ADHDに向いている仕事・向いていない仕事と仕事上の工夫

ADHDに向いている仕事・向いていない仕事と仕事上の工夫

大人のADHDにお悩みの方は、自分に向いている仕事がないと思ってしまうこともあるでしょう。今回は、大人のADHDの方に向いている仕事と向いていない仕事をご紹介します。

ADHDとは

ADHDの改善割合のグラフ

ADHD(注意欠陥多動性障害)は発達障害のひとつで、子どもの20人に1人程度に見られます。ADHDが完全に治るということはありませんが、大人になるにつれて症状が目立たなくなり、ADHDの確定診断を受けることのない人もいます。

大人になるにつれてADHDの症状自体は落ち着いてきますが、生活に困難を感じないまで改善する割合は10%程度です。大人になってもADHDによる困りごとは続くため、「治す」よりも「向き合う」という意識が大切になります。

ADHD(注意欠陥多動性障害)について

ADHDの3つの特徴と仕事での症状

ADHDは大きく「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特徴が見られる障害です。人によってどの特徴が強く見られるかは異なり、

  • 不注意優勢型
  • 多動・衝動性優勢型
  • 混合型

に分けられます。

このうち、不注意優勢型は症状が目立ちにくいため子供の頃に見過ごされやすく、結果的に社会に出て仕事をするようになってから問題が表面化することが多いです。

以下でそれぞれの特徴と仕事上の症状を見てみましょう。

不注意

不注意で忘れ物をする女性

忘れ物やケアレスミスが目立ち、確認作業が苦手な傾向にあります。

子どもの頃からよく忘れ物や失くしものをして怒られた経験のある方が多いです。

また、物事に熱中してしまって時間を忘れてしまうのも不注意傾向によるものです。

【仕事上の不注意の症状】

  • 忘れ物が多い(名刺、資料など)
  • 紛失物が多い(会議資料の紛失、業務端末をトイレに置き忘れるなど)
  • 業務の優先順位がつけられない
  • マルチタスクができない
  • 遅刻が多い
  • 会議中に寝てしまったり、別のことをしてしまう
  • デスクがいつも散らかっている(整理整頓ができない)
  • ひとつのことに集中しすぎて、締切に間に合わない

多動性

会社で立ち歩く男性

貧乏ゆすりが止められなかったり、業務時間中にも関わらずおしゃべりを続けてしまう傾向にあります。

こどもの頃から机に向かって座っていることが苦手で、教室を立ち歩いたりして怒られた経験のある方が多いです。

【仕事上の多動性の症状】

  • デスクに向かって座っていられない
  • 落ち着きがない
  • おしゃべり、声が大きい
  • 順番待ちができない(タクシー、電車、渋滞が苦手)

衝動性

言い争いをする男性

思いついたらすぐに行動に移したり言葉にしてしまう傾向にあります。

やらなくてはいけないことがあるのに他のことに夢中になってしまったり、思ったことをそのまま口にしてトラブルになることが多いです。

【仕事上の衝動性の症状】

  • 上司の許可を得ずに勝手に思ったとおりに進めてしまう
  • 思ったことをそのまま話してしまい、相手に誤解される
  • デリカシーのない発言をしてひんしゅくを買う

ADHDの強み

ネガティブなイメージを持たれやすいADHDですが、他の人にはない強みを持っているともいえます。特徴的な強みとして、以下の3つが挙げられます。

圧倒的な行動力

ADHDは多動性や衝動性が強く、「思い立ったら即行動」タイプの人が多いです。

熟慮せずに行動に移してしまうのは少々難点ですが、変化の早い現代社会において行動力のある人材は非常に重宝されます。

定型発達の方で、いざというときに行動力がなくてチャンスを逃す人はたくさんいます。ADHDの人がアクセルとなり、適切にブレーキを踏んでコントロールできる人がいれば、チャンスを逃さずに様々な事業機会に恵まれることがあるのです。

