ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)とはどんな薬なのか?

ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)には不注意、多動性、衝動性などのADHD(注意欠陥多動性障害)の症状を改善するための薬です。
現在、日本でADHDの治療に承認されている薬は、リタリン、ストラテラ、コンサータ、2017年に新たに承認されたインチュニブの4つとなります。
どの薬も医師からの処方されるもので、薬局などでは買うことはできません。
ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)は2003年にアメリカで発売開始され、海外でも広く使用されています。
日本では2009年に18歳未満の子供への使用、2012年には18歳以上の成人への使用が承認され、幅広い年齢の人への処方が可能です。
ですが6歳未満の子供への使用は安全性、有効性が確立されておりません。
ストラテラはアトモキセチン塩酸塩という成分の薬で、脳の前頭前野部分に多く存在している神経伝達物質(ノルアドレナリン)を活性化させる働きを持ちます。
脳の前頭前野部分は、順序立てた行動や、行動をコントロールする役割を持ち、ADHDの場合、この部分に何かしらの不具合によるものだと推測されています。
ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)はドーパミンの代謝もコントロールすることにより症状を改善させると推測されています。

□ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)はどういった場合に処方されるの?

ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)は医師の指導のもと、本人の症状にあった適正量が処方されます。
改善したと自分で判断し飲むのをやめる、飲む量を変えることはせず、医師の指示どおりに飲み続けることが大切となります。
アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)に記載されているADHD(注意欠陥多動性障害)の診断基準において、ADHD(注意欠陥多動性障害)が重度と判断された場合に、治療初期から薬物療法を検討することが推奨されています。
また重度ではなくとも、環境などの調整、薬物療法以外の治療を継続してもADHD(注意欠陥多動性障害)の症状が改善されず、日常生活に障害が生じている場合にも薬物療法が検討することがあります。
しかし、ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状や日常生活での困りごとは個人差が非常に大きいことから、医師と相談することが重要となります。

ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)の用法・用量

ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)は飲み薬で、カプセルと液体のどちらかが処方されます。カプセルは5mg、10mg、25mg、40mgの4種類あり、医師が処方した用量に組み合わせることが可能です。
カプセル内の物質は刺激物であるためカプセルを分解することは禁止とされております。
しかし、まだカプセルが飲めない子どもや、カプセルが飲みにくい人には、液体薬剤(内用液)0.4%も選べます。
子供も成人も少量からの服用から治療を始めます。どのように処方されるかは、医師の診断により判断します。
ストラテラの効果を感じるには時間がかかります。
ストラテラは時間がかかるタイプになりますので、毎日飲み続けることにより効果があらわれる薬となりますので、ADHD症状を改善するためには時間が必要となります。
2週間程度服用をしたのち効果を判定します。

ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)の副作用

ADHD(注意欠陥多動性障害)への効果が報告されている一方、ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)には副作用があることも分かっています。
特に気をつけなければいけない副作用は、重大な副作用の肝機能障害、黄疸、肝不全、アナフィラキシーです
非常にまれなものではありますが、どのくらいの頻度で起こるかは不明であり、服用する場合には念のため注意する必要があります。
服用後以下の自覚症状が出た場合はすぐに服用を中止して、医師もしくは薬剤師に相談してください。
  • 肝機能障害:からだがだるい、吐き気、嘔吐、食欲不振、かゆみ
  • 黄疸:白目が黄色くなる、皮膚が黄色くなる、尿が褐色になる
  • 肝不全:吐き気、嘔吐、食欲不振、羽ばたくような手のふるえ
  • アナフィラキシー:からだがだるい、ふらつき、意識の低下、考えがまとまらない、ほてり、眼と口唇のまわりのはれ、しゃがれ声、息苦しい、息切れ、動悸、じんましん、判断力の低下
  • その他のストラテラを服用すると起きやすい副作用
    子供を対象に行われたストラテラの副作用を確かめる試験では、頭痛(22.3%)、食欲減退(食欲がなくなる)(18.3%)、傾眠(眠気でうとうとしてしまう)(14.0%)、腹痛(12.2%)、悪心(吐き気)(9.7%)の副作用が報告されています。
    また、成人を対象にして行われた試験で報告された副作用は、悪心(吐き気)(46.9%)、食欲減退(食欲がなくなる)(20.9%)、傾眠(眠気でうとうとしてしまう) (16.6%)、口渇(口の渇き)(13.8%)、頭痛(10.5%)が報告されています。
    上記のような症状が出た場合、すぐ医師に相談することが必要です。

    ストラテラの値段

    ストラテラの薬価(値段)は厚生労働省が定めています。
    決められた薬価に基づき医療機関で診療報酬を計算します。
    現在、ストラテラと同じ効果をもつ後発医薬品(ジェネリック薬)は承認されておらず、治療をすすめていく上で用量が増量される場合には、経済的負担も大きくなることが考えられます。
    先発薬の薬価
  • ストラテラカプセル  5mg1カプセル : 272.50円
  • ストラテラカプセル 10mg1カプセル : 324.70円  
  • ストラテラカプセル 25mg1カプセル : 409.50円
  • ストラテラカプセル 40mg1カプセル : 461.20円
  • ストラテラ内用液 0.4%1mL : 209.20円
  • ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)の効果

    薬物療法ではADHD(注意欠陥多動性障害)を治すものではありません。
    早い段階での服用が将来の症状を軽くするものでもありません。
    薬を服用し、ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状が改善できれば、日常生活での困りごとが少なくなります。
    結果として、これまで本人が困りごとへの対処法を身につける機会が増え、新しいことを学びやすくなります。
    ADHD(注意欠陥多動性障害)のある人は、日常生活でさまざま困難から叱られることも多く、「自分はだめだ」と自分自身を否定しやすいです。
    ADHD(注意欠陥多動性障害)症状が改善することにより、スキルを身につけ、困りごとが減らせれば、本人にも自信がつき自尊心を高めることにもつながることも期待ができます。
    薬物療法と同時に、環境の調整、ペアレントトレーニング、ソーシャルスキルトレーニングなどの薬物療法以外への取り組みも、ADHD(注意欠陥多動性障害)の治療には非常に大切です。
    根本的な治療としては、TMS(経頭蓋磁気刺激)治療が世界的には有効と言われています。
    発達障害に対する最新のTMS治療がなぜ効果があるのか?【医師が分かりやすく解説】

    まとめ

    薬物療法を開始するにあたり、副作用への心配から不安が大きくなることもあります。
    そんなときは、不安をひとりで抱えずに医療機関に相談することを考えてみてください。
    薬について正しく知ることで不安が解消されるかもしれません。