です。つらいことがあっても周囲の大人にうまく頼れません。

そのまま大人になった場合は、人に相談できず、自分だけで抱え込んでしまうという事が起こります。

この対人関係やコミュニケーション障害の症状はしばしば自閉症スペクトラム(ASD)のある子どもにも見られる症状のため自閉症スペクトラム(ASD)と鑑別が必要となります。

脱抑制性型対人交流障害

ICD-10では「脱抑制性愛着障害」という名称で呼ばれています。逆に、脱抑制性愛着障害のある子どもは、初対面の人にも人見知りせずにべったり抱きつくなど、過度になれなれしい言動に出ることもあります。そのまま大人になった場合は、周りの人を信用出来ないので、利用しようとすることもあります。あるいは過度に人に依存することもあります。

症状はADHDと間違われやすい症状で、鑑別が必要です。

愛着障害のある子どもの特徴・症状

反応性愛着障害のある人は、人に頼ることが苦手です。相手の目を気にしすぎて、本音でコミュニケーションをしづらいという事が起こります。

逆に、脱抑制性愛着障害のある人は、初対面の人にも人見知りせずにべったり抱きつくなど、人に依存するなどの症状があります。

つまり、愛着障害のある人は、人との人間関係の構築の仕方が、頼れないか、誰彼かまわず頼ってしまうかの両極端になってしまう特徴があるといえます。一見、正反対に見える特性ですが、原因は共通しています。以下のような症状が出ることがあります。

  • 落ち込んだり、イライラしやすくなる
  • 不眠・食欲不振
  • 痩せている、身長が小さい
  • 多動、片づけられない、危険な行動に出る、モノに執着する
  • リストカットなど自傷行為
  • 周りの反応を試すような行動をする
  • 嘘をつきやすい、虚言癖
  • 自己評価が低い(ネガティブ思考)

愛着障害の人の困りごと

愛着障害グレーゾーンの方は発達障害の特性が背景にあることも多いです。発達障害の特性も診断されるレベルからグレーゾーンのレベルまで様々です。

  • コミュニケーション障害
  • 感情のコントロールが苦手
  • ネガティブ思考がある
  • 「全か無か」思考、完璧思考
  • 人に気ばかり遣ってしまう
  • 自分をさらけ出すことに臆病になってしまう
  • 人と交わることを心から楽しめない
  • 本心を抑えてでも、相手に合わしてしまう
  • いつも醒めていて、何事にも本気になれない
  • 拒否されたり傷つくことに敏感になってしまう

愛着障害の原因

イスラエルの農場キブツで起きた子育ての失敗

かつて、イスラエルの集団農場キブツで進歩的で合理的な考えの人たちが、子育てをもっと効率よく行う方法がないかを考えました。

その結果、一人の母親が一人の子どもの面倒を見るのは、効率が悪いという結論に達しました。

複数の親が、時間を分担して、それぞれの子どもに公平に育児すれば、効率が良いうえに、親に依存しない、自立した、もっと素晴らしい子どもが育つに違いないと考えました。

ところが、何十年も経ってから、複数の親が分担して育児した、子どもたちには重大な欠陥が生じやすいことが分かりました。

彼らは親密な関係をもつことに消極的になったり、対人関係が不安定になりやすかったのです。

さらにその子ども、つまり孫の世代になると、周囲に無関心で、何事にも無気力な傾向が目立ち、より状況は悪化していきました。

ある研究では、二歳の時点で親から十分なサポートを得られた人では、青年期に恋人に気軽に頼ることができる傾向を認めます。

逆に、二歳の時点で親からの支えが乏しかった子どもでは、恋人にうまく甘えられなかったり、過度に依存してしまうという事が起こります。

愛着は母子相互作用として考えることができ、愛着障害は関係性の障害です。親の育て方が合わない、つまり、相性の問題として捉えられます。

実際、同じ親が同じ育て方で育てた兄弟の一方でだけ、愛着の問題が起こることもあります。

母子家庭と愛着障害

DVから逃れて子どもを連れてシングルマザーになった場合、しばしば離婚することに手一杯で、子どもの面倒が見れず、愛着の形成に支障をきたします。

父子家庭と愛着障害

父親の長時間労働、家事を担う人がいなければネグレクトが生じます。
親に見切りをつけ、早い自立を企図する子どもは、緊張と攻撃性を内在した青年、成人に育つことが多いです。

愛着障害の診断・治療

愛着障害、解離症状、フラッシュバックへの対応が必要な症例が多いです。また、愛着障害の背景に、発達障害が合併していることも少なくありません。

正確な診断のためには、医師の主観ではなく、客観的なデータでしっかり診断することが重要です。

人工知能(AI)を用いて、ディープラーニング(深層学習)することで、様々な脳の状態を統計学的に把握することが出来るようになりました。QEEG検査の結果に即した、結果に応じて、薬を使わない治療など個人に合った治療を提案する事も可能です。

客観的指標のない精神科領域において、欧米では非常に需要のある検査法です。

愛着障害と恋愛・結婚

愛着障害のまま大人になると人のことが信じられず、素直に愛情表現ができないため、恋愛と結婚に大きな障害となってしまいます。また、周囲とうまくコミュニケーション出来ないことが多く、孤立してしまいがちです。

恋愛状態になると過剰に甘えすぎて、相手に負担に思われるか、もしくは距離を置きすぎて破綻することが多いです。

愛着障害の人は、たくさんの人と仲良くしたいと思うものの、だんだん親しくなるとそのことがストレスになってしまいます。

しかし、こういった愛着障害の特性を克服して、幸せな恋愛、結婚をしている人もたくさんいます。

もしあなたのパートナーが愛着障害だとわかったら、悩み事をうまく聞き出して寄り添ってあげることが一番大切なのではないかと思います。



医師の主観ではなく、客観的なデータで診断
脳の状態を診断するQEEG検査(定量的脳波検査)

  • 治療前と治療後のQEEG検査結果の変化


    人工知能(AI)を用いて、ディープラーニング(深層学習)することで、様々な脳の状態を統計学的に把握することが出来るようになりました。
    5歳から高齢者(大人)まで幅広い年齢層の方に対してQEEG検査の結果に即した、結果に応じて、薬を使わない治療など個人に合った治療を提案する事も可能です。
    客観的指標のない精神科領域において、欧米では非常に需要のある検査法です。

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