即断即決

ADHDの人はあまり悩んだりすることがなく、すぐに決めて実行に移します。スピード感のある判断をしなくてはいけない環境では重宝されることがあります。

自由な発想

ADHDの人はひとつの考え方にとらわれず、常にいろいろなものに興味を持っています。そのため、会議が行き詰まってしまったときに新しい角度からのアイデアを出すことがあります。中には突拍子もないアイデアを出すこともありますが、参加者の凝り固まった思考を解くことができます。

ADHDの弱み

ADHDはその特性ゆえ、他の人に比べて苦手なこともあります。

ケアレスミスが多い

確認作業が非常に苦手な傾向にあり、計算ミスや印刷ミス、誤字脱字などは改善しようと思っても難しいことがあります。また、連絡ミスなども多いため、確認作業をひとりで任せるのは極力避けたほうが良いでしょう。

マルチタスクができない

ADHDは時間管理や優先順位付けができず、マルチタスクが苦手です。一度に複数の仕事を抱えてしまうと何から手をつけていいか分からず混乱してしまいます。

やることを明確化して、ひとつ終えたら次の仕事の指示を出すといった形で誰かがコントロールすることが望ましいです。

思ったことをそのまま発言してしまう

ADHDは衝動的な行動や発言が目立つため、思ったことを口に出してしまいトラブルになることがあります。

例えば営業に伺った相手先で「わかりにくい場所にある会社ですね」といったような失礼にも取られるようなことを口走ってしまうことがあります。

ひとりで営業先をまわる業務を担当することなどはリスクがあるでしょう。

ADHDの人に合った職業を見分けるために意識するポイント

ADHDの方が自分に合った職業を選ぶためには、自分の症状をしっかりと把握し、どの特性が強く出るのかを理解した上で、苦手な仕事を避けることです。

不注意傾向が強い場合は正確性が求められない仕事を選ぶ

不注意傾向が強い場合、ひとつのミスが大きな損失につながるような仕事は選ばないようにしましょう。細かな事務仕事や確認作業が中心だと、どんなに頑張っても他の人よりミスが多くなり、個性を活かしにくいです。

また、運転業務も基本的には避けたほうがいいでしょう。ひとつのミスが人命に関わります。電車、バス、航空機などの運転手や操縦士は避けましょう。

反対に、不注意は色々なことに目が向くという点で、その発想力や独創性を活かし、積極的なチャレンジが評価されるような仕事だと才能を発揮する事が可能です。

多動・衝動性傾向が強い場合はデスクワーク中心ではない仕事を選ぶ

多動・衝動性が強い場合、デスクワークでとにかく座って作業をする環境だと苦痛で仕方ないと感じてしまいます。ある程度外回りなどの機会があり、ルーティンワークというよりは日々やる仕事が違うと楽しさを感じながら仕事ができるはずです。

また、就労時間や業務内容に縛られることも好まないため、時間に融通の効くフレックス制やフリーランスといった働き方だとストレスを感じずに仕事ができるかもしれません。

ADHDに向いている仕事

ADHDの方は、自分の強みを活かせる仕事に就くと力を発揮することができます。

  • 興味のある物事への集中力の高さ
  • 自由な発想が重宝される
  • 仕事の手順がだいたい決まっている(臨機応変さが不要)

こういった特徴や強みを活かせる環境だと才能を発揮できるでしょう。

興味のある物事への集中力の高さを活かせる仕事

ADHDに向いている研究者

ひとつのことに集中して取り組むことが大きな価値を生み出すような仕事では能力を発揮しやすく、活躍しやすいです。

  • 学者
  • 研究者
  • 作家
  • ジャーナリスト
  • 記者
  • 本の校正
  • 図書館司書 など

自由な発想が重宝される仕事

ADHDに向いている画家

まだ世の中には存在しないようなアイデアを形にすることが価値につながる、アーティスト系の仕事では大きな成果を発揮する可能性が高いです。

  • 工芸家
  • 画家
  • ものづくり職人
  • イラストレーター
  • CGアニメーター
  • カメラマン
  • デザイナー
  • アーティスト
  • 漫画家
  • スポーツ選手 など

