大人・子どもの発達障害
発達障害とは、遺伝的なものや生まれた時の環境、感染症などの原因により、生まれつき脳機能の一部の発達に偏りがみられる障害です。
幼児のころから症状が現れ始め、落ち着きがない、集中力がない、不得意な部分に気づくなど様々で、成長するにつれて生きにくさを感じるようになります。
発達障害の種類としては、ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、チック障害、吃音症があり、それぞれの診断基準に基づいて判断されます。
近年では、仕事をしていく上で発覚する、大人の発達障害も増えています。
パニック障害
パニック障害とは、きっかけもなく強い不安とともに、動機や発汗、めまい、吐き気、手足の震えといった症状が起きる不安症の一つです。
多くは30分以内に、長くても1時間以内にパニックの発作は収まります。原因については、病気やケガなどではなく、先天的な体質が起因となるといわれています。
パニック障害と診断された場合、薬による治療が一般的で、心身治療と合わせてストレスを減らしていきます。
しっかり治療をしていけば、パニック障害はほとんどの方が完治させることができます。
PTSD
PTSDとは、心的外傷後ストレス障害の略語です。
交通事故や火災などの生死にかかわるような体験や、戦争や犯罪被害などの極度のストレス状況に置かれたあとに、強い精神的ストレスがトラウマとなって、時間が経ってから発症する病気です。
家庭内で起こりうる、DV(家庭内暴力)や虐待などによっても起こりえます。
PTSDの症状としては、突然つらい体験がフラッシュバックし、めまいや頭痛、不眠といった症状を引き起こします。
暴力など一度のトラウマ体験が原因のものを単純性PTSD、いじめなどの長期間のトラウマ体験が原因のものを複雑性PTSDといいます。
うつ
うつ病とは、日常生活の中で眠れなかったり、長期間ストレスを感じていて憂鬱になっていたり、食欲がない、疲れやすいなどの症状が現れる気分障害です。
しかし、嫌な思いをして気分が落ち込んだり、やる気が出なくなったりするのは、誰もが感じる一般的な感情の変化です。うつ病の特徴としては、その変化が長期間ほぼ毎日続き、仕事や日常生活に影響を及ぼすようになってしまうということです。
うつ病の症状は、顔つきや顔の表情の変化だけでは判断できませんので、うつ病かもと感じたら放置せずに診断を受けてください。治し方としては、十分な休養と薬やカウンセリング療法などの治療法が効果的です。
双極性障害(躁うつ病)
双極性障害(躁うつ病)とは、うつ病と同じ気分障害の一つで、気分が高揚している「躁」の状態と、憂鬱で無気力な「鬱」の状態を繰り返す精神疾患です。
双極性障害(躁うつ病)の原因は、遺伝的な体質によるものだとされ、うつ病で受診された患者様が双極性障害と診断されるケースがほとんどです。
躁うつ病は、薬による治療や精神療法など治療法は整っていますが、再発の可能性が高いため、長期的な予防を心掛ける必要があります。
パーソナリティー障害
パーソナリティー障害(人格障害)とは、自己愛性パーソナリティー障害や境界性パーソナリティー障害、反社会性パーソナリティー障害など、特徴によって種類が分かれていて、考え方や反応の仕方、行動が周りの人とは著しく異なり、日常生活に影響を及ぼす精神疾患です。
パーソナリティー障害と診断される原因は、生まれつき症状を持っている遺伝的な要因や、事故や災害などによる社会的要因、生活環境などの成長過程による経験が絡んで起きるとされています。
また、原因の一つとして発達障害など他の精神障害も合併していて、周りの人と良好な人間関係を築くことができていないという可能性もあり、それぞれの治療が必要です。
感覚過敏
感覚過敏とは、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五感のいずれかが、とても敏感になっていて、外部からの刺激を過剰に感じてしまう状態をいいます。
五感以外にも温度や電磁波など様々な感覚過敏があり、発達障害のある人は感覚過敏であることが多いとされています。
感覚過敏の原因は、ストレスや身体異常によるものなど症状によって様々で、発達障害ではない方でも起こりうる精神疾患です。
摂食障害
摂食障害とは、いわゆる過食症や拒食症と呼ばれる食行動における精神障害です。
摂食障害でお菓子しか食べない状況が続いたり、食べた後に嘔吐をしたり、下剤を用いることで体重が増えるのを防ごうとします。
そのため、食べ過ぎてしまう過食症に至っても、食べた分より排出する方が多いため、体重が減っていきます。
摂食行動はストレスからくるものが多いため、治し方としては薬物療法やカウンセリングと、治る過程の中に周囲のサポートというのも大切になってきます。
受験生外来
未成年のうつ病として、受験のストレスにより本人も気づかないうちに、受験うつを発症しているケースが近年多くみられます。
失敗を恐れ、受験に過度なプレッシャーを感じ、勉強に対する焦りや、先の見えない不安などが緊張状態を生み出し、受験うつへとつながります。
治し方はうつ病と同じですので、早期診断・早期治療により、症状を克服していくことが大切になってきます。
過眠・ナルコレプシー
過眠・ナルコレプシーとは、日中に強い眠気を感じて、場所に関係なく短時間の居眠りを繰り返してしまう睡眠障害です。
