
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の検査はどのようなものがあるのか?最新の検査について【医師が分かりやすく解説】
目次

もしかしたら自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)かもしれないと思うことはあると思います。自身の症状に気づき、早期に医療機関で検査をすることが、適切な支援や早期の治療につながります。
専門医療機関での検査
医療機関では、専門の医師の問診と様々な検査により、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)であるかどうか診断されます。
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)は、一見すると「変わった人」くらいの認識で周囲から見られているだけで、必ずしも子供の時に診断されることばかりではありません。
成人になってから自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)を診断する上で、子供の時の状況や家族歴、家庭環境などは重要な情報です。
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)に対するQEEG検査(定量的脳波検査)
脳波はデジタル脳波の時代になりました。また、コンピューターを用いて様々な脳の状態を定量的に把握することが出来るようになりました。
発達障害特性、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)特性、不安特性、うつ特性などを診断することが出来ます。
客観的指標のない精神科領域において、欧米では非常に需要のある検査法です。
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)に対するに対するQEEG検査(定量的脳波検査)の最新の研究
2017年ブルガリアのヴァルナの大学のRaya Dimitrova氏は発達障害患者と健常人の定量的脳波検査のデータを比較し、δ(デルタ)波、θ(シータ)波、β(ベータ)波に明らかな違いがあることを発表しました。
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)患者では特にδ(デルタ)波、θ(シータ)波が増加しています。
知能が正常な高機能のアスペルガー症候群患者(ASD high)ではβ(ベータ)波の増加は穏やかで、知能が低下している低機能自閉症患者(ASD low)では著名なβ(ベータ)波の増加が見られました。
目で見て分かる自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)に対するに対するQEEG検査(定量的脳波検査)
こちらは脳波の値を周波数ごと絶対値で表した”ブレインマップ(brain map)“と呼ばれるものです。
左側が健常人、右側が自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の患者さんのブレインマップを示しています。
δ(デルタdelta)波の違いが顕著に見られます。
こちらは脳波の値を周波数ごと相対値で表した”ブレインマップ(brain map)“です。
左側が健常人、右側が自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の患者さんのブレインマップを示しています。
相対値においては、α(アルファalpha)波に違いが顕著に見られます。
(Neuropsychology. 2007 Jan;21(1):74-81.)
まとめ
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の症状が出て困っているのに、何の検査もしないまま過ごすのは、本人や家族にとって良くありません。悩んでいるより医療機関を受信するなど行動することで不安の解消になりますし、ブレインマップを利用したオーダーメイドの治療も可能です。
15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併

21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併

22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併

8歳女性 学習障害、ADHD合併

技術の進歩により、治療前と治療後のQEEGの変化を客観的に評価することも可能になりました。
QEEG検査で脳の状態を可視化し、結果に応じて、薬を使わない治療など個人に合った治療を提案します。