仕事の手順がだいたい決まっている仕事

ADHDに向いている農家

マルチタスクにならず、順序どおりに進めていけば結果につながる仕事だとミスが少なく、活躍できる可能性が高いです。

  • 歯科技工士
  • 調理師
  • エンジニア
  • プログラマー
  • 農家
  • 電気技師
  • 調律師 など

ADHDに向いていない仕事

ADHDの方に向いていない仕事のキーワードは「臨機応変」「対人スキル」「マルチタスク」です。

いろいろなことに都度対処しなくてはいけないような仕事は、混乱してしまい何もできなくなってしまうことがあります。また、対人スキルを必要とする仕事は衝動的に思ったことを口にしてしまうADHDには向いていません。

さらに、いろいろなタスクを同時並行で進めなくてはいけない仕事も優先順位がつけられず、締切に間に合わなかったりすることがあります。

向いていない仕事の例として、以下のような仕事が挙げられます。

  • 飲食業
  • 銀行などの金融関係
  • 接客業
  • サービス業
  • 旅行関係
  • 人事 など

こうした仕事は他の人に比べて苦手とすることが多いため、避けたほうが良いです。

ADHDが仕事で意識すべきこと

ADHDの方は、仕事の中でどうしても苦手とする業務が発生します。そのため、以下のような心がけが重要です。

自分がミスをする前提で動く

どんなに注意してもケアレスミスや忘れ物をしてしまうのがADHDです。

自分の意識だけではどうにもならないため、ミスをする前提で以下のような対策をしましょう。

  • チェックリストを作成する
  • 必ず上司や同僚に確認してもらう
  • そもそも確認作業を担当しない

ケアレスミスや忘れ物は、チェックリストを作ってそれを逐一確認しながら作業をすることで軽減することができます。また、必ず上司や同僚のダブルチェックを受けるとルール化するのも効果的です。

究極的には、確認作業は他の人に任せるというのが良いでしょう。細かいところにまで気を配れる方に任せてしまったほうが、お互いの得意なことに集中できるため効率よく仕事ができます。

時間管理は人や物を頼る

時間管理についても、自分で管理しようとするのではなく、人や物を頼るようにしましょう。

  • 30分に1回上司に進捗報告のチャットを送る
  • ポモドーロ・テクニックを使う

進捗報告のチャットを上司に送るようにすれば、決まった時間で区切りをつける習慣がつくため、時間管理を意識して仕事ができるようになります。

また、ポモドーロ・テクニックを使用することで集中と休憩のサイクルを回し、「次の休憩までにこのタスクを終える」といったように時間管理ができるようになります。

※ポモドーロ・テクニック:「25分作業→5分休憩」を1セットとして繰り返す時間管理法。

誤解を与えやすいことを自覚する

衝動的に思ったことを口に出してしまうことがあると自覚し、職場ではその特性の理解を求めるようにしたり、商談の際には上司に同席してもらうなどの対応をしましょう。

また、自分では失礼なことだと自覚せずに発言してしまう事があるため、職場の人には不快に思ったら指摘してもらうように伝えておくようにしましょう。

聞かれていることに答えるように意識する

ADHDの人は、自分の思いついたことを一方的に話してしまう傾向にあります。例えば、上司に商談の結果を聞かれているのにも関わらず、相手先のオフィスが綺麗だったことを話し続けてしまったりします。

周囲からすると「論点がずれている」「会話が成り立たない」という印象を受けます。要点を簡潔に話すほうが仕事をする上では重要なため、こういった特性はマイナスに働きがちです。

聞かれたことに対して答えるという意識づけをして、報告事項を短く伝えられるようにまとめておくようにしましょう。

まとめ

ADHDの方は特性ゆえに向いている仕事と向いていない仕事がはっきりしています。

向いていない仕事を我慢して続けてしまうと、注意されたりすることが多く、自己肯定感が低下したりストレスが溜まってしまい、「発達障害の二次障害」を引き起こすことも考えられます。

発達障害の二次障害について

ADHDの特性が強みとなる職業はたくさんあります。自分の強みを生かして働ける環境を見つけられるよう、公的支援や医療機関を活用してみてください。

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