過眠・ナルコレプシーの原因は、人が起きている状態を維持するための神経細胞であるオレキシンが、何らかの理由で消滅することによって睡眠障害となり、いわゆる過眠症を引き起こします。
過眠・ナルコレプシーは、眠りにつく際に、よく夢や幻覚を見たり、金縛りにあったりするという特徴があります。
ナルコレプシーとは異なり、居眠りを1時間以上続けてしまい、眠気が持続してしまうものは特発性過眠症といいます。
過眠・ナルコレプシーと診断を受けたら、薬による治療が一般的です。
月経前症候群(PMS)月経前不快気分障害(PMDD)
月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)とは、月経(生理)期間が始まる前の時期に、心と体に起こる様々な不快症状のことです。
月経(生理)の約1週間前からイライラや睡眠障害、倦怠感、吐き気などの症状が起こり、月経(生理)が始まると同時にその不快感は軽くなったり、解消されたりします。
月経前症候群(PMS)の中でも、感情の不安定さが強く出てしまう症状を、月経前不快気分障害(PMDD)といいます。
自傷行為(リストカットなど)
自傷行為とは、リストカットやタバコを自分の身体に押し付ける行為、過剰に薬を飲む(オーバードーズ)など、自らを死に至らない程度に傷つける行為です。
傷口を爪でひっかく行為や壁を叩き続けるなど、自傷行為は種類も多く、習慣化し何度も繰り返してしまうので、徐々に傷跡が広範囲になってしまいます。
本人が問題のある行動だと考えない場合があり、発見しづらいため、周りの人からの情報が頼りになります。
自傷行為を行ってしまう理由は、ストレスや現実逃避など多岐にわたり、嫌な感情を軽減させるために行ったり、自己嫌悪から行われたりします。
解離性障害と転換性障害
解離性障害とは、ストレスにより一時的に意識が飛んでしまう障害です。
急に言葉を話すことができなくなったり、過去の記憶を失ってしまったり、自分を第三者として眺めている感覚になったりと、症状により分類されます。
多重人格障害(解離性同一性障害)も解離性障害の1つです。
転換性障害とは、解離性障害と同様にストレスが原因で症状が現れますが、一時的に歩けなくなる運動障害や、麻痺やしびれを伴う感覚障害の症状として現れます。
解離性障害と転換性障害を合わせて、ヒステリーと呼ばれたりします。
愛着障害
愛着障害とは、幼児期に親などの養育者との間に築かれる絆や結びつきが、何らかの理由で育まれなかったことで愛着形成が上手くいかず、寂しい思いや苦しい思いをしたことにより、子供の対人関係などに影響を及ぼしている状態です。
愛着障害は、5歳以前に発症するといわれ、診断基準にもなっているため、大人になってから診断されることはありません。
しかし、大人になってから、自分は愛着障害だったのではないかと気づく人も増えており、幼少期とは症状も治療法も異なります。大人の愛着障害は、職場での良好な人間関係の確立などが克服の手助けとなります。
引きこもり・不登校
引きこもりとは、6ヶ月以上にわたって、家族以外の人と交流がない人の状況と厚生労働省は定義しています。
また、引きこもりをしている人の大半に、発達障害やパーソナリティー障害が見られ、障害の特性を見極めて支援・改善していく必要があります。
不登校とは、小学生や中学生、高校生が病気やケガなどの特別な事情がないのに、30日以上欠席した生徒と定義されています。
不登校の原因には、発達障害や不安障害など、精神障害が引き金となっているケースも多々あります。
認知症・認知症予防
認知症とは、何らかの病気や原因が引き金となり、脳の神経細胞が破壊・減少し、被害妄想などの記憶障害や徘徊などの異常行動などを起こして、日常生活に支障をきたす症状です。
認知症はいくつか種類がありますが、一般的なもの忘れとは症状が異なります。
老化によるもの忘れは、体験したことの一部を忘れるのに対し、認知症は、体験したことのすべてを忘れてしまいます。
認知症は初期症状の段階で早期に検査を受けていただき、本格的に進行する前に、脳の神経細胞を破壊・減少させている根本の病気を治療・予防をすることが大切です。
HSP・HSC
HSPとは、病気や障がいとは診断されない、生まれ持った性格や気質の一つで、(Highly Sensitive Person:ハイリーセンシティブパーソン)の頭文字から取った略語です。
子どものHSPをHSC(Highly Sensitive Child:ハイリーセンシティブチャイルド)といいます。
世界人口の5人に1人はHSP(HSC)だとされ、最近では有名人や芸能人がHSPだと公言し話題となりました。
HSP(HSC)は、感受性が非常に高く、ささいな刺激や変化でも敏感に感じ取ることができるので、過度に痛みや不快感を覚えてしまいます。また、共感力の強さから、周りの人の感情に同調しすぎてしまい、心が傷つきやすいといった特徴を持ちます。
仕事や生活をしていく上で、特徴である繊細さや感受性の高さが影響し、疲れやすくストレスをため込むようになって、うつ病などを合併する恐れがあります。
HSP(HSC)の中には、同じ特徴を持ちながらも、人一倍好奇心が強く、外部に刺激を求めるHSS(Highly Sensation Seeking:ハイセンセーションシーキング)型というタイプもあります。