妄想性(猜疑性)パーソナリティ障害とは?症状、診断、治療

妄想性(猜疑性)パーソナリティ障害とは?症状、診断、治療

誤った思い込みから人が自分を裏切るのではないか、見張られているのではないかといった不安を感じ、他者とのコミュニケーションが上手くとれないという方がいます。今回は、妄想性パーソナリティ障害の症状や特徴、診断、治療法について解説していきます。

パーソナリティ障害について

妄想性パーソナリティ障害とは

妄想性パーソナリティ障害は、他者を信用せず、根拠の乏しい場合でも他者が自分に害をなそうとしていたり、欺こうとしていると考えてしまうものです。

有病率

日本では、人口の0.4~5.1%が妄想性パーソナリティ障害を有していると推定されています。

アメリカの「全米併存詳細調査研究パートⅡ」に基づいた有病率は2.3%と推定されています。

妄想性パーソナリティ障害の発症には小児期の情緒的及び身体的虐待、犯罪被害との関連性が示唆されています。また、統合失調症の発端者の親族に有病率が高いとされています。

妄想性パーソナリティ障害の症状

他者の動機を悪意あるものとして解釈する、不信感や疑い深さが特徴です。

何か理由があるわけでもないのに、他者が自分を利用しようとしている、危害を加えるつもりだと決めつけてしまいます。さらに、こうしたことの理由付けを行うために他者の行動を細かく調べていることが多いです。

具体的な例では、以下のような症状が考えられます。

  • 他人に利用されてしまう気がして、仲が良くても個人の情報を教えようとしない
  • ふとした言葉に自分をけなしたり脅したりする意味があると考えてしまう
  • 店員の悪意のない過失を故意に自分を騙そうとしたと思い込み、怒る
  • 友達の冗談が通じず、個性を否定されたと感じる
  • 仕事を褒められると、より良い結果を出せと強要されているように感じる
  • 自分が受けたと思っている侮辱や心の傷をいつまでも許さない
  • 敵対感情が長期にわたって続く

こうした症状が成人期の早期までに見られるようになります。

妄想性パーソナリティ障害は小児期や青年期に明らかになることがあります。これは、周囲から孤立してしまったり、変わった思考や言葉、学業成績不振から分かることがあります。また、妄想性パーソナリティ障害を抱えていると周囲から奇妙に見られ、それがいじめにつながってしまうこともあります。

臨床症例では、妄想性パーソナリティ障害は男性に多く診断されているようです。

妄想性パーソナリティ障害の診断

DSM-5による診断基準は以下です。

A.他人の動機を悪意あるものと解釈するといった、広範な不信と疑い深さが成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つによって示される

  1. 十分な根拠もないのに、他人が自分を利用する、危害を与える、または騙すという疑いをもつ
  2. 友人または仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われている
  3. 情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れのために、他人に秘密を打ち明けたがらない
  4. 悪意のない言葉や出来事の中に自分をけなす、または脅す意味が隠されていると読む
  5. 恨みを抱き続ける(つまり、侮辱されたこと、傷つけられたこと、または軽蔑されたことを許さない)
  6. 自分の性格または評判に対して他人にはわからないような攻撃を感じ取り、すぐに起こって反応する、または逆襲する
  7. 配偶者または性的伴侶の定説に対して、繰り返し道理に合わない疑念を持つ

B.統合失調症、「双極性障害または抑うつ障害、精神病性の特徴を伴う」、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の医学的疾患の生理学的作用によるものでもない

参照:DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引

この診断における「妄想性」については、社会文化的背景や特定の生活環境の影響を受けている行動の場合があります。少数派の集団や移民など、多数集団の無視や無関心に反応しての行動や、言語や文化がわからないゆえの行動が紛れているかもしれないということです。

そのため、その個人の文化的、社会的背景を踏まえた上で妄想性パーソナリティ障害かどうかを判断する必要があります

また、妄想性パーソナリティ障害の他のパーソナリティ障害の診断基準を満たす場合は他のパーソナリティ障害の診断も下すことがあります。例えば、妄想性パーソナリティ障害と反社会性パーソナリティ障害の両方を診断される事があるということです。

妄想性パーソナリティ障害の治療

妄想性パーソナリティ障害の治療に有効であると証明された治療法は、現在のところありません。そのため、一般的な治療はすべてのパーソナリティ障害に対するものと同じです。

基本的には、認知行動療法と薬物療法による治療です。また、TMS治療もパーソナリティ障害自体に効果があるとされています

認知行動療法

妄想性パーソナリティ障害の患者は非常に疑い深いため、医師と患者で良い関係を築くのが難しいことがあります。患者が治療に参加するのを促すために、患者の何らかの妥当性のある疑念については認めようとすることがあります。

認知行動療法では、他者に対する解釈の仕方や考え方の癖を本人に認識させ、正しい考え方に修正していきます。

薬物療法

抗うつ薬や抗精神病薬を処方し、不安や妄想を軽減し、認知行動療法などの治療に参加しやすくすることがあります。薬物療法のみで妄想性パーソナリティ障害が治療できるわけではないので、注意しましょう。

TMS治療(磁気刺激治療)

TMS治療は頭部に特殊なコイルを当て、脳に磁気刺激を与えて脳神経のネットワークのバランスを改善し、正常な活動に戻す治療法です。アメリカを始めとする欧米では普及が進んでいます。日本ではまだ一部の医療機関でしかTMS治療を受けることはできませんが、当院では治療が可能です

パーソナリティ障害自体にTMS治療に治療が有効であるという論文が2019年に発表されています。(J Psychiatr Pract. 2019 Jan;25(1):14-21.)

薬物療法と比べて副作用の心配もなく、治療期間も短く済みます。

また、パーソナリティ障害に合併しやすい発達障害についても改善することが可能です。

TMS治療について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

まとめ

妄想性パーソナリティ障害は人を正当な理由なしに疑ってしまうため、社会生活に支障が出ることがあります。周囲の方はその障害を理解し、一定の態度を取るようにしましょう。本人が治療に前向きになってくれる環境を作っていくことが大切です。

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15歳男性 ADHD、アスペルガー症候群合併

21歳男性 アスペルガー症候群、不安障害合併

22歳女性 アスペルガー症候群、うつ合併

8歳女性 学習障害、ADHD合